レポート

日本をはじめ各国のスピーカーが語るPythonのいま ―「PyCon Thailand 2019」レポート

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パーティー

1日目のカンファレンスが終了すると,全員参加のパーティーです。発表会場から外に出るとすでに料理やビールが用意されており,スムーズにパーティーモードに移行できます。しかもビールはタイのクラフトビールBootleg Brothersのボトルが3種類と,生ビールが2種類用意されていました。完璧すぎます。

タイのクラフトビールでパーティー

タイのクラフトビールでパーティー

パーティーの中盤にバンド演奏があり,あまり気に留めていませんでしたが,なにやらすごく盛り上がっています。なんだろうと思って見に行ってみると,なんとスタッフの女性の方が急遽ボーカルとして参加して歌っています。これにはPyConのスタッフやボランティアも大盛り上がり。しかもこの方,結構歌が上手です。あとで聞いたらリハーサルなしでいきなり歌うことになったそうです。すごい。私はその場にはいなかったんですが,以下のTweetのように大盛り上がりだったようです。

バンドと女性スタッフのコラボ

バンドと女性スタッフのコラボ

Keynote「Python Everywhere」 ―Dr. Russell Keith-Magee

2日目のキーノートはUS PyConでもキーノートスピーカーだったRussell Keith-Magee氏です。あちこちでキーノートで発表するという,ものすごい人ですね。

Russell Keith-Magee氏のキーノート

Russell Keith-Magee氏のキーノート

内容は「Python Everywhere」というタイトルで,PythonはPCだけではなくさまざまな環境で動作するという話でした。まず前提知識としてPythonは言語仕様であり,PCなどで使用しているpythonコマンドはC言語で書かれているリファレンス実装であるという説明がありました。そのためこのリファレンス実装はCPythonとも呼ばれます。そして他にPythonで実装したPyPyや.Netで動作するIronPythonなどが紹介されました。

また,CPythonにはGILグローバルインタプリタロックが存在するが,PyPy,IronPython,Stackless Pythonなどには存在しないという説明がありました。

次に,Pythonを実装するためには,パーサー,コンパイラ,evalループ,標準ライブラリの4つの要素が必要であるという説明がありました。

そして,Russell氏も所属するBeeWareプロジェクトで開発している,他のPython実装について紹介がありました。BeeWareは,単一のPythonコードからiOS,Android,Windows,macOS,Linux,Webアプリケーションを生成するということを目標としています。

VOC
VOCはPythonのバイトコードをJavaのバイトコードに変換するトランスパイラです。現在はPython 3.4に対応しているそうです。
Batavia
BataviaはJavascript上で動作するPythonのバーチャルマシンです。現在はPython 3.4.4に対応しているそうです。

今後はWebAssemblyによってブラウザ上でPythonが直接動作するようになるであろうという話がありました。PyodideというプロジェクトでWebブラウザ上でPythonが動作するようです。

私も試してみましたが,最初にpyodide.jsを読み込んだ後はオフラインでも実行できるので,実際にブラウザ上でPythonが動作しているようです。なんだか不思議な感覚です。

日本から参加した2人のトーク

このカンファレンスには私以外に2人の日本人が参加してトークで発表していました。2人とも海外での登壇は初めてとのことで,どんな感じだったかをそれぞれレポートしてもらいました。

はじめての海外PyCon参加と登壇

林田千瑛@chie8842

Understanding of distributed processing in Python

今回のPyCon Thailandはわたしにとってはじめての海外PyCon参加でした。もともと2017年にPyCon JPに初登壇したときに,別の登壇者の方から「海外のPyConで登壇することでグローバルなエンジニアのつながりができた」という話をきいたことを印象的に覚えていて,そのときからいつかチャレンジしてみたいと思っていました。自社のサービス(クックパッド)がタイでも展開されていることもあり,今回初めてトークを応募しました。

発表では,PythonによるDistributed Computingについて話しました。わたしが話す会場は一番大きいホールだったので,下手な発表はできない。。と,発表前はとても緊張しました。機械学習やWebの話が多い中で,少しニッチな内容となりましたが,発表後も多くの参加者に質問を頂き,議論を行ったり,勉強になったと言っていただけました。また,⁠クックパッド使うよ!」とも言ってもらえました。登壇してよかったな,と思いました。40分のトークを英語でやりきったことは,グローバルに挑戦するための自信にも繋がりました。

発表の様子

発表の様子

参加者としての感想は,PyCon JPと比べると参加者の国際色が高かったこと,フレンドリーに話しかけてくれる人が多かったことが印象的でした。海外カンファレンスにチャレンジしてみたい方にはぜひおすすめしたいと思いました。

登壇準備の様子

登壇準備の様子

PyCon Thailandで初の海外トーク

片寄 里菜@selina787b

PyLadies and importance of community participation

5月のPyCon Clevelandに続き,今年2回目の海外PyConに参加しました。今回は参加だけでなく,英語でのトーク(40分)にも挑戦しました。今回は女性のPythonユーザーが活動しているPyLadiesの活動に関してトークをしました。主な内容は以下の3点です。

  • 私がPyLadies Tokyoのスタッフをしていること
  • アジアの女性Pythonistaと連携を深めたいこと
  • タイにはPyLadiesグループがないので広めたいこと

PyLadies Tokyoのスタッフを始めて3年ほど活動してきました。その中で大まかな流れがわかり,それらの経験を元に,今までの活動を写真などでまとめ発表をしました。

私は5年ほど前にタイでタイ語を勉強していた経験があるので,自己紹介だけはタイ語で話したいと決めていました。英語自体でトークするのも初めてなのですが,何とかやり切った感があります。質疑応答では,英語での質問をうまく聞き取れないこともあり,この点は改善していきたいと思いました。また日本語を少ししゃべれる方から日本語の質問もあり,とても嬉しかったです。

トークの終了後は,発表に興味を持ってくれた方と個別にお話をして,連絡先を交換しました。その方は近いうちに日本に来るらしいです。タイのPyConメンバーとも連絡を取り合い,来年のPyCon Thailandにも参加できるようにつながっていきたいと思います。

発表の様子

発表の様子

著者プロフィール

鈴木たかのり(すずきたかのり)

一般社団法人PyCon JP,副代表理事,株式会社ビープラウド所属。

部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い,その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCon mini JPからスタッフとして活動し,2014年-2016年のPyCon JP座長。他の主な活動は,Pythonボルダリング部(#kabepy)部長,Python mini Hack-a-thon(#pyhack)主催など。

共著書に『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書(2018 翔泳社刊)』『Pythonプロフェッショナルプログラミング 第3版(2018 秀和システム刊)』『Pythonエンジニア ファーストブック(2017 技術評論社刊)』『いちばんやさしいPythonの教本(2017 インプレス刊)』などがある。

最近の楽しみはPython Boot Campの講師で訪れた土地で,現地のクラフトビールを飲むこと。2019年は世界各国のPyConでの発表に挑戦している。趣味は吹奏楽とボルダリングとレゴとペンシルパズル。

Facebook:takanory.net

Twitter:@takanory

Github:takanory

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