3D立体写真で見る宇宙

Part.1 天体の運動や位相変化を利用した3D写真

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カメラを二つ横に並べて同じ構図で同時に撮影し,できた写真を左右別々の目で眺めれば立体的に見えてきます。これが3D写真で,二つのカメラを離せば離すほど,遠方の景色まで立体的に表現できるようになります。しかし夜空に輝く星はあまりに遠方あるため,どんなにカメラを離しても3D写真を作ることはできません。星や宇宙を立体的に味わうためには,CGや動画に頼るのが普通なのです。

ところが一部の天体,特に惑星や月,彗星などは移動速度が大きかったり,見え方(位相)が刻々と変化したりします。時間をおいてこれらの天体を撮影すると,立体的に見える3D写真を作ることができます。今月はその作例を紹介しましょう。

1.木星食

月は約27日で天空を一周します。星に比べて見かけの移動速度が大きく,これはその速度の差を利用した3D写真です。2001年8月16日の未明に起きた木星食を捉えたもので,4分の間隔をおいて撮影した2枚を組み合わせました。

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2.木星

木星の1日はおよそ10時間です。望遠鏡で観測すると,表面の模様が木星の自転により刻々と変化していきます。この写真は3分の間隔をおいて撮影した2枚を組み合わせたもので,うまく立体視ができると木星が球体に見えてきます。木星の左に見える点は木星の衛星イオです。

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3.土星

地球と同じように土星の自転軸は公転面に対して傾いています。このため土星を観測すると毎年環の傾きの変化していく様子が分かります。この写真は1年をおいて撮影した2枚を組み合わせたものです。

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このように太陽系の天体では,時間をおいて撮影した2枚の写真から3D写真を作れる場合があります。

それでは見え方に変化のない星々では立体写真を作ることはできないのでしょうか?絶対できないのでしょうか?

著者プロフィール

伊中明(いなか あきら)

1957年横浜生まれ。天体アーティスト。1996年9月、画像処理による3D天体写真を初めて発表。創作・執筆活動と並行しながら、「星のホームページ」を運営している。

著書

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