瀬山士郎先生の 数学よもやま話

第7回 モンティホールの問題

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しばらく確率の話をしよう。確率は難しい! 専門の数学者でも間違えることがある。ある面接入試で,サイコロの目で1が出る確率が1/6であるとはどういうことかを問われ,サイコロを6回振れば1が1回は出るということです,と答えた受験生がいた。ところが面接官がサイコロを用意していて,実際に6回振ったが1の目は出なかった。1回もでないじゃないか,と問われた受験生は「だから確率はあてにならないんです」と答えた。これは冗句ですが,こんな問題はどうでしょう。モンティ・ホールの問題という有名な問題だ。

問題

3つの箱があり,1つには賞品が入っていて,残り2つは空箱である。出題者はどの箱に賞品が入っているか知っている。あなたが箱を1つ選ぶ。すると出題者は残った2つの箱のうち空箱の方をあけて見せた。あなたが選んだ箱ともう1つの箱が残っている。 出題者「箱は2つです。いまなら残っている箱とあなたの選んだ箱を取り換えてもいいですよ。どうします?」さて,取り換えた方がいいだろうか。

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取り換えた方がいい。箱を取り換えると賞品が当たる確率は2倍になる。

少しだけ直観に反する内容でかつ,著名な数学者も間違えてしまった有名な問題だ。最初にあなたが選んだ箱が当たる確率は1/3,出題者が1つの空箱を空けて見せてくれた段階で,あなたの選んだ箱ともう1つの開けてない箱があり,どちらかが当たりである。「どちらの箱を選んでも当たる確率は1/2だ」と多くの人は考えがちだが,そうではない。最初にあなたが選んだ箱が当たりの確率は1/3のままで,残っているもう1つの箱が当たる確率が2/3になる。これはベイズの定理(高等学校で学ぶ)を使うときちんと計算できるが,それは少し難しい。ここでは次回に中学生にも分かる説明をいくつか紹介しよう。この問題を知らない人はぜひ次回までにうまい説明を考えてください。

著者プロフィール

瀬山士郎(せやましろう)

1946年群馬県生まれ。1970年東京教育大学大学院理学研究科終了。専門は位相幾何学,グラフ理論。

1970年群馬大学教員となり,2011年定年退職。群馬大学名誉教授。数学教育協議会会員。

主な著書に「バナッハ・タルスキの密室」(日本評論社,2013年)「読む数学」(角川ソフィア文庫,2014年)「はじめての現代数学」(ハヤカワ文庫,2009年)「幾何物語」(ちくま学芸文庫,2007年)「無限と連続の数学」(東京図書,2005年)「トポロジー:柔らかい幾何学」(日本評論社,2003年)「計算のひみつー考え方の練習帳」(さ・え・ら書房,2004年)「数学 想像力の科学」(岩波書店,2014年)などがある。

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