書籍『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論』の補講

第13回 ピタゴラスの定理に宿される秘儀―エネルギーと運動量に関係する法則

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粒子か波動かにをしっかり見よう

光が粒子なのか波動なのかという問題については,アインシュタインよりずっと前に議論されて,ヤングの実験によって波動だということで落ち着いていました。今でも電磁波は目に見えない光の類であるとして波動として解析されています。

ところが,光について考え抜いたアインシュタインは,粒子として最小の単位が光にもあるのだと提唱しました。これがアインシュタインのノーベル賞論文になったのですが,その論文は前回でに解説したように1905年のものです。

アインシュタインの一般相対性理論がイギリスの観測隊によって証明されたのが1915年です。それでも相対性理論については懐疑的な雰囲気があったのだろうと思います。この論文で論じた光電効果に対してノーベル賞が決定したのは日本に来る船に乗っているとき(1922年秋)のことでした。

(8)式を波動という観点で見ます。右辺の第1項は物質の静止エネルギーであって,これは波動ではないと解釈します。波動の成分だけを取り出すと

になるとしましょう。

波動現象を複素数で見てみよう

波動現象はsin(kx ωt あるいはcos(kx ωt を基本として語ることができます。両方を同時に表す方法として虚数iを取り込んで指数関数を使って次のようにします。

波動方程式というのは波動の本質的な性質を微分方程式の関係で表すものです。もっと具体的には時間t に関する微分と位置x の微分の間の関係式のことです。それについて考えるための準備として(10)式の時間微分と位置微分を見ましょう。

時間で微分すると

位置で微分すると

となります。

これらの形から形式的に

の関係が得られます。

このように虚数が現れる関係式は,いったいどんな意味を宿しているのでしょうか? この疑問を飛ばして先に進むことも,ここで説明をすることもできますがかえってゴタゴタしそうです。そこで形式的にどんどん進みます。そして後で振り返ってみてください。

アインシュタインが主張した光量子(フォトン)のエネルギーが,周波数 に比例することと(13)式を関連させられそうです。エネルギーのE を波動という枠の中で考えるときには時間微分(d/dt )に関係しそうです。

ここでv は周波数であるから角周波数ω で示すとω/2π ですから

です。

ここの(13)式の関係を形式的に入れて

とします。ここでは,フォトンのエネルギーと周波数の関係を電子にも適用してみようとする意味があります。

一方,ド・ブロイは運動量p は波数k に関係してhk/としました。運動量は位置の微分(d/dx )に関連しそうです。

ここには次の対応があるようです。

このようにして得た(16)(18)式の関係を(9)式に代入すると

となりますが,両辺から(h/)を取り去って次式が得られます。

これは電子のどんな物理量に関する微分の関係なのか不明であるから,とりあえずΨ というものを演算の対象とします。このようにしてΨ に関する時間微分と位置微分の関係式として

がえられます。これが有名なシュレディンガー方程式のもっとも簡単なものです。

コラム2 電磁界の微分方程式

ただし,B は磁界であり,F は電界E に比例する量で光速c と次式で関係づけられる。

①と②から次式が得られる。