書籍『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論』の補講

第13回 ピタゴラスの定理に宿される秘儀―エネルギーと運動量に関係する法則

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複素数の意味を考える

(21)式が成り立つためには,とりあえずΨ は実数ではなく複素数でなくてはいけません。

さて,ここからが見城流の説になります。この複素数を実数部分ΨR と虚数部分I に分けて次のように書いてみます。

これを(21)式に入れてみると次にようになります。

ここでi 2 =-1を思い出して次のようにします。

そして左辺を並べかえします。

この式が成り立つためには,左右の実数部分と虚数部分がそれぞれが一致しなくてはいけませんので,次の2つの式が得られます。

これは実数部分と虚数部分の関係だとも言えるのですが,そうではなく次のような論理としてもよいかと思います。

図2(a)に示しているように,電磁波の伝播においては磁界と電界が互いに作用しあっているように,電子の挙動も2つの要素の相互作用として解釈するために,ΨR ΨI を2つの要素としてが,互いに上の二つの方程式によって関係付けられるのだとするのです。

図2 電磁波と電子の波動

図2(a) 電磁波と電子の波動

図2(b) 電磁波と電子の波動

(a)のように電磁波では磁界(B と電界(E は同相の波動として進行する。一方,電子の波動では(b)に示すようにΨR ΨI は90°ちがいの波動として進行する。

電磁界の場合には,コラムに示すような微分方程式の形になります。微分方程式というのは,それを解くという前に形の品評をします。左辺と右辺の関係に現れる不思議さや美しさに,こころが圧倒されます。時間t と位置x の微分とその階数の関係で,その波動の本質がすべて見えてくるのです。もちろんそれにはある程度の修行を必要とします。

さて,ここで上の2式からΨR あるいはΨI の一方を消去してみます。そのために(28)式の両辺を時間t で微分すると左辺は2階微分になるのですが右辺は次のようになります。

この右辺の()の中は(27)式ですから,これを代入するとx に関する4階微分が現れて次式になります。

同じようにして次式も得られます。

この式を見て,難しそうだなと思う人もいるかもしれません。そういうときには考え方を変えます。どこか参考事例がないかどうかを探します。するとあるのです。数学の先人の積み重ねは財産です。使うことによって,さらに大きな財産になります。

これは汽車のレールのように,弾性体の長い棒のようなものに伝播する機械的なたわみ波動の方程式と同じ形というか,その類の波動のなかのもっとも基本的な方程式であって,かなり研究されてきたものです。基本的には図3のように,長方形断面をもつ梁に伝播する上下運動と回転運動が相互作用する波動です。ちなみに,その方面に大きな足跡を残したのがチモシェンコです。

図3 梁(弾性体のレール)に伝わる波動

図3 梁(弾性体のレール)に伝わる波動

中央の各部分の上下運動wと回転運動が90°の位相差をもつ。

そういう古典的な解析から出てくる結果をうまく解釈すると,電子の波動が同時に粒子の様相を備えていることが簡単にわかってしまいます。それを示してみましょう。