理系なおねえさんはアリですか?―内田麻理香が聞いた理系な女性の理系な人生―

第6回 勉強嫌いがパワーの原点 女医 中村あやさん

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実は内田とは中高一貫校時代からの仲である中村あやさん。泌尿器科の女医でありながら3人のお子さんを育て上げているそのエネルギーの秘密に,旧知の仲ならではの鋭いツッコミで迫ります!

中村あや(なかむらあや)学生時代の専攻:医学。1975年千葉県生まれ。群馬大学医学部医学科卒業。岡山大学病院,福山第一病院,国立病院機構岡山医療センター,岡山市立市民病院を経て現在岡山赤十字病院勤務。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医。岡山大学大学院医歯薬総合研究科在籍中。

中村あや(なかむらあや)

勉強の仕方がわからなかった

開口一番「久しぶり~」の後はどんどん話が進みます。中高6年間を同じ学び舎で過ごした仲ですもの!弾む話と共に思い出す青春の日々。…そういえば中村さんはかつては数学が苦手な女の子だったっけ。

――この企画は,理系出身の女性の生き方を紹介するというものなんですが。

中村「理系かあ…私,高1のときに文系に行こうとしたこと覚えてます? 数学の成績が悪すぎて。数Ⅰって公式を知っていなかったら全然解けないじゃないですか。完全に行き詰ってしまって」

――中村さんは公式を使わないで問題を解いていたんですよね。問題文から公式を導出する形で。

中村「先生に文転を相談したとき,⁠お前が理系に行かなくて何になるんじゃー⁠って説得されてやめたんですけど。内田さんに公式を教えてもらったことも助かった。模試を解くスピードがはるかに上がって,内田さんって天才!!って思いました(笑)⁠

――いえいえいえ(笑)普通に授業で習ったじゃないですか。

中村「授業のことなんて覚えてなかったんで。あれは私の中で文明開化ぐらいの衝撃でしたよ」

――私,中村さんは勉強の取り組み方もそうですが,物理のセンスもあったし,研究者の道も合ってたんじゃないかなと思うのですが。

中村「一時期研究者になってみたくて,そのときも先生に相談したんです。物理は好きだったから。でも,高校物理までは数学ができなくても大丈夫だけど,大学物理は数学ができないと厳しいよって言われてあきらめました」

――確かに大学物理は数学だらけになりますし。中村さん,化学や生物もあまり得意ではなかった記憶が…。

中村「はい,とにかく暗記が苦手で。あれはとりあえず覚えなきゃいけないじゃないですか。だから大学に入ってからがすごく大変でした。医学部って大学の6年間はひたすら記憶作業なんで,実は文系的な頭のつくりが求められるんです」

――でも,苦手と言いながらも医学部にストレートで入ってきちんとお医者さんになるっていうのは,なかなかできないですよ。

中村「それはやっぱり内田さんのおかげ。勉強が嫌いで勉強の仕方がわからなくてすごく悩んでいたときに⁠何がわからないの?⁠って聞いてくれたから。⁠全然わかりません⁠って答えたら⁠教科書をはじめから最後まで全部書き写したらとりあえずはわかるようになるよ⁠と。⁠そっかーっ!⁠みたいな」

――我ながら高1でなぜそんなに適切な助言ができたのかわからないですね(笑)⁠

中村「高1の春休みに頑張ってどうにか人並みになれました。あのアドバイスが大きかったですね」

――春休みの間に追いつけるエネルギーがすごいですよ。

中村「エネルギーをためておくっていうのは大事ですよ。私は小学校からずっと勉強しないでためておきましたから(笑)⁠

若干16歳の内田,偉いですねぇ…ということはともかく。 ところでどうしてお医者さんの道を志したのでしょうか。

――昔からずっとアフリカに行きたいって言ってましたよね。それがお医者さんになった動機でしたっけ?

中村「はい。何がきっかけだったかは忘れちゃいましたが,高校生のときある日いきなりアフリカで仕事がしたい!と思ったんですよね。アフリカで日本人が仕事をするには,医療関係だろう!と」

――そこで国連とかそちらの正攻法を考えないところが中村さんらしいというか(笑)⁠

中村「英語ダメだったし。イメージはキャンディ・キャンディの看護婦さんでした(笑)⁠なので,模試の第一志望を看護にして,せっかくだから薬学部と医学部も試しに判定してもらったら,意外とそのときの成績が良くて。射程範囲に入ってるみたいだから,どうせなら医学部を受けてみようかなと」

――そういう動機は珍しいんじゃないですか? 医学部って,医師の家系だったりあるいは過去にお世話になって感動したから,ということが動機になっている人が多い気がします。

中村「あとは単に成績が良かったから,っていう人が一番多い気がします。私は進路を全然調べていなくてあまり選択肢がなかったことが,いつのまにか志望動機につながりましたけど」

そばかすなんて気にしないあの娘は,従軍看護婦として戦地へと赴いたのです。そしてそんな姿に憧れた少女も多かったのでした(絵:編集部)

そばかすなんて気にしないあの娘は,従軍看護婦として戦地へと赴いたのです。そしてそんな姿に憧れた少女も多かったのでした(絵:編集部)

著者プロフィール

内田麻理香(うちだまりか)

サイエンスコミュニケーター。東京大学工学部広報室特任研究員/東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程1年。身近な科学を伝えるために各種媒体で活動中。

URLhttp://www.kasoken.com/

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