CLUSTERPROとの出会い
- このロードバランサーからのつながりで,
いよいよCLUSTERPROに関わることになります。最初は開発者としてではなく, 利用する側として出会ったそうです。 -
Web3階層のシステムを納品するときに,
信頼性を上げるためにロードバランサー自体を2重化する必要がありました。そのときに2台のロードバランサーで, 設定パラメータを変えるとクラスタリングできるようになる製品を作って, CLUSTERPROと巡り会ったんです。そこからはミドルウェア主体になってしまいました。 -
CLUSTERPROの仕事になってまず言われたのが,
「開発をするんじゃなくて, 世に広めてこい」 ということでした。販促現場に出ていろいろ説明したり, 現場のニーズを拾い上げて, 開発している人間とのつなぎ役になって, 製品としての機能アップのフィードバックを全部やるんだと。開発側には地下室にこもっている博士みたいなタイプがまだいっぱいいるんですよ (笑)。 -
それで,
製販一体で, 販促の方にも直接開発のメンバーが足を運んでニーズを吸い上げて, 機能評価項目を出して開発に話したり, 販促の方もメンバーが増えてきたので, 部門の立ち上げをやって, 資料作りなどの音頭取りもさせてもらっています。 - 船田さんをはじめとしたスタッフの努力によって,
CLUSTERPROは製品としての磨きがどんどんかかっていくことになります。 -
私が最初に触ったときは,
今の40%くらいの完成度でした。もともとWindows NT用のソフトウェアだったんです。私が担当しはじめたころに, ちょうどLinux版が出てきたばかりだったのですが, Windows版のソースをもってきてmakeして, あ, 動いた。じゃあこれで売り始めて様子見ようか, というものでした。 -
これではダメだということで,
Red HatのVer. 3が出たときに同時にリリースしたバージョンで, Linuxの上でフィットするように設計から全部やりなおしたんですよ。そこからようやくガーっと売れ始めましたね。 「これは使いやすい」 と技術者の方から言ってもらえる製品になりました。これが2004年の10月に出たVer. 3.1です。 -
このバージョンで何が劇的に良くなったかというと,
システムの構築性能, 操作性, 運用のハンドリングをかなり重視して作ったんです。他のメーカのクラスタはみんなそうなのですが, インストール作業を対話型でやっていて, 設定パラメータをそのつど入力していくので, インストール時にパラメータ入力が必須になって長い時間がかかってしまう。また, クラスタソフトやシステムが飛んでしまってディスクが破損したときに, システムを復元するために, またOSとクラスタソフトを入れて, もう1回パラメータを打ち直さなければならくなってしまうんです。 -
それをやらなくて済むように,
CLUSTERPROではパラメータをXMLファイルに落とせるようになっています。なおかつその設定も, Javaのツール (ビルダーと呼ばれています) を使ってPC上のWebブラウザでXMLファイルを生成することができて, 設定ファイルだけを現場に持っていってロードすれば, インストールは簡単に終わってしまう。クラスタが壊れてしまっても, モジュールだけ落としてきて, 設定XMLファイルをロードすれば, すぐクラスタの設定が復元できるという作りになっています。これがやりやすいという話を聞いてます。 -
それから,
流通系で店舗展開しているようなお客さんだと, 各支店にシステムを入れるのだけど, コンピュータ名とIPアドレスだけが違うという場合が多いんです。そんなときは, このXMLファイルの1行だけを書き換えて配ればいい。逆に, そのXMLファイルをなくしたときは, 生きているクラスタから逆にXMLファイルを生成する 「リバース機能」 というのを持っています。 -
このあたりは製販一体のシステムで現場の声を吸い上げた成果が,
設計に生かされていると言えますね。 - この後もCLUSTERPROの優れたポイントを熱く語っていただきましたが,
都合により泣く泣く割愛させていただきます。詳しくは製品案内ページなどをご覧ください。とにかくCLUSTERPROのセールスポイントについて話し出すと止まらない勢いで, 一晩でも語れそうな船田さんでした (笑)。 -
お客さんからは,
今話したような細かいところが行き届いているという声はよく聞きます。だからリピータが多いんです。あと, クラスタというのは確立されたジャンルなので, 使い込んでいる人が多いというのもあると思います。一度OSについてくるフリーのものを使って痛い目にあって (笑), うちの製品にくる。だから改良してほしいところがはっきりしているんですよね。 - では船田さんは,
今の仕事にどのような思いをもっているのでしょうか? 最後にそれを伺いました。 -
ロードバランサーのように,
性能アップをとことん追求する仕事も好きなんですが, 今のようにお客さんのところに行って, 動いてるものを見るのはおもしろいですね。部屋にこもってコーディングだけしていると, 作った成果物が実際にどんなふうに使われているのかがわからない。もちろんお客さんから厳しい注文を受けることもあります。でもそこから, 新しいニーズが出てくることもあるんですよ。 -
CLUSTERPROは今やさまざまなところで使われています。ミッションクリティカルな,
ストップできない現場ではたいていクラスタが必要になりますから。それにこれからは仮想化環境など, 新しくクラスタ技術が使える場もどんどん増えてきています。おかげさまで, 私が担当してからWindows版, Linux版とも毎年トップシェアをとらせていただいているのですが, 満足はしていません。まだまだやりたいことは山ほどありますよ。 -
船田さんのお話を聞くと,
つねに自分を生かせる仕事に巡り会えてラッキーだと思われるかもしれませんが, 運だけではありません。与えられた仕事に対して自分が最もパフォーマンスを発揮できるポイントは何かを考え, 実行しているのです。こうした姿勢には, 学ぶべき点も多いのではないでしょうか。