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Ubuntu 26.10 “Stonking Stingray”開発 / AIの導入⁠Inference Snaps

Ubuntu 26.10 “Stonking Stingray”の開発 / AIの導入

26.10の開発を踏まえて、Ubuntuにおける今後のAIの利用について展望が表明されています。

26.10のタイミングでなにか具体的な機能が実装されるかどうか、というものよりは「今後のUbuntuにおけるAIとの関わり」がキーで、⁠2026年における今後のUbuntuのAIへの対応」といった方向性です。

実際の本文を見てみましょう。まず、⁠AI features will be landing in Ubuntu throughout the next year as we feel that they’re of sufficient maturity and quality, with a bias toward local inference by default.」⁠AI機能は来年にかけて、十分な成熟度と品質を備えるようになったと感じられたものから、そしてローカル推論をデフォルトとする形で導入されていく予定です)ということが述べられており、あくまでPCの中で完結する機能を中心とすることが宣言されています。また、throughout the next yearということで、26.10、27.04(そして場合によっては27.10)あたりまでのアプローチという形です。

また、⁠I also acknowledge that ⁠open source⁠⁠ can be a loaded term in the context of LLMs. Access to model weights is meaningful, but it is not equivalent to the sort of transparency the open source community has become accustomed to. When we select models to make available in Ubuntu, we’ll try to take a balanced view on the terms of the model license, not just whether the weights are open. From an Ubuntu perspective, our bias will be toward local inference, open source harnesses and models with licensing terms that are compatible with our values, with clearly defined interfaces to external services where people require them.」⁠LLMの文脈において「オープンソース」という言葉が、様々な意味合いを持つ場合があることも認識しています。オープンウェイトであることそのものは確かに重要ですが、オープンソースコミュニティが慣れ親しんできた透明性とは同等とは言い切れません。Ubuntuで利用可能にするモデルを選択する際には、オープンウェイトモデルであるかどうかだけでなく、モデルライセンスの条件についてもバランスが取れた視点を持つことを選定の条件にしています。Ubuntuの観点からは、ローカル推論、オープンソースのハーネス、そして私たちの価値観と互換性のあるライセンス条件を持つモデル、さらに必要に応じて外部サービスへの明確なインターフェースを備えたモデルを優先的に採用します)ということで、⁠オープンウェイトモデルを重視し、周辺フレームワークとしてオープンソースのものを使う」ということが述べられています。逆にこれは、少なくとも現時点では「自前でモデルを持つ」という方向性ではなく、良いモデルを選択する方針であることが読み取れます。

この次に、⁠AI features in Ubuntu features will come in two forms: first as a means of enhancing existing OS functionality with AI models in the background, and latterly in the form of ⁠AI native⁠⁠ features and workflows for those who want them.」⁠UbuntuにおけるAI機能は、2つの形で提供される予定です。1つ目は、バックグラウンドでAIモデルを用いて既存のOS機能を強化する手段として、2つ目は、それらを必要とするユーザー向けに「AIネイティブ」な機能やワークフローとして提供されるというものです)ということが示されています。前者はOSそのものへの組み込み、そして後者はオプトイン的な拡張機能という形と読み取れます。

CanonicalにおけるAI利用についての説明がこの後に続きますが、これは「トークン量ではなく成果物で」というものであり、また、Ubuntuそのものにはそこまで強く影響しない内容とみられます。

UbuntuのAIの導入という観点では、⁠Implicit vs. explicit AI features」⁠暗黙的 vs 明示的なAI機能)という概念が示されています。重要なポイントをピックアップすると、次のようになります。

  • 暗黙的なAI機能とは、ユーザーに新たなメンタルモデルを導入することなく、AIを活用して既存のオペレーティングシステム機能を強化することです。その好例の一つが、Ubuntuに最高レベルの音声認識と音声合成機能をもたらすことです(Implicit AI is about enhancing existing operating system features with the use of AI, without introducing new mental models for users. One exciting example of this is bringing first-class speech-to-text and text-to-speech to Ubuntu.⁠⁠。
  • 明示的なAI機能とは、より明確にAI中心のものであり、より「エージェント型」のワークフローが含まれる可能性があります。たとえば新しいドキュメントやアプリケーションの作成、トラブルシューティングワークフローの自動化、さらにはターゲットを絞った日々のニュース速報といった個人的な自動化タスクなどが含まれます。こうした機能には、望ましくない副作用を防ぐために、適切なセキュリティと隔離制御が確実に実施されるようにするという大きな責任が伴います(⁠⁠Explicit AI features are those which are more obviously AI-centric, and could include more ⁠agentic⁠⁠ workflows. This could be for authoring new documents or applications, automating troubleshooting workflows or even personal automation tasks such as targeted daily news briefings. With this comes a big responsibility for us to ensure that the relevant security and confinement controls are in place to prevent unwanted side-effects.⁠⁠。

全体的な表明としては、⁠これまで存在していた機能を強化するためのAI」「まったく新しいAI」に概念的に分離し、そしてそれぞれに必要な機能を実装する、というものになっています。また、SnapベースのInference Snapsの存在と「Snapによる制御」についても語られています。

具体的な計画はここまでで、この後、エージェントワークフローをUbuntuに統合することがプラン中であること、あるいはトラブルシューティングを自律的に実現するといったアプローチがありえることが示されています。一方、現状のローカル推論には各種半導体の性能が現状では足りていないこと(ただし今後進化するであろうこと)も示されており、⁠すぐに十分に実用になる」というよりは「今後こうなる」という方向性となっています。

Inference Snaps

Snapを用いてNemotron 3 Nano Omniを起動する方法が公開されています。

「sudo snap install nemotron-3-nano-omni」を実行するだけでNemotron 3 Nano Omni(NVIDIAがリリースしたハイブリッド推論モデル)が動作します。ただし、動作にはDGX Sparkなどの十分なハードウェアが必要です。

この発表そのものより興味深い点は、この実装がInference Snapsの拡張として実装されている点です。

Inference SnapsはCanonicalが開発している「各種推論エージェントを簡単にインストールする」ための仕組みで、現状、Nemotron 3 Nano Omni以外に、Gemma3、Qwen-VL、DeepSeek-R1がサポートされています。Inference Snapsそのものはある種のフレームワークとして展開されており、さらに推論エージェントごとに異なるソースツリーが準備され、Snapパッケージとして提供されます。今のところ、アーキテクチャとしてはllamacppをコアとし、事前設定を済ませたもの、という形に見えます。

エージェントごとに異なるSnapパッケージが準備され、パッケージによってはOpenAI互換APIでアクセスができるという構造になっています。動作に必要となるGPU、NPUなどのハードウェア構成等は自律的に認識されるため、基本的には「インストールするだけで動く」を実現できるようになる(将来的には&必要なハードウェアがあれば)と思っておくのが良さそうです。

その他のニュース

  • Ubuntu 22.04 LTSから26.04 LTSにかけての各種ツールチェインの進歩について。結論としては「各種ランタイムに対応するようになりました⁠⁠、devpack/snapをインストールするだけで「十分な」開発環境が整うようになりました、というものですが、今後C/C++、Pythonのツールチェインの改善にも.NETのSnapベースのツールチェインが整備されることが宣言されていることがポイントです。
  • Ubuntu 16.04 LTSのESM(Expanded Security Maintenance)が終了し(つまりUbuntu Proでのデフォルトの10年間のサポートが終了し⁠⁠、Legacy add-onを追加で調達するか、アップグレードを行うかの選択のタイミングがやってきました。稼働しているシステムがある場合は対応を検討してください。
  • “copyfail⁠と名付けられた脆弱性発見されています。悪用により、一般ユーザーがroot権限を取得することが可能ですCVE-2026-31431⁠。Ubuntuの対応は進展中です。
  • llm-dとJujuを用いてk8s上にLLM環境を作る例。

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