Wine 1.0がやってきた~どの程度動くものなのか~[後編]Windowsアプリを使ってみよう

Windowsアプリケーションの実行

では、実際にアプリケーションを稼働した結果をレポートします。

秀丸エディタ

基本的に、まったく何の問題もなくインストールされ、動作しております図1~5⁠。

インストールはwineコマンドを用いてインストーラ(hm708_signed.exe)を実行させましたが、インストール終了後は、デスクトップ上に作成されたショートカットファイルをダブルクリックしています。日本語の入力も、GNOME上から普通に使えています。

図1 Wine上での秀丸エディタ実行の様子
図1 Wine上での秀丸エディタ実行の様子
図2
図2 Wine上での秀丸エディタ実行の様子
図3
図3 Wine上での秀丸エディタ実行の様子
図4
図4 Wine上での秀丸エディタ実行の様子
図5
図5 Wine上での秀丸エディタ実行の様子

UTF-8 TeraTerm Pro

インストール時に、日本語のメッセージ表示がされないという問題が発生しましたが図9~11⁠、言語を"English"にすることできちんと表示されました図6~8⁠。

図6 インストール(英語)
図6 インストール(英語)
図7
図7 インストール(英語)
図8
図8 インストール(英語)
図9 インストール(日本語)
図9 インストール(日本語)
図10
図10 インストール(日本語)
図11
図11 インストール(日本語)

ただし、インストールしたプログラムを動作させようとしたところ、

SSHログイン時にフリーズした

という障害が出ております図12、13⁠。

図12 SSHログイン時にフリーズ
図12 SSHログイン時にフリーズ
図13
図13 SSHログイン時にフリーズ

ちなみに、telnetログインについては普通に動作します図14⁠。

図14 telnetログインはOK
図14 telnetログインはOK

意外によく動く~動作速度にストレスは感じない

2つのアプリケーションについて、インストール~使用までを簡単に行ってみましたが、動いてしまえば速度面でのストレスは感じません。ただし、TeraTermのSSHログインのときのように、⁠なんで?」というところで使えなかったりするので、覚悟は必要でしょう。

きわめておおざっぱな所感~使えることは使えるが、覚悟と注意は必要。とはいえ「あたりまえ」を実現する方法が増えた

もともとの目的を考えると、⁠よく動かすなぁ」というのが正直なところです。筆者もこのあたり、覚悟しながら使ってみたわけですが、⁠意外によく動く」という、うれしい不意打ちを食らいました。

ただ、プログラムによって動作に不具合が出る可能性も否めず、今回は筆者がよく使う2つのプログラムを選定したら、前述のような不具合が出てきております。

もともと、動作に「完全なる動作保障」をしているソフトウェアは皆無ですが、それでも「本来開発側が想定した環境」で動作させているわけではありません。このあたりは留意して使っていただく必要があります。もちろん、Wineでの動作もサポートするようなソフトウェアは別です。

その他、前編の冒頭に「注意」とも書きましたが、これは「プログラムそのものの動作」以前に「そのプログラムを動かして良いか」という話や、⁠Wine環境で使って良いか」という話に気をつけなければならない、という意味です。

具体的には、プログラムやデータを使用する際の「ライセンス」がどうなっているかを確認する、ということです。もし「技術的に動作させられる」としても、⁠ライセンス上適正でない」ものは結局実際に使うわけにはいきません。

たとえば、最近Windows XP向けにメイリオフォントの配布が始まりましたが、このフォントのダウンロードページにいくと、⁠正規の Microsoft Windows を実行中のお客様にご利用いただけます。」という文言が明記されています。

Wineはあくまで「正規のWindows」向けの配布物であり、これをWineの上で使えるかといわれると、ライセンス上は使えないということになります。

もっとも、このようなことを気にせず使えるものソフトウェアであれば、自己責任の範疇ではありますが使えるのは良いことと言えます。

たとえば、Windowsで使い慣れたエディタを使いたい、という単純な(でもものすごく制限があった)要望も満たせるようになってきます(今回は解説しませんでしたが、サクラエディタについては、インストール時の画面表示がおかしい以外は普通に使えるようです⁠⁠。

「あたりまえ」を実現する方法がまた1つ増えたと考えると、すばらしいことです。

新たなる脅威~Windows向けMalwareの動作の危険性

「あたりまえ」を実現する手段が増えることはすばらしい、と書きましたが、これは「Windowsではあたりまえ」とされる脅威がLinuxにもやってくる、ということも意味してます。

これについては、WindowsのあたりまえをLinuxでも実践する、ということが必要になります。

すばらしいツールを悪夢のツールにしないように、使う人も気をつけてください。

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