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第3回 Citrix XenServer5.6を使ってみよう[①環境構築編]

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仮想マシンの作成・操作

XenServerとXenCenterの準備は完了しました。実際に仮想マシンを作成してXenServerの機能を試してみましょう。

ゲストOSの選択における注意

インストールするゲストOSを選択する際,XenServerがサポートしていないゲストOSはXenServer Toolsをインストールできないことに注意してください。XenServer Toolsがインストールされていないと,仮想マシンのライブマイグレーション等の機能は利用できません。

たとえば,Fedora 13にて後述するXenServer Toolsのインストールのためのスクリプトを実行すると,エラーを返さずに終了します。しかし,XenCenterから仮想マシンのGeneralタブにあるVirtualization stateを確認すると「Tools not installed」のままであり,正しくインストールされていません。

ゲストOSのインストールメディアの準備

仮想マシンにインストールするゲストOS のインストールメディアを準備します。方法としては以下のものがあります。

  • ネットワークインストールの利用(Linuxのみ可能)
  • サーバの物理ドライブの利用
  • CIFS(Windowsファイルの共有)でISOイメージを用意
  • NFSでISOイメージを用意

最も簡単なのは,サーバの物理ドライブを利用することです。サーバの物理ドライブにインストールメディアをセットすれば準備完了です。

CIFS やNFS 用のファイルサーバが利用できるなら,XenCenterからそれらのサーバを登録することで,ファイルサーバ上のISOイメージを利用できます。たとえば,NFSなら以下の手順でファイルサーバ上のISOイメージを参照できます。

  1. ウィンドウ左側からサーバを選択した状態でNew Strageを選択
  2. NFS ISOを選択
  3. ストレージに付ける名前とファイルサーバのIPアドレス,およびファイルサーバ上の共有するディレクトリパスを入力

ファイルサーバ上のファイルにアクセスできれば,ファイルサーバが登録されます。これはStrageタブから確認できます。NFSの場合は,ここまで行えば準備完了です。

XenCenterで仮想マシンを作成

仮想マシンにゲストOSをインストールします。手順は以下の通りです。

① OSの種類

メニューから「New VM」を選択すると,仮想マシンの作成が始まります。最初にインストールするOSの種類を選択します。UbuntuやFedora等,選択リストに入っていないOS(XenServer がサポートしていないOS)をインストールしたい場合は「Other install media」を選択してください。Linux Supplemental Packsをインストールしていれば,ここで「Demo Linux VM」を選択することができます。これを選択すると,OSのインストールを省略してパスワードとホスト名の設定だけで仮想マシンを作成できます。作成された仮想マシンはXenServer Toolsもインストールされています。

②作成する仮想マシンの名前付け
③インストールメディアの選択

CIFSかNFSの設定を行っている場合,ここでファイルサーバ上のISOイメージを指定できます。

④仮想マシンを稼働させるサーバの選択
⑤割り当てる仮想プロセッサとメモリの設定

XenServerでは物理プロセッサ数よりも仮想プロセッサ数を多く設定できます。しかし,プロセッサ数やメモリを大きな値に設定してしまうと,パフォーマンスが低下するので注意してください。

⑥仮想ディスクの設定

仮想マシンに割り当てる仮想ディスクの容量を設定します。仮想ディスクを設置するサーバ,割り当てる容量の設定を行ってください。

⑦仮想マシンにて利用するネットワークインターフェースの選択

物理サーバに搭載されているネットワークインターフェースに応じた,仮想ネットワークインターフェースを仮想マシンに割り当てできます。物理サーバに複数搭載されている場合,仮想マシンにも複数割り当てるようになっています。不要なネットワークインターフェースは削除してください。

⑧設定の最終的な確認

以上の設定を完了後,しばらくするとウィンドウの左側にて作成した仮想マシンが表示されます。⁠Start the new VM automatically」をチェックしていれば,仮想マシンが自動的に起動します。待っても変化が確認できない場合は,Logsタブから作成の状態を確認してみてください。

仮想コンソールでゲストOSを操作

起動した仮想マシンは,コンソールから操作することができます。Consoleタブを選択すると,ゲストOSの画面が表示されます。コンソールからゲストOSのインストールを進めてください。

コンソール画面はデフォルトではサイズが小さくて見にくいと思われます。コンソール画面は,左下のUndock やFullscreenを使用することで拡大することができます。これらを使って自分好みのサイズに画面を調整してください図2⁠。

図2 Undockを有効にするとコンソールが新しいウィンドウに出力される

図2 Undockを有効にするとコンソールが新しいウィンドウに出力される

XenServer Toolsのインストール

ゲストOS のインストールが終了したら,XenServer Toolsのインストールを行います。これは後述する仮想マシンのマイグレーション等を行うために必要となります。

仮想マシンが起動している状態で,メニューのVMにて「Install XenServer Tools」を選択します。すると,ゲストOS の仮想ドライブにXenServer ToolsのISOイメージがマウントされます。

Windowsの場合は,インストーラを起動してインストールを行い,再起動を行ってください。Linuxの場合は,ISOイメージの内部にあるスクリプトLinux/install.shを実行してください。インストールに成功すると,GeneralタブにあるVirtualization stateが「Tools not installed」から「Optimized(version 5.6 installed)」に変化しているはずです。

光学式ドライブ使用に関する注意

サーバの物理ドライブを使用していると,ゲストOSにて仮想ドライブからディスクの取り出しを行っても,物理ドライブからディスクが出てこないことがあります。その時は,コンソール画面の上にある「Eject」を選択してください。

寄り道:Windows以外のOSから仮想マシンを操作

XenCenterはWindowsでなければ利用できません。これに対し,Windows以外のOSからXenServerを操作するための手法の1つとして,OpenXenManagerがあります。

OpenXenManagerはOpenXenCenterとも呼ばれます。現在,Windows以外にもMac OS X,Ubuntu,Debian,CentOS,FreeBSDに対応しています。OSによってインストールが異なり,WebサイトにあるWikiにそれぞれのOSにおけるインストール方法があります。

筆者はUbuntu10.04にてOpenXenManagerを使用しました。見た目と使用方法はXenCenterと似ており,サーバへの接続や仮想マシンの作成,コンソールを用いたゲストOSの操作,スナップショットの取得等,基本的な操作はXenCenter とほぼ同様に行えます図3⁠。

図3 OpenXenManagerをUbuntu10.04で使用した様子

図3 OpenXenManagerをUbuntu10.04で使用した様子

しかし,XenCenterと比較すると,OpenXenManagerにはいくつかまだ不安定なところがあります。筆者の環境ではスナップショットを取得している途中に突然プロセスが死んでしまったり,フリーズしてしまうこともありました。また,XenCenterと比べてコンソールにおけるマウスの反応が遅かったり,SnapshotタブにRevert to Snapshotボタンがない等の違いがあります。現状ではまだ一部不安定なところはありますが,Linux やMacOSX等からXenServerを操作してみたい方は利用してみてはいかがでしょうか?

著者プロフィール

白石光隆(しらいしみつたか)

1984年生まれ,愛媛県松山市出身。現在は筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻博士後期課程に所属。大学にて仮想化技術に関する研究に従事している。また,日本仮想化技術株式会社にてインターン中である。

主にオペレーティングシステム,仮想計算機,分散システムに興味を持ち,これらに関する技術書等を漁ることで,計算機の低レイヤーに潜ることを目指している。最近は某やわらか研メンバーとカタン島の開拓に勤しんでいる。