クラウド運用のリアルを変革につなげるには?―「Cloud Operator Days Tokyo 2022」の歩き方

#01期待される“クラウド運用エンジニア”可能性 「Cloud Operator Days Tokyo 2022」プレイベントから

クラウドの運用担当者に焦点を当て、その技術やノウハウを共有するイベント「Cloud Operator Days Tokyo(CODT⁠⁠」が、⁠Cloud Operator Days Tokyo 2022」として今年も開催されます。

Cloud Operator Days Tokyo 2022 運用者に光を! ~変革への挑戦~
URL:https://cloudopsdays.com/
「Cloud Operator Days Tokyo 2022」開催概要
「Cloud Operator Days Tokyo 2022」開催概要

6月27日(月)からオンデマンド配信形式で開催されるメインのセッションに先立ち、5月31日(火)にプレイベントが開催され、オンラインで配信されました(プレイベントの動画はアーカイブとして視聴可能です⁠。

今回はこのプレイベントの模様をお伝えしながら、⁠Cloud Operator Days Tokyo 2022」の見どころ、歩き方をご紹介します。

プレイベントをお届けする舞台となったのは東京、大手町にある「OPEN HUB Park⁠⁠。2022年2月にオープンしたばかりのワークプレイスです
プレイベントをお届けする舞台となったのは東京、大手町にある「OPEN HUB Park」

“ノウハウ・知識の共有”から“新たな価値の創出”

プレイベントのオープニングには、CODT実行委員会 委員長を務めるAXLBIT株式会社 社長の長谷川章博氏が登壇しました。今回で「Cloud Operator Days Tokyo」として3回目となる同イベントですが、前身の「OpenStack Days Tokyo」から数えて10回目の開催を迎えます。長谷川氏から、過去の開催をふまえた今回の特徴について紹介がありました。

今年の開催趣旨を紹介するCODT実行委員会 委員長 長谷川章博氏
CODT実行委員会 委員長 長谷川章博氏

今年も引き続き「運用者に光を!」というメインテーマに変わりはありません。ただ、今年はそこにさらに「~変革への挑戦~」という言葉が追加されました。クラウド系に限らず多くの技術イベントは新しいテクノロジーやツール、そしてそれを使ったサービス構築がメインテーマとなりがちです。しかし、現実にはクラウド上のサービスやシステムの運用に必要な技術や知識の共有が進んでいないという課題があり「運用者に光を当てる」原点となっているわけですが、今年はこの原点をさらに進めた狙いがあると言います。

その狙いを象徴するのが、今年新たメイントピックに加わった「CCoE(Cloud Center of Excellence⁠⁠」です。CoEとは通常、大きな組織全体から人材や技術リソースを集めた横断的な部署を指しますが、さらにクラウド利用時の課題解決や活用にあたっての障壁を排除してクラウドをより利用しやすくする目的を掲げて活動するのがCCoEです。このCCoEの話題をいち早く取り上げ、従来のように運用にまつわる知識を共有するだけでなく、集めた集合知を積極的に活用して新たな価値を作り出すという一歩進んだ事例紹介が予定されています。

今年はCCoE(Cloud Center of Excellence)に注目
今年はCCoE(Cloud Center of Excellence)に注目

運用チームに光を当てるとビジネスが変わる?!

長谷川氏のトークを受け、プレイベントのキーノート「運用こそが利益の源泉」に登壇した成迫剛志氏(岐阜大学 客員教授 / Design for ALL Co-founder / 株式会社デンソー)は、さらに尖った提言を行いました。

成迫剛志氏
成迫剛志氏

成迫氏はクラウドなどを使ったサービスをビジネス視点で考え、利益を出すための原動力として運用チームの力を活用すべきと説きます。

ビジネス視点で考えると、新規事業成功のカギとなるのが①如何にコストを減らすか? ②如何に売上を増やすか?③如何に初期費用を抑えるか? の3点ですが、どの視点にも運用チームが貢献することが可能とのことです。

ビジネス視点での新規事業(サービス)成功のため考えるべきこと
ビジネス視点での新規事業(サービス)成功のため考えるべきこと

新規サービスを立ち上げる際に、小さく始めるいわゆる「リーンスタートアップ」が当たり前になり、開発はもちろん運用のフェーズにおいてもアジャイル、DevOpsといった手法が一般的になった結果、運用の現場が現状維持以上のポテンシャルをもち、期待されるようになりました。

こうした運用チームに対する考え方の1つに、Googleが提唱するSRE(Site Reliability Engineering)という方法論があります。運用チームが開発に近い部分までカバーしてシステム管理を担当することでサービスの品質や信頼性が上がるというものですが、成迫氏はさらに踏み込んで、運用チームがサービス企画の段階から積極的に参加し、運用ならではの知見を活かすべきという考え方を提案しました。これを氏はSREをさらに拡張したExtended SRE(E-SRE)と名付け、経営陣がE-SRE的な視点からプロジェクトを企画することが大きな利益をもたらすと言います。これがキーノートのタイトルである「運用こそが利益の源泉」につながります。

「E-SRE」とは?
「E-SRE」とは?

実践すると運用担当者がオーバーワークになりそうで少し心配ですが、先の「CCoE」同様、これだけ重要な役割を担うことになれば、運用担当者も相当奮起することでしょう。⁠Cloud Operator Days Tokyo 2022」では、このように運用チームが日々で培った知識をプロジェクト全体に活かすためのポイントが掴めるかもしれません。

「運用者に光を当てる」コンセプトを体現する「ヤングオペレーター賞」

そして今年も参加者、発表者のモチベーションを上げるのが、⁠Cloud Operator Days Tokyo」のクライマックスに用意されているクロージングイベントです。昨年は配信のみで行われたクロージングですが、今年はリアルとオンラインのハイブリッドイベントとして、7月27日(水)に東京、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて開催されます。クロージングではOpenInfra FoundationのJonathan Bryce氏、そしてこのイベントではおなじみOpenInfra Foundation COOのMark Collier氏によるキーノートのほか、いくつもの講演、トークセッションが予定されています。

そのハイライトとなるのが「クラウドオペレーターアワード」です。今年も予定されている全72セッション中から、大賞をはじめ各スポンサー賞などさまざまな賞が選ばれます。中でも、入社3年目までの発表者を対象とした「ヤングオペレーター賞」は、今後の同イベント、ひいてはクラウド業界にとっても注目のアワードといえます。プレイベントでは「ヤングオペレーターパネル」と題して、昨年の「ヤングオペレーター賞」受賞者3名によるパネルディスカッションが行われました。

パネルに登壇されたのは、高橋陽太氏(ヤフー株式会社:受賞セッション「Yahoo! JAPANのIaaSを支えるKubernetesクラスタのアップデート苦労話」⁠、坂齊史奈子氏(日本電信電話株式会社:受賞セッション「新入社員が9ヶ月でクラウド運用の自動化システムを作ってみた」⁠、源波陸氏(株式会社サイバーエージェント:受賞セッション「VictoriaMetrics によるクラスタ横断監視基盤を1年運用して得られたこと」の3名の方々です。

「ヤングオペレーターパネル」に登壇した3名。右から、源波陸氏(株式会社サイバーエージェント⁠⁠、坂齊史奈子氏(東日本電信電話株式会社⁠⁠、高橋陽太氏(ヤフー株式会社⁠⁠、左端はモデレータを務めた長谷川章博氏
「ヤングオペレーターパネル」に登壇した3名。右から、源波陸氏(株式会社サイバーエージェント)、坂齊史奈子氏(東日本電信電話株式会社)、高橋陽太氏(ヤフー株式会社)、左端はモデレータを務めた長谷川章博氏

パネリストの皆さんはいずれも2020年の入社で、社会人になって以来リモートワークがメインという職場環境の中、業務を行ってきたとのこと。そんな中、皆さん先輩の勧めや職場に関係者がいたなど、ある意味恵まれた環境もあり、⁠Cloud Operator Days Tokyo」に応募→採用された経緯をお持ちです。

とはいえ、そもそも仕事の成果がなければ発表も、ましてや受賞もできないわけで、⁠ヤングオペレーター賞」受賞後は、社内での発表会やブログの執筆依頼がくるようになったり、⁠発表を見たよ」と声をかけられたり、また新たな仕事を任せられるようになったりと、3名それぞれご自身の身の回りの変化を語りました。

また、先にも挙げた2020年入社の「コロナ入社一期生」⁠この呼び方はちょっとどうなのかと思いますが…)である3名は、さすがにネットに慣れ親しんだ世代らしく、リモートワークという職場環境については比較的抵抗ないようです。一方、対面でのコミュニケーションや現場作業の重要性も十分理解されており、場合によって使い分けるバランスの取り方も上手いという印象を持ちました。こうした感覚は「Cloud Operator Days Tokyo」や社内イベントでの発表、そのための準備によって培われる部分もあるのでしょう。

興味深かったのは、今後身につけたいスキルとして、LinuxやOSなどの低レイヤの知識(高橋氏⁠⁠、HTML、JavaScript、React等のフロントエンドの知識(坂齊氏)と答えたり、後輩へのアドバイスとしてコンピュータサイエンスの基礎知識を身につけること(源波氏)を挙げた点です。皆さんITに関する基礎的な知識を重視されているのが伝わります。これも運用の仕事に携わる中で身につく視点かもしれません。

オンデマンド7トラック全72セッション、その見どころ

プレイベントの最後に、CODT実行委員で日本OpenStackユーザ会会長の水野伸太郎氏より、6月27日(月)から配信されるメインセッションの紹介がありました。昨年と同じく1本20分程度の短めのセッションを踏襲する形で配信され、日常業務の合間に視聴できるよう配慮されています。テーマは以下の7トラック。先にも紹介しました「Cloud CoE」トラックが新設され、セッション数は少ないですが注目されます。

  • 大規模システム運用 …11セッション
  • 運用苦労話(しくじり、トラシュー)…12セッション
  • 運用自動化(Dev/Ops、CI/CD)…18セッション
  • 社内基盤(情シス、開発環境)…10セッション
  • Cloud CoE …3セッション
  • サービス・アプリケーション運用 …12セッション
  • 製品・技術トレンド …6セッション
オンラインセッションの紹介を行う水野伸太郎氏。プレイベントの時点では実行委員会でもセッションの概要しか情報をもっていないため、水野氏もジャケ買いならぬ「タイトル買い」的な紹介をされていました
オンラインセッションの紹介を行う水野伸太郎氏。プレイベントの時点では実行委員会でもセッションの概要しか情報をもっていないため、水野氏もジャケ買いならぬ「タイトル買い」的な紹介をされていました

水野氏によるオンデマンドセッションの紹介の模様も、プレイベントのアーカイブ動画の中でご覧になれます。

「CCoE」トラックの紹介。3セッションですが、期待値は高いです
「CCoE」トラックの紹介。3セッションですが、期待値は高いです

gihyo.jp編集部のおすすめは、やはり今年も「運用苦労話」のトラックになります。

「運用苦労話(しくじり、トラシュー⁠⁠」トラック12セッション
「運用苦労話(しくじり、トラシュー)」トラック12セッション

その中で、タイトルから見たgihyo.jp編集部の"推し"セッションは…

4.国内最大級のコンテナ型データセンタをイチから作ってみた~ クラウド先にあるモノ~ クラウド先にあるモノ~(国立研究開発法人通信研究機構)
「○○してみた」にハズレなし。しかもデータセンターを作るというスケールの大きさが気になります。はたしてその顛末は?
6.神エクセルもない状態からの脱却、読める書けるぞTerraform(DENSO Corporation)
「神エクセル」というパワーワードとTerraformという今ふうな(?)ツールを並べるギャップ感がすごいですね。期待大です。なおTerraformの開発元であるHashiCorpによるセッションも「運用自動化」のトラックにエントリーされています。
11.失敗あるある on Azure(日本マイクロソフト株式会社)
「あるある」もありがちですが気になるフレーズ。Azureでの失敗を、マイクロソフト自らがまとめてしまうところが期待できますね。

各セッションのタイトルは、「Cloud Operator Days Tokyo 2022」のサイトで確認できます。先に紹介しましたように1本20分程度と時間も短いので、興味の赴くままに視聴していくのが良いと思います。まずは視聴登録を行い、6月27日の配信開始を待ちましょう!

Cloud Operator Days Tokyo 2022 運用者に光を! ~変革への挑戦~
URL:https://cloudopsdays.com/

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