低予算で最大限の効果を狙え! リユースサーバ活用の秘訣

第4回クラウドサービスを支えるリユース機器

メールやストレージ、アプリケーションといった環境を提供するクラウドサービスは、ここ数年で急増しています。競合他社に勝つためには、システムを迅速に構築し、安価なサービスを提供する必要があります。最終回となる今回は、データライブ 代表取締役 山田和人氏とともに、リユース機器を活用したクラウドサービスの提供を開始するクロスパワーを取材しました。

クラウドサービスを開始したクロスパワー

システムコンサルティングやインテグレーションなどを手がけるクロスパワーは、 2006年に設立し今年で4期目を迎えるIT企業です。この厳しい経済状況の中、堅調に成長を続け、現在では40名の社員を抱えています。同社代表取締役 大江龍介氏は、⁠設立当初はJavaプログラミングなどのアウトソーシング開発をメインに行っていましたが、現在はインフラの設計や構築といった業務に注力しています」と、市況に左右されづらいインフラ系への展開を行ったことを成長の要因であると語りました。

株式会社クロスパワー 代表取締役 大江龍介氏
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こうした情報システムの開発事業を中心に展開してきた同社が新たに開始するサービスが、中小企業向けのクラウドサービスです。その第一弾として、6月4日から「おまかせファイルサーバ」サービスが提供されます。このサービスはインターネット上でストレージを提供するもので、ブラウザからのアクセスだけでなく、プラグインをインストールすることで、LAN内に設置したNASのように、Windowsのエクスプローラ上で利用できるという特徴があります。

おまかせファイルサーバ
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URL:http://omile.jp/
ドラッグ&ドロップでLAN内にあるように扱えるインターネットディスク。料金は5GBで4,800円/月から。100GBの容量にも対応する。初回は30日間無料で試用可能。

「企業でのPC利用はあたりまえになりましたが、共有ファイルの置き場所は悩みの種になっています。特にITを苦手とする中小企業の場合、自社にファイルサーバを置くとなると、機器の購入費用や故障時にどうするかといった問題が出てきます。そんな企業のために、まずはファイルサーバサービスを始めました」と大江氏は語ります。

バックアップサーバにリユース機器を採用

このシステム設計や構築に当たったのが同社事業企画部教育課・事業企画課リーダーの石崎修也氏です。⁠お客様のデータをお預かりすることもあり、サーバは自社が契約するデータセンタ内に設置し、堅牢なシステムを構築する必要がありました」⁠石崎氏⁠⁠。サーバを3台構成で構築することにしたものの、安価にサービスを提供するためには、ハードウェアのコストを低く抑える必要がありました。そこでバックアップ用サーバにリユース機器の採用を決めたそうです。しかし、簡単に機器が購入できたわけではなかったようです。

「会社が秋葉原にあることもあり、当初、近くのリユースサーバ取扱店に相談しに行きました。しかし高スペックのハードウェアを希望していたため、新品を提案されてしまいました。見積額も納得のいくものではなかったので、インターネットで検索して見つけたのが、データライブでした」と石崎氏はデータライブとの出会いを振り返ります。⁠最初の店では扱っていなかった希望モデルが安く購入でき、入金してから3日程度で納品されたこともあり、スケジュール通りにサービスを開始できました」⁠石崎氏⁠⁠。

株式会社クロスパワー 事業企画部教育課・事業企画課リーダー 石崎修也氏
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リユース機器で競争力を得る

ファイルサーバサービスの次に、クロスパワーはどういったクラウドサービスを展開していくのでしょうか。⁠アプリケーションサーバ関連サービスを提供したいと考えています。ユーザが各社でサーバを用意することなく、安価そして迅速にソフトが利用できる環境を提供したいです」と大江氏は展望を語ります。

データライブの山田氏は「クラウドサービスを提供するには、迅速にシステムを構築する必要があります。また、サービスの提供価格が高くては勝負にならないので、そのためには、低コストでサービス全体を構築する必要があります。グローバルでは、クラウドにおいてもリユースサーバの活用が有効な手段になっています。日本も同様になっていくでしょう」とコメント。クロスパワーのように、リユース機器をうまく活用して初期投資費用を抑え、短期間でシステムを構築し、安価で競争力のあるサービスを提供していくことは、今後世界規模での展開するビジネスには必須な要素と言えます。

データライブ株式会社 代表取締役社長 山田和人氏
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リユース機器はサーバに限らずPCにも

リユース機器は、サーバに限らずネットワーク機器やクライアントPCの分野でも活用できます。クロスパワーでは、スタッフが使用するPCもリユース機器を活用しているそうです。⁠WordやExcel、メール、Webブラウズといった程度なら、最新モデルでなくても十分に使えます」と大江氏。

新品の代わりにリユースPCを安価で購入し、残った予算をテスト環境整備などの目的に割いたほうが、業績にも貢献しそうです。


本連載では、リユース機器の紹介と、機器を活用する企業を紹介してきました。各社、用途はさまざまでしたが、新品に比べ価格が1/4~1/10と安いことが、取引を始めた切っ掛けでした。しかし取引後は、各機器への出荷前検査を十分に行うことで提供される高い品質、在庫のサーバを納品するのだけでなく顧客の声を聞き必要なスペックのサーバを提供する提案力、そして納品までのスピードや多様な機器を取りそろえる調達力を評価する声が多く聞かれました。

米国では一般的な潮流となっているリユースサーバ市場。日本でも一般的に利用されるようになるまでそう時間はかからないかもしれません。

関連URL

リユース機器の検索と購入
リユースサーバ
URL:http://www.reuseserver.net/
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リユースネットワーク
URL:http://www.reuse-network.net/
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リユースPC
URL:http://www.reusepc.net/
データライブ
URL:http://www.datalive.co.jp/

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