教科書には載っていない ネットワークエンジニアの実践技術

第13回 OSPFのダウンタイムを考えてみよう

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②ルータ1がDR,ルータ4がBDRだった場合

つまり,ルータ2とルータ3が共にDROTHERの場合ということですね。動作を確認してみましょう。

図3

図3

ブロードキャストネットワークでは,DRを経由してLSAが伝播されます。もっと本質的に言えば,仮想ルータを介してつながっているかのような振る舞いをします(この点については前回を参照してください)⁠この仮想ルータの役割を果たすのがDRでしたね。

この場合,DRであるルータ1がダウンしていますので,コアスイッチ(L3)が発行したType-1 LSAがルータ3へ到達できません。したがって,Helloパケットが途絶えて40秒経過してからルータ2,3,4がダウンを検知し,新しいDRが選出されるまでPingがダウンします。SPF Delayと合わせると,約45秒ほどのダウンタイムになるでしょう。

③ルータ1がDR,ルータ2またはルータ3がBDRだった場合

BDRとは「Backup DR」であり,その名のとおり,DRがダウンした場合にその役割をすぐ引き継げるよう,BDRとDROTHER間ではあらかじめネイバー関係を構築しておく,というようなことが教科書に書いてありますね。

詳細は技術文献などを参照していただくとして,要はルータ2かルータ3のどちらかがBDRだった場合には,ネイバー関係が構築されているので,DRがダウンしている状況でも,コアスイッチのLSAが伝播するのです。したがって,このケースでのダウンタイムは5秒ほどになります。

図4

図4


どうでしたか?

前回に引き続き,私らしからぬ? 技術的なコラムになってしまいましたが,ここで挙げた例のような「現場で実際に必要になる知識」というのは,教科書を読んでもなかなかわからないことが多いと思います。しかし,順を追ってひとつひとつ動作を確認していけば,それほど難しい話ではないのです。

著者プロフィール

高木圭一(たかぎけいいち)

ネットワーク業界でSEとして22年間の業務を経験した後,現在は独立。IPイノベーションズの専属コンサルタント・インストラクターとして活躍中。ネットワークを活用した新しいライフスタイルを確立し,浸透させることを目標として活動中であり,栃木県に在住。

  • 1986年 富士通ネットワークエンジニアリング(現FNETS)入社
  • 2000年 シスコシステムズへ転職
  • 2007年 独立・IPイノベーションズ専属コンサルタント・インストラクター

URLhttp://www.gogonetpro.com/