WebエンジニアにとってのIoT ~Physical Webが拓く未来~

第4回 Physical WebとiBeacon

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標準化が起こす競争のルールチェンジ

WindowsアプリからWebアプリへの移行期では次のようなことが起こりました。

(1)サービス事業者が専用サーバと専用Windowsアプリを両方とも用意していました。

図8 サービス事業者が専用サーバと専用Windowsアプリを両方とも用意

図8 サービス事業者が専用サーバと専用Windowsアプリを両方とも用意

(2)ユーザは標準仕様に準拠したブラウザを利用するになりました。サービス事業者は標準仕様に準拠したサーバにデータを置くだけでサービスを提供できるようになり,Windowsアプリは淘汰されて行きました。

図9 ユーザは標準仕様に準拠したブラウザを利用するになり,サービス事業者は標準仕様に準拠したサーバにデータを置くだけでサービスを提供できるようになった

図9 ユーザは標準仕様に準拠したブラウザを利用するになり,サービス事業者は標準仕様に準拠したサーバにデータを置くだけでサービスを提供できるようになった

(3)個人のホームページが乱立していたところにソーシャルネットワークサービスが,飲食店のWebサイトが乱立していたところにキュレーションサービスが出てくるなどして,同種類のコンテンツを統合するようなサービスの競争が標準化規格の上のレイヤーで始まりました。

図10 同種類のコンテンツを統合するようなサービスの競争が標準化規格の上のレイヤーで始まった

図10 同種類のコンテンツを統合するようなサービスの競争が標準化規格の上のレイヤーで始まった

同様に,独自のビーコン+専用アプリでビジネスを続けていると,Physical Webのような標準規格に準拠したブラウザが普及した際には,その上のレイヤーに最適化した競合にマーケットシェアを持って行かれる可能性が出てくるでしょう。

とは言え,オープンスタンダードが必ずしも常に勝つわけではありません。

モバイルにおけるネイティブアプリのマーケット寡占の状況を鑑みてもわかると思いますが,特定企業によるマーケットの支配的な独占がもたらす負の側面がある一方で,そういった企業が,spamやアダルトコンテンツなどからマーケットの健全性を守り,コンテンツプロバイダにも利益を還元する仕組みを作る努力を行うことで,ユーザやサードパーティに支持されるケースがあるのも事実です。

Physical Webも本格的に普及するのかはまだわかりませんし,一朝一夕で起こるような変化ではないとは思いますが,ビーコンを使った情報配信がマッチするようなビジネスを抱えている事業者は,この分野の進捗に対して敏感になっておく必要があるでしょう。

次回について

次回は,セキュリティなどの課題の洗い出しや,今後のサービスへの応用の可能性などについて解説して行きたいと思います。

著者プロフィール

加藤亮(かとうりょう)

ソフトウェアエンジニア。

比較的プロトコルとフロントエンド寄り。

2014年7月よりリクルートテクノロジーズアドバンスドテクノロジーラボ所属。