Ubuntu Weekly Recipe

第64回USBを使用して安全にUbuntuをインストールする

4月は新しいことが始まる季節です。それはUbuntuにとっても同じで、半年に1度の新バージョンのリリースがやってきます。それを記念して、今回はUbuntuのインストールという基礎の基礎をやってみようと思います。ただし、単なるインストールではなく、USBメモリやSDカードなど、HDDやSSD以外にインストールすることにします。これで、既存の環境を壊さずにUbuntuを使用することができます。

ここでは、例としてUbuntu 9.04 Betaをインストールすることにします。おそらくリリース版でも大きな違いはありません。

USBメモリの注意点

まず、ここではUSBメモリと括ることにしますが、Eee PCシリーズなどではSDカードから直接ブートできるので、そちらでもかまいません。もちろん、USBメモリに変換したSDカードやその他のフラッシュメモリでも同じです。

事前注意としては、HDDやSSDと比較して読み込み/書き込み速度ともに大きく劣るため、インストールには思うよりも時間がかかります。その点はご注意ください。

ISOイメージのダウンロード

ISOイメージのダウンロードはUbuntu Japanese Teamのサイトからダウンロードしてください。Ubuntu 9.04 日本語Remixは、4月25日までにはダウンロード可能になっているはずです。ここではBeta版を使用するので、国内ミラーからダウンロードします。

インストールメディアの用意

Ubuntuのインストール方法はいくつかありますが、ここではCD-Rからインストールする基本的な方法と、ISOイメージをUSBメモリにコピーし、そこからインストールする方法を紹介します。

CD-Rの場合は、適切なライティングソフトウェアを使用してください、ISOイメージをそのまま焼かないように注意しましょう。

USBメモリの場合はUbuntuの環境が必要です。ここでは例として、Ubuntu Japanese TeamのサイトからVMwareのイメージをダウンロードし、これでUSBメモリを使用することにします。[ubuntu-ja-8.04-vmware-i386.zip(仮想マシン本体)]をダウンロードしてください。VMware Playerをお使いでない方は、これもあわせてインストールしてください。

ubuntu-ja-8.04-vmware-i386.zipを解凍して、VMware Playerを起動します。[開く]をクリックし、解凍したフォルダを選択すると[Ubuntu.vmx]が選択されますので、[開く]をクリックして起動します。続いて質問に答えてアカウントを作成し、ログインします。いちおうアップデートマネージャを起動してアップデートし、再起動します。

[システム]-[システム管理]-[ソフトウェア・ソース]でソフトウェア・ソースを起動し、[アップデート]タブの[サポートされていないアップデート(hardy-backports)]にチェックを入れ、[閉じる]をクリックします。そしてリポジトリのアップデートを実行するため、[再読込]をクリックしてください。

図1 [サポートされていないアップデート(hardy-backports)]にチェックを入れる
図1 [サポートされていないアップデート(hardy-backports)]にチェックを入れる

 完了したら、usb-creatorというパッケージをインストールします。端末から次のコマンドを入力するか、Synapticで検索してください。

sudo apt-get install usb-creator

インストールが完了したら、再びソフトウェア・ソースを起動し、[アップデート]タブの[サポートされていないアップデート(hardy-backports)]のチェックを外すことをオススメします。

ダウンロードしたISOイメージは、WindowsでコピーしてVMware PlayerのUbuntuで[貼り付け]することができます。これを使用するのが一番簡単でしょう[1]⁠。

次にUSBメモリを認識させます。Windows PCが認識すれば、VMware PlayerのUbuntuでも認識すると思いますが、もししなければVMware Playerのタイトルバーにある[デバイス]メニューから認識させてください。

[システム]-[システム管理]-[Create a USB startup disk]でusb-creatorを起動し、[other]をクリックしてISOイメージを指定し、[USB disk to use]でUSBメモリを選択します。その後[Make Startup Disk]をクリックし、作成してください。

図2 usb-creatorでUSBメモリにインストールイメージをコピーする
図2 usb-creatorでUSBメモリにインストールイメージをコピーする

USBメモリのインストールメディアに使用する場合の注意点

インストールメディアに使用するUSBメモリは1GBのものがもっとも適していますが、2GB以上の場合はちょっとした工夫が必要になります。以下の作業を行わないと、ブートしません。

  1. gpartedをインストールする
  2. USBメモリを認識させる
  3. [システム]-[システム管理]-[パーティション・エディタ]を起動する
  4. 右上のドライブ選択でUSBメモリを指定する(多くの場合は/dev/sdb)
  5. その下の黄緑で囲まれた部分を右クリックし、[フラグの管理]をクリックする
  6. [LBA]にチェックを入れ、[閉じる]をクリックする
図3 パーティション・エディタ
図3 パーティション・エディタ

これでもブートしない場合は、gpartedで1GB以下のパーティションを作成してみてください。そこまでやってもダメであれば、BIOSの設定による問題の可能性が高いです。例えば筆者のとあるPCでは、Bootメニューにある[USB Mass Storage Emulation Type]を[All Fixed Disc]にしないと起動しませんでした。

なお、フォーマット形式はFAT32なので、Windowsでも可能です[2]⁠。

BIOSの設定

詳しくは触れませんが、BIOSの設定を変更してCD-ROMドライブなりUSBメモリなりからブートできるように設定することを忘れないでください。

いよいよインストーラをブートする

準備が整ったら、いよいよインストーラをブートします。ここでは例としてEee PC 901を使用するので、USBメモリからSDカードにインストールします。通常はCD-RからUSBメモリというパターンが多いでしょうか、もちろんUSBメモリからUSBメモリへのインストールも可能です[3]⁠。Eee PCシリーズのみですが、SSD以外から起動する場合は起動する時にEscキーを押して、ブートするデバイスを選択してください。それ以外の機種では、BIOSでの設定が優先します。

  1. 最初の画面では[Japan]を選択して、さらに[コンピュータに変更を加えないでUbuntuを使ってみる]を選択します。[Ubuntuをインストール]でもかまいませんが、パッケージのインストールに無線LANを使用したい場合は、普通にデスクトップを起動して無線LANを使えるようにし、インストールを開始するという手が使えます[4]⁠。

  2. デスクトップが起動したら、[インストール]をダブルクリックするのですが、インストールするUSBメモリがマウントされている場合は、事前にアンマウントしてください。無線LANを使用する場合は、その設定も行ってください。その後、インストーラ[5]を起動します。ここでは、[日本語]が選択されていることを確認して[進む]をクリックしてください。

    図4 ようこそ
    図4 ようこそ
  3. ここでは、[Asia][Tokyo]が選択されていることを確認にして[進む]をクリックしてください。

    図5 地域の指定。微妙に東京でないのはご愛敬
    図5 地域の指定。微妙に東京でないのはご愛敬
  4. キーボードも英語キーボードを使っている場合以外はこのままでいいでしょう。[進む]をクリックしてください。

  5. 図6 キーボードレイアウト
    図6 キーボードレイアウト
  6. インストーラがマウントしているディスクをアンマウントしようとします。/dev/sdbは通常起動しているディスクなので、アンマウントできません。[戻る]をクリックしてください。最初にアンマウントするのを忘れていた場合は、ここでアンマウントしてください。

    図7 インストーラによるアンマウント
    図7 インストーラによるアンマウント
  7. 実際にインストールするディスクを選択します。ここでは/dev/sdcを選択します。

    図8 ディスクの準備
    図8 ディスクの準備
  8. ユーザ名とパスワードとホスト名を入力します。

    図9 ユーザアカウントとホスト名の設定
    図9 ユーザアカウントとホスト名の設定
  9. 今回は特にインポートしないので、このまま[進む]をクリックします。

    図10 ドキュメントと設定のインポート
    図10 ドキュメントと設定のインポート
  10. これが最後の確認です。まずは[sdc]になっていることを確認します。次に、必ず[拡張]をクリックします。

    図11 インストール準備完了だけど[拡張]をクリックする
    図11 インストール準備完了だけど[拡張]をクリックする
  11. ここが一番のポイントです。[ブートローダをインストールするデバイス]が[/dev/sdc]とインストール先と同じになっていることを確認します。確認が終わったら[OK]をクリックし、[インストール]をクリックしてインストールを開始してください。

    図12 ブートローダのインストール場所を確認する
    図12 ブートローダのインストール場所を確認する
  12. あとは待っていれば完了です。一度シャットダウンし、インストールイメージの入ったUSBメモリを抜いて起動してください。

次回は、インストール直後にやることやオススメの設定を紹介します。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧