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第87回 Stellariumで星空を眺める

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天体の拡大・縮小

M31(アンドロメダ銀河)といったメシエ天体や,惑星には拡大したときに,より詳しい画像が表示されるようになっています。特に惑星については,NASAなどで公開されている観測画像を元にリアルタイムで表面のテクスチャを描画しています。

例えば「検索画面 [F3]」「木星」を検索し,"/"を二回入力すると,木星の拡大画像が現れます。"g"を押して地面を消し,"a"を押して大気の描画を止めた上で,"l"を何回か押すと木星が自転する様子がわかるでしょう図3⁠。

図3 木星の大赤斑とガリレオ衛星。赤い線は天体ではなくカーソルです。

図3 木星の大赤斑とガリレオ衛星。赤い線は天体ではなくカーソルです。

スクリプト機能

Stellariumにはスクリプト機能が実装されています。これを使うと,まるでプラネタリウムの番組のように特定の天文現象をStellarium上で「上映」することができます。

2009年の7月22日の日食は,久しぶりに日本の一部の陸地でも皆既日食が見られるとあって,さまざまなメディアでも取り上げられました。残念ながら日本は多くの地域で天候に恵まれなかったようで,分厚い雲に涙を飲んだ方も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。

Stellariumの0.10.2には,この日食を再現するスクリプトが標準で用意されています。⁠環境設定 [F2]」「スクリプト」からsolar_eclipse.sscを選択して再生ボタンを押してください。すると,バングラデシュのRangpurという都市からの日食の様子が再現されます。ただし,あくまでStellariumの描画機能を使った日食の再現ですので,現実の日食とは雰囲気が異なります。

このスクリプトは,誰でも自由に作成・配布することができます。

天体カタログの追加

Stellariumは,Hipparcos,Tycho-2,UCAC-2,USNO-B1といった代表的な天体カタログを統合した,NOMADを天体データとして用いています。しかし,データ容量の都合上,200万個近くある天体のうち,パッケージには10.5等星未満の60万個のデータしか含まれていません。視力のある人が肉眼で見られる限界等級は,光害のない場所でも6等星までということなので,10.5等星というのは,その約60分の1の明るさということになります。通常の使用であれば,60万個表示できれば十分でしょう。

もっとたくさんの星を表示したい場合は,追加カタログのダウンロードを行う必要があります。⁠環境設定 [F2]」「表示ツール」を選択してください。一番下の「カタログを追加する」ボタンを選択すれば,追加のカタログを一つずつダウンロードできます注3⁠。ダウンロードしたファイルは,~/.stellarium/stars/default/以下に保存されます。

ちなみに,すべてのカタログをダウンロードすると,ファイルサイズだけで1GBを越えます。よって,メモリ容量はそれ以上に必要になりますので注意してください。Stellariumでは実行時にメモリ空き容量を確認し,可能なサイズだけカタログを読み込みます。なお,Stellariumは~/.stellarium/config.ini内のmax_memoryの値で,天体カタログに割り当てるメモリの上限を設定しています。実メモリだけでなく,このサイズを越えた場合も天体カタログの読み込みは行われません。

メモリ容量や読み込んだ天体カタログについては,⁠ヘルプ画面 [F1]」「ログ」に表示されていますので参考にしてください。また,天体カタログの容量については,StellariumのWikiも参考になるでしょう。

※3
「一つずつ」しかアップデートできないのは,配布サーバーに負荷をかけすぎないようにするためです。

夏休みの自由研究以外にも

今年2009年は世界天文年として,各地の天文台や自治体,天文同好会などが観望会やプラネタリウムショーなど,さまざまな天文イベントを開催しています。ぜひ,この機会にイベントに訪れて,さらにそのイベントで見た星空をStellariumでも再現してみてください。その際,⁠何時の星空を見たか」さえ覚えておけば良いでしょう。

最後に,この記事が掲載される9月頭付近の天文イベントについて一つ。9月10日の22時前から11日の1時ぐらいまで,プレアデス星団(すばる)の食が起こります。これは何かと言うと,東の空にあるプレアデス星団の前を数時間かけて月が通過する現象です。双眼鏡か望遠鏡があれば,月の影になっている部分の端からすばるの明るい星々が顔を出す様子を見ることができます。

下弦の月とはいえ,プレアデス星団に比べて月はとても明るいので,残念ながら肉眼だけで隠れる様子を見ることは難しいでしょう。でも,Stellariumを使えばその様子を再現できますので図4⁠,どんな現象なのか疑似体験されてみてはいかがでしょうか。

図4 プレアデス星団で一番明るいAlcyoneが,今まさに月の裏に隠れようとしています。

図4 プレアデス星団で一番明るいAlcyoneが,今まさに月の裏に隠れようとしています。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。