Ubuntu Weekly Recipe

第280回 次世代ディスプレイサーバ,Mir/XMirを試そう

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Mirのログを確認する

うまく起動できないときや動作がおかしいときは,/var/log/lightdm/以下に保存されているMirのログを確認することになります。Mirの起動まではlightdm.logに,Mirの起動以降のログはunity-system-compositor.logに残っています。すべてのログを出力したい場合は,/etc/lightdm/ligthdm.confに以下の行を追加してください。

unity-compositor-command=unity-system-compositor --glog --glog-stderrthreshold=0 --display-report=log

ちなみに,現在のMirはCtrl+Alt+Fxなどで他のVTへスイッチすることはできません注10⁠。UIが固まったら電源ボタンで強制的に再起動するしか方法はありませんので注意してください注11⁠。

注10)
ちなみにCtrl+Alt+Fxを押すと動作が固まったかのように見えます。Ctrl+Alt+F1を押せば復帰できます。
注11)
仮にコンソールが表示されると過去の入力イベントが丸見えという致命的な不具合もあります。

Mirを無効化する

Mirを一時的に無効化するには,LightDMの設定を変更します。/etc/lightdm/lightdm.conf.d/10-unity-system-compositor.confのtype行の先頭に「#」を追加してコメントアウトするだけです。

[SeatDefaults]
# type=unity

システムを再起動すると,Mirを起動せずに普通のXが起動します。ただし使用されるXはMir版のままですし,各種パッケージの優先度もそのままになります。

Mirを完全にアンインストールするなら,PPAごと削除してしまいましょう。まずは上記の方法で無効化し,さらに再起動を行ったうえで,次のコマンドを実行します。

$ sudo apt-get install ppa-purge
$ sudo ppa-purge ppa:mir-team/system-compositor-testing
(Mir用のパッケージが削除もしくはダウングレードされる)

これによりPPAからインストールしたパッケージの削除や更新されたパッケージのダウングレードが行われ,PPAを導入する前の状態に近い形に戻されます。インストール時に手動で作成した「/etc/apt/preferences.d/50-pin-mir.pref」も削除してしまってかまいません。

今後の予定

実際に動く状況に到達できたことで,Mirの今後のスケジュールも少しずつ詳しくなっています。まずMirの短期的目標は,Mirの各種パッケージをPPAから公式リポジトリに移動することです。これは2013年7月中,遅くともFeatureFreezeである2013年8月後半までには行われるはずです。また,PhoronixのテストでXMirの予想以上のパフォーマンスの低下が見られましたので,これの調査も優先度の高い事項になっています。

Ubuntu 13.10のリリースのタイミングでは,⁠Mirが標準で使われ,ほぼすべてのアプリケーションはXMir上で動作する」⁠バイナリドライバを使う場合は,従来のXサーバにフォールバックする」という状態になる予定です注12⁠。後者についてはバイナリドライバのMir対応が間に合えば,変わるかもしれません。

Ubuntu 14.04 LTSまでにはバイナリドライバの対応も終えている予定ですので,UnityとしてはXMirは必要なくなります。ただし,他のフレーバーの対応状況も踏まえて,LTSとしてXMirをメンテナンスし続ける予定です。

スマートフォンやタブレット向けのUbuntu Touchは,13.10でMirが導入される予定です。現在の開発版ではまだインストールされていませんが,別途PPAを追加することで動作確認できます。これも2013年7月中には移行する見込みです。

注12)
このためUbuntu 13.10はこれまで以上にかなり実験的なリリースになることが予想されます。さらに,13.04のサポート期間が9ヵ月になってしまったため,13.04を使っている人は14.04がリリースされるより前に13.10に移行する必要があることもポイントです。

まとめ

MirはUbuntuの中でもとりわけ若く,かなり挑戦的なプロジェクトです。まだ「ユーザに広くテストを募る」段階ですらなく,今回紹介した方法もおそらくすぐに古くなってしまうでしょう。

それだけに「新しいモノを作っている・それに関わっている感」は味わえます。Mirのコードリポジトリの履歴を視覚した動画を見ると,頻繁に全体への変更が加わっていることや,プロジェクトの開始からずっとほぼ数人で作業を行っていることがわかるでしょう。

そして腕に自信のある人はただ試すだけでなく,ソースからビルドしてみたりCanonicalに雇われてみたりするのも良いかもしれませんね。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。