Ubuntu Weekly Recipe

第439回 LibreOfficeとUbuntu Phone

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Desktop Apps Scopeの導入とLibreOfficeの起動

図5 Deskto Apps Scope

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隔離システムにインストールしたソフトウェアの起動スクリプトは,Ubuntu Phoneの本体のUIからは見えません。そこでUbuntuストアから「Desktop Apps Scope」をインストールします。この「Scope」はUbuntuの標準UIであるUnityのScopeと同じで,検索インターフェースを追加する仕組みです。Ubuntu Phoneの場合,アプリケーションを検索するApps Scopeや,ローカルやインターネット上の動画を検索するVideo Scopeなどが標準で有効化されています。

図6 Scopeの設定

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ホーム画面の下端の外側からゆっくりと上に向けてスワイプすると,Scopeの設定画面が表示されます。⁠Also installed」にインストールしたDesktop Apps Scopeがありますので,★マークをクリックして「Home」に移動してください。Homeに移動したScopeは,ホーム画面を左右にスワイプすることで切り替えることができます。Desktop Apps Scopeを表示するとLibreOfficeのアイコンが表示されているはずです。

左:図7 Desktop AppsにLibreOfficeが表示される
右:図8 Calcを表示した例:ソフトウェアキーボード経由で日本語入力もできる

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図9 Impressを表示した例:スライドショーも可能

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Desktop Appsでは,GUIアプリケーションを組み込みデバイス向けのX Window System環境であるMatchbox上で起動しています。よってツールキットなどのデザインがUnity7上のそれと異なることに注意してください。ちなみに上記スクリーンショットでは,隔離システムに言語パックをインストールしていないため,UIなどが英語になっています。

Ubuntu Phoneのポケットデスクトップ構想

LibreOfficeをUbuntu Phone上で起動できるものの,使い勝手は非常に悪いです。まずスマートフォンのディスプレイサイズが小さいため,UI上のアイテムのクリックは至難の業です。スタイラスが欲しくなるでしょう。そもそも一般的なデスクトップアプリケーションはあまりタッチデバイスを意識していないという問題もあります。ソフトウェアキーボードの場合,キーボードそのものが画面を占有する上に,ショートカットの入力にひと手間もふた手間もかかります。身も蓋もない言い方をすると,普通のLibreOfficeはUIや機能がスマートフォン向けではありません。

そこで次に出てくるのがUbuntuの「ポケットデスクトップ(Pcoket Desktop)構想」です。LibreOfficeがスマートフォンのUI向けでないのであれば,スマートフォンのUIを普通のPCと同じにしてしまえ,という無理矢理な構想です※7⁠。

※7
以前は「Convergence」という名前の構想でした。また「Ubuntu Desktop Next」第394回で紹介した「Ubuntu Personal」も目指すところは同じです。このあたりは名前がころころ変わる上に,厳密な定義や使い分けがされているわけではないので(以下略⁠⁠。あと「それなんてContinuum?」も禁句です。構想自体はUbuntuの方が先だった……そのはずです。
  • 通常操作時はスマートフォンのUI(シングルウィンドウモード)で動作する
  • 外部ディスプレイに接続したときPCのUI(マルチウィンドウモード)で動作する
  • マルチウィンドウモード時は以下の動作となる
    • 通常のPCと同じくマウスカーソルを表示する
    • 複数のウィンドウが重なりあって表示される
    • アクティブでないウィンドウも動作を続ける
    • スマートフォン側はタッチパッドやソフトウェアキーボードとして動作する

つまりスマートフォンに,外部ディスプレイとBluetoothマウスやキーボードを接続すると,ちょっとスペックの低いPCに早変わりするというわけです。なお以前はBluetoothマウスを接続した時もマルチウィンドウになっていましたが,いつの間にか挙動が変わったようです。

マウスが使えるようになるとLibreOfficeの操作性は格段に向上します。さらに外部キーボードをつなげばショートカットの入力も簡単になるので,編集作業が現実的になります。つまりポケットデスクトップと組み合わせて初めて,Desktop Apps機能が活きてくるというわけなのです。

Nexus 4のUSBポートはSlimportに対応しています。よって,実際にNexus 4を使ってポケットデスクトップを体感するためには,マイクロBのUSBコネクタをHDMIに変換する「Slimport変換アダプター」が必要になります。ちなみにMeizu PRO 5やBQ Aquaris M10はMiracastに対応しているため,ディスプレイ側がMiracastのSink機能を持っているかSink機能を追加するドングルをディスプレイに接続すれば,HDMIケーブルなしにポケットデスクトップ化が可能です※8⁠。

※8
Nexus 4やNexus 7 2013もMiracastのSourceになれるそうですが,動作が不安定らしくUbuntu Touchでは無効化されています。

これらを組み合わせると,スマートフォンとBluetoothデバイス,それにいくつかのケーブルを持ち歩くだけで,ホテルや会議室といった出先のディスプレイを使ってPC代わりの環境を再現し,LibreOfficeをそこそこ快適に使えるようになるというわけです。

図10 ポケットデスクトップを実現した例

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著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。