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第644回 ノート表示にも対応したプレゼンテーションツールPympress

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ノート付きのPDFファイル

Pympressのノート表示は,Beamerが出力するPDFに合わせて作りこまれています。Beamerは「PDFを生成するタイミング」でノートを埋め込むため,ノートを表示する方法は次の3種類となります。

  1. スライドの合間にノート表示のスライドを埋め込む
  2. ノートのみが表示されたPDFを作る
  3. スライドの横にノート表示用の領域を作る

1番目の方法は,ノートの内容もひとつのページとして埋め込まれたPDFとなります。発表時のコメント内容もセットで提供したい場合に便利でしょう。ただしBeamerを使うなら,同じソースから発表資料と配布資料を別に作ることも可能なので,そこまで使うものでもありませんし,今回のPympressでも使用しません。

2番目の方法は1とは逆にノートのみを表示したPDFを作る方法です。発表資料とは独立したPDFを手元に置いて,資料とは独立してページ遷移して内容を確認したい場合に使います。これもPympressでは使いません。

3番目はデュアルディスプレイ向けの出力方法です。たとえば発表資料が16:9のアスペクト比で出力される想定だとすると,たとえばノート用の同サイズの領域を連結して,結果として32:9という横長なPDFが生成されます。生成したPDFは同解像度設定にしたデュアルディスプレイをまたいで表示させることで,発表用のディスプレイにはPDFの発表資料領域を,手元のディスプレイにはノートを表示できます。まさに力技。ちなみにBeamerには拡張領域に前後のページを埋め込むモードも存在します。

図6 Beamerのノート付きPDFは横長(設定によっては縦長)のPDFになる

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Pympressは3番目のPDFを前提として使用します。つまりPympressでノート機能をオンにしたら(Nキーを押したら⁠⁠,PDFの画面の半分をContentに表示し,残り半分をPresenterに表示します。また,現在のスライドと次のスライドもPresenterに表示します。

図7 Pympressのノート表示モード

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このような表示方法を採用しているため,ノート機能時はPDFの注釈は表示できません。このあたりはノートと注釈のどちらを使うかをあらかじめ決めておくと良いでしょう。

ちなみにPympressはあくまでPDFのページをどう表示するかということのみを考えているため,Beamer以外のツールで横長生成したPDFでも利用可能です。ちなみに普通のPDFをノート表示した場合は,単に縦に二分割されるだけです。

Pympressのカスタマイズ方法

Pympressはコンフィグファイルを編集することで,レイアウトやショートカットキーをカスタマイズできます。v1.5.0からカスタマイズできることにはなっているのですが,その方法はどこにも載っていません。コードを読んで類推する必要があります。

コンフィグのマスターデータは以下のファイルです。

/usr/lib/python3/dist-packages/pympress/share/defaults.conf

ユーザーのコンフィグファイルは$XDG_CONFIG_HOME/pympressが参照されます。特に変更していなければ~/.config/pympressです。

というわけで,まずはマスターデータをユーザーコンフィグとしてコピーしてしまいましょう。

$ cp /usr/lib/python3/dist-packages/pympress/share/defaults.conf ~/.config/pympress

あとは~/.config/pympressを編集するだけです。カスタマイズできるといっても今のところ使えるのは,初期設定値・マウスポインターの色・ショートカットキーぐらいでしょうか。ただショートカットの変更は人によっては必須と言っていいほど重要な機能なはずです。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。