Adobe、クリエイティブ生成AIモデル「Adobe Firefly」ベータリリース

Adobeは、3月21日から開催されているAdobe Summit 2023において、クリエイティブ生成AIモデル「Adobe Firefly」のベータ版を発表した

Adobe FireflyはAdobeのクラウド製品全体にわたる生成AIサービスの一部となり、Creative Cloud、Document Cloud、Experience Cloud、Adobe Expressのワークフローに直接統合されることになると言う。なお、現在は画像生成とテキスト効果の生成に焦点を当てて開発されている。

  • デジタル画像、写真:コンテクスト・アウェアネスを伴った(文脈が認識できている)画像生成。
  • イラスト、アートワーク、グラフィックデザイン:ほんの数語やスケッチから、カスタムのベクター、ブラシ、テクスチャを生成。既存ツールを使って作成したものを編集する機能の追加。
  • ビデオテキストベースのビデオ編集の可能性を検討(外観を説明することで、それにあわせて色や設定を変更⁠⁠。
  • マーケティングとソーシャルメディア:単純なテキストプロンプトで、ユニークなポスター、バナー、ソーシャル ポストなどを作成。また、ムードボードを使って、オリジナルのカスタマイズ可能なコンテンツを生成。
  • 3Dモデリング:将来的に、単純な3Dコンポジションを写真のようにリアルな画像に変換。また、新しいスタイルや3Dオブジェクトのバリエーションを作成。

Fireflyは商用利用に安全なコンテンツを生成するため、Adobe Stockの画像、オープン・ライセンス・コンテンツ、著作権の切れたパブリック・ドメイン・コンテンツで訓練されている。これによってFireflyが他の人やブランドのIPに基づいてコンテンツを生成しないように開発されている。また、モデルの強化訓練に使用させないようにするために、自分のコンテンツに対して「Do Not Train(訓練しない⁠⁠」を指定する「Content Credentials」タグを導入する。

このタグはデジタル・コンテンツの帰属情報を示すもので、AdobeがNew York TimesとTwitterとともに2019年に設立したコンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative;CAI)(現在900を超える企業等が参加)による業界標準。FireflyではCAIのオープンソースのツールを使用し、⁠Content Credentials」タグを添付している。なお、デジタル・コンテンツの帰属情報に関しては、非営利のCoalition for Content Provenance and Authenticity (C2PA) を通して積極的に開発されている。これにより、コンテンツの使用・公開・保存場所に関係なく、コンテンツに帰属情報が関連付けられることになる。Fireflyでは生成されたコンテンツについても、それに応じてタグ付けされると言う。

Fireflyにおいてはユーザーの収益化も考えており、現在開発中のAdobe Stockの寄稿者向けの報酬モデルを通して提供される予定。Adobe Fireflyがベータ版ではなくなり次第、詳細を発表予定とのこと。

さらにAdobeは、ユーザーが独自のクリエイティブな素材を使用して Fireflyトレーニングを拡張し、独自のスタイルやブランド独自の言葉でコンテンツを生成できるようにすること、またAPIを介してFireflyを利用できるようにしてユーザー側のカスタムワークフローや自動化に統合できるようにすることを計画している。

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