渋谷の57人の6年生が「未来の小学校」マインクラフトを使って考えた─⁠─「未来の笹塚小学校をつくろう」最終成果発表

2023年3月10日(金⁠⁠、渋谷フクラスで笹塚小学校の6年生57名が「未来の笹塚小学校をつくろう」をテーマに発表を行った。2022年10月から計11回にわたって実施された、教育版マインクラフトを使った探求学習の成果発表会である。探求学習は、渋谷区教育委員会、渋谷区立笹塚小学校、GMOインターネットグループなどの協働による。

図1 発表会が終わっての集合写真
図1 写真。発表会後の集合写真。児童たちは笑顔でさまざまなピースサイン。右側にはGMOの成瀬氏、笹塚小学校の先生、渋谷区教育委員会の方々。

14のチームに分かれてプレゼンテーション

6年生は14のチームに分かれて、マインクラフトによる作品とともに成果を発表した。以下はそのごく一部である。

  • 学校の屋上で太陽光や風力発電を設置する「地域の人と環境とともにある学校」
  • 床発電や災害用トイレの設置などを行う「災害に強く地域の人が使いやすい学校」
  • 緑や畑、ジェンダー平等トイレや誰でも使える水道がある「緑豊かで、様々な個性を大切にする学校」

マインクラフトによる作品もさまざまだった。アレルギー対応食品の自販機、いろいろな国の本を読める図書館、地元の人たちも使えるプール(サウナ付き⁠⁠、しきりが付いて集中しやすい自習スペース、映画も上映できる校舎の壁全体の巨大スクリーン……。月並みな言い方だが、子供ならではの自由で大胆、かつ真摯な発想に驚かされる。

屋上の活用について複数のチームが取り上げていて気になったが、答えの一端も発表の中にあった。

あるチームのテーマは「子供が自由に幅広い教育を受けられる学校⁠⁠。プレゼンテーションは「日本は土地が狭いのに、人口が多いため窮屈」と始まり、⁠笹塚小学校は狭すぎる」と続く。たしかに都心部では……と思いながら聞いていると、マインクラフトによる開放的なプール、食堂、地下教室を示しながら、最後は「未来の生徒が勉強しやすくなったり、自由を感じることが多くなったりすればいいなと思います」と力強く締めくくられた。

図2 登壇者の様子1
図2 写真。壇上での発表風景。63名の5年生や笹塚小学校の先生方、渋谷区教育委員会の方を前に堂々とした様子。
図3 登壇者の様子2
図3 写真。壇上での発表風景。前列で聞き入るのは5年生。

小学生によるタスクボード、プログラミング、ライトニングトーク

司会進行をつとめたのはGMOインターネットグループの成瀬允宣氏『ドメイン駆動設計入門─⁠─ボトムアップでわかる!ドメイン駆動設計の基本』(翔泳社)の著作ももつ。

成瀬氏はプロジェクトの初期設計から関わり、笹塚小学校の先生方とともに週1回、延べ11回の授業の主導も続けた。

学校の授業とプロジェクト管理の共通性を感じ、まず取り入れたのはタスクボート。児童たちの広がりのある考えをなんらかの方向へ導き、期限内で成果をもたらすために用いたという。付箋をペタペタと貼り、あっちの付箋をこっちへと貼り直すうちに、児童たちはやがて共通の目標を見出し、そこに向かうための手順も発見したという。

成瀬氏がもう一つ取り入れたのは、プログラミングに親しんでもらうこと。

マインクラフトでの作品作りはゲーム性もあって楽しいものだが、スケールを大きくしたいなどと考えると時間が足りない。そこで、ちょっとしたプログラミングを教えると児童たちはすぐに理解し、思いもよらぬ大作を作り上げたという。

プロジェクト管理などITエンジニアのスキルは、当日の発表にも生かされていた。会場は12時からGMO社員の社食となり、児童たちは学校に帰って給食を食べなければならない。限られた時間なので取り入れたのが、ライトニングトーク形式。1チーム5分を持ち時間に、1分前には鐘を鳴らす。どのチームも鐘を合図に上手に結論をまとめる。

もう1つは、質疑応答の代わりに取り入れたMicrosoft Teamsでのコメント投稿。コメントはスクリーンの1つに常時、表示される。⁠床発電、すごい」⁠鳥がプラスティックごみを食べてるんだ」⁠マインクラフトの再現性、すごい」など児童による活発な投稿が続いた。

図4 登壇者の様子3
図4 写真。クイズを出して児童たちに挙手を求める。

ITエンジニアによる新たな社会貢献のかたち

今回の取り組みは、もちろん一過性のものではない。

来年度は、今回、6年生の発表を目をキラキラさせて聞き入っていた5年生が引き継いでくれる。

また、試行錯誤して作り上げたカリキュラムは、笹塚小学校、渋谷区、GMOインターネットグループのみならず、広く利用可能なものとして、いわばオープンソースとしての展開を考えているという。多くのエンジニアが自身のもつ力を発揮できる、新たな社会貢献のかたちを示しているのかもしれない。

図5 発表会の様子1
図5 写真。真剣な表情で発表に聞き入る児童。
図6 発表会の様子2
図6 写真。タブレットを見ながら相談をする児童。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧