『心』は大正三年四月から八月にわたつて東京大阪両朝日へ同時に掲載された小説である。
私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。...
宅へ帰って案外に思ったのは、父の元気がこの前見た時と大して変っていない事であった。...