知りたい!サイエンス 病気はどこで生まれるのか ― 進化医学でさぐる病気のしくみ

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著者
井ノ上逸朗(いのうえいつろう) 著
定価
1,738円(本体1,580円+税10%)
発売日
2012.9.22[在庫なし]
判型
四六
頁数
224ページ
ISBN
978-4-7741-5318-6

概要

どのように我々は病気になるのか。いまや分子レベルでの研究が進み、さまざま病気について、その発症のしくみが解明されつつある。では、そもそもなぜ病気は存在するだろうか? それはいつどこで生まれたのだろうか? 進化医学(ダーウィン医学)の視点はそこにフォーカスする。ゲノム研究の発展により、生命の進化がたどれるようになった近年、病気の深い理解を得られる進化医学はますます重要性を増している。本書では、進化医学の考え方、人類の進化と病気との関わりについて、多くの例を用い紹介していく。さらに病気と共に進化してきた人類(生命)の未来像についても考察する。

こんな方にオススメ

  • 病気について、またその進化的意味について興味のある方
  • 医学・遺伝学に興味のある方

目次

第1章 進化医学という考え方

  • 1‐1 進化医学とはどんなもの?
  • 1‐2 生命とはなにか
  • 1‐3 進化医学の基礎知識
  • 1‐4 進化についての考え方
  • 1‐5 苦みに関する進化的考察

第2章 ゲノム解析でここまでわかる「病のきた道」

  • 2‐1 高血圧はどこで生まれたのか
  • 2‐2 アフリカから始まる塩と人類の関係
  • 2‐3 塩をめぐる人類史
  • 2‐4 高血圧の発症と関連する遺伝子
  • 2‐5 ニールの倹約遺伝子仮説
  • 2‐6 月経にかかわる進化医学
  • 2‐7 痛風は長寿のトレードオフ?

第3章 遺伝子は病気のためにあるのではない

  • 3‐1 進化から探る男と女のちがい
  • 3‐2 遺伝子は人の体質・行動に影響を与える
  • 3‐3 進化はヒトゲノムだけで起こるのではない
  • 3‐4 男の混乱
  • 3‐5 長寿と遺伝子

第4章 進化医学からのぞきみる未来像

  • 4‐1 未来はずっと先なのだろうか
  • 4‐2 メガネをかけた現代人
  • 4‐3 ゲノム時代の生物進化の考え
  • 4‐4 ヒトゲノム計画からわかったヒトの遺伝子数
  • 4‐5 ヴァレラのナチュラル・ドリフト進化の考え
  • 4‐6 人類の進化と未来

プロフィール

井ノ上逸朗(いのうえいつろう)

国立遺伝学研究所人類遺伝研究部門教授。1988年鹿児島大学院医学研究科博士課程卒業。大学院での専門は生化学。1989年から1998年まで米国ユタ大学に留学。そこで人類遺伝学を学び、高血圧研究を進める。1998年から2000年に群馬大学生体調節研究所で糖尿病研究に従事。2000年から東京大学医科学研究所の助教授として、common diseaseの遺伝学に従事。2006年から東海大学医学部教授、そして2010年から現職。一貫してcommon diseaseの遺伝解析に従事する一方、病気の原因を進化的な側面から検討している。