実際に平均律と純正律の音の違いを体験してみましょう。和音が美しく聞こえるためには、ピタゴラスが発見したような2:3の比になる完全5度や完全4度のように、単純な比率であるほうがよいです。どのように音程と和音が異なるのかを聞いていただくために、音源を作成しました。純正律と平均律の周波数比は、基準となる音のピッチ(Hz)を1としたときの比率で表しています。
純正律と平均律の周波数比(本文表1-5より)
音程 | 純正律周波数比 | 平均律の周波数比 | |
---|---|---|---|
短3度 | 6/5 | 1.2 | 1.189207 |
長3度 | 5/4 | 1.25 | 1.259921 |
完全4度 | 4/3 | 1.333 | 1.334893 |
完全5度 | 3/2 | 1.5 | 1.498307 |
長6度 | 5/3 | 1.666 | 1.681792 |
音源は、ド(C5)に対する長3度のミと完全5度のソについて、純正律と平均律のそれぞれの音程でとったピッチを用意しました。まず、ドとミの2音を提示して、次いで和音を鳴らしています。比較のために純音と2倍音・3倍音を重ねた複合音の2種類を用意しました。純音より複合音のほうがはっきり違いが分かると思います。
各音源は次のとおりです。再生またはダウンロードして、聞いてみてください。
次に、平均律とピタゴラス音律、純正律の音程の違いの音源です。それぞれの音律の違いを感じられるでしょうか。ドを基準にしたときに、次の表にあるように比率を掛けて作成した音律です。
C | D | E | F | G | A | B | C | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ピタゴラス音律 | 1 | 9/8 | 81/64 | 4/3 | 3/2 | 27/16 | 243/128 | 2 |
純正律 | 1 | 9/8 | 5/4 | 4/3 | 3/2 | 5/3 | 15/8 | 2 |
各音源は次のとおりです。再生またはダウンロードして、聞いてみてください。
本音源を作成したプログラムを活用しよう
これらの音源はPCM音源とよばれる電子音です。数十行程度のC言語のプログラムで作成されています。下記よりソースプログラム一式がダウンロードできますので、学習にご活用ください。
なお、プログラムの内容については筆者の前著『やさしい音と音楽のプログラミング』(森北出版)で詳細を示していますので、そちらをご参照ください。プログラムはMicrosoftのVisual Studio 2019 Community(無償)を使用し、VC++で作成されています。ソースを活用する際にはダウンロードしてインストールしてください。各フォルダに含まれている「*.sln」という拡張子のソリューションファイルを開くと、Visual Studioの開発画面が起動します。
- 収録プログラムについて
- 純正律と平均律の音を生成するプログラム(収録フォルダ:chapter1-1)
- ピタゴラス音律、純正律、平均律のドレミを生成するプログラム(収録フォルダ:chapter1-2)