秋の星座8

8ペガスス座

 

学 名
Pegasus(略号 Peg)
英語名
The Winged Horse
設 置
古代ギリシア
面 積
1121平方度

天体観測の見どころ

ペガスス座は広い面積を持つ星座ですが、それに反して小望遠鏡による天体観測で楽しめる対象は、星雲星団・重星ともに意外と少ない星座です。メシエ天体はM15球状星団のみですが、これは四季を通じても屈指のすばらしい観察対象です。

1星雲星団の観察

M15球状星団(=NGC7078)

  • 位置(分点2000.0)赤経21h30.0m,赤緯+12°10’ 視直径12.3’,等級6.0,集中度(高1-低12)4

ペガスス座の鼻先にあります。みずがめ座のM2星団と並んで秋を代表する球状星団です。大きさ明るさともM2によく似ていますが、M2と比べると、星の中心部への集中が高く、輝きが鋭い印象があります。すぐ東に6等星が並んでいて視野のアクセントになっています。球状星団の見本ともいえるような均整の良い美しい星団です。

近年の研究では、X線を放射していることが分かり、中心部には大質量のブラックホールがあると考える研究者もいます。

NGC7331銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経22h37.1m,赤緯+34°25’ 視直径10.5’x3.7’,等級9.5,型SA

とかげ座との境界に近いペガスス座の北端にあります。メシエ番号がついていてもおかしくない明るい銀河です。望遠鏡で観察すると、まるでアンドロメダ座の大銀河(M31)を小さくしたように見えます。

ステファンの五つ子(Stephan's Quintet)

NGC7317銀河
位置(分点2000.0)赤経22h35.9m,赤緯+33°57’ 視直径0.5’x0.5’,等級13.6,型
NGC7318A銀河
位置(分点2000.0)赤経22h36.0m,赤緯+33°58’ 視直径1.7’x1.2’,等級14.0,型E2
NGC7318B銀河
位置(分点2000.0)赤経22h36.0m,赤緯+33°58’ 視直径0.9’x0.9’,等級13.4,型E2
NGC7319銀河
位置(分点2000.0)赤経22h36.1m,赤緯+33°59’ 視直径1.5’x1.1’,等級13.5,型SB
NGC7320銀河
位置(分点2000.0)赤経22h36.1m,赤緯+33°57’ 視直径1.7’x0.9’,等級12.9,型SA
DSS(Digitzed Sky survey)によるステファンの五つ子

明るいNGC7331銀河の南方30’には、「ステファンの五つ子」と呼ばれる銀河の集団があります。これは、1877年にフランスの天文学者ステファンが発見した銀河群です。NGC7317、NGC7318A、NGC7318B、NGC7319、NGC7320が1か所に集まっています。有名な銀河群ですが、かなり淡いため小望遠鏡の観察は困難で、少なくとも口径20cm以上が必要です。

この銀河群はよく研究されていますが、これらのうちNGC7320だけは他の銀河よりもずっと近く、たまたま同じ方向に見えているものです。

NGC7814銀河 愛称:リトルソンブレロ銀河(the little sombrero)

  • 位置(分点2000.0)赤経00h03.3m,赤緯+16°09’ 視直径6.0’x2.5’,等級13.4,型SA

大四辺形の中、アルゲニブ(γ星)の近傍にある小型の淡い銀河です。小望遠鏡での観察は困難です。20cm以上の口径で淡い光のしみに見えます。銀河の広がりはなんとなく楕円状であることが分かります。おとめ座のM104銀河(愛称:ソンブレロ銀河)に似ていることからリトルソンブレロの愛称があり、写真では中央を横切る暗黒帯がありますが、眼視的には分かりません。

2重星の観察

1番星

  • 位置(分点2000.0)赤経21h22.1m,赤緯+19°48’
  • 主星A 4.2等,伴星B 9.3等,位置角313°,離角36.6” (2020年),スペクトル K0.5III,スペクトルK0.5III
  • 主星A 4.2等,伴星D 9.6等,位置角151°,離角5.3”(1993年),スペクトルK0.5III

ペガスス座の西端にあります。三重星ですが、伴星Bは離角が広く楽に観察できます。伴星Dは主星の明るさが邪魔しますが、注意深く観察すると見えてきます。主星は明るい黄色で伴星B、Dは青みがかった色です。

2番星

  • 位置(分点2000.0)赤経21h29.0m,赤緯+22°11’
  • 主星6.1等,伴星10.2等,位置角178°,離角41.5”(2012年),スペクトルM4-5III

この2番星は、光度差と色の対比を楽しめます。主星は赤橙色で、小さな伴星は透き通った青色をしています。光度差はありますが、離角が広く分離は難しくありません。

3番星

  • 位置(分点2000.0)赤経21h37.7m,赤緯+06°37’
  • 主星6.2等,伴星7.5等,位置角349°,離角38.7” (2020年),スペクトルA2V

楽に観察できる小望遠鏡向きの明るく離角の広い対象です。黄白色の主星にグレーの伴星です。

Σ2978星(=HIP 114187)

  • 位置(分点2000.0)赤経23h07.5m,赤緯+32°50’
  • 主星6.4等,伴星7.5等,位置角145°,離角8.3” (2018年),スペクトルA3V

明るく観察しやすい重星です。色合いのコントラストも鮮明で、澄んだ黄色の主星と伴星の青い色の対比を楽しめるペアです。

57番星

  • 位置(分点2000.0)赤経23h09.5m,赤緯+08°41’
  • 主星5.1等,伴星10.1等,位置角198°,離角32.6” (2015年),スペクトルM4IIIS-A2

光度差と離角の大きな重星です。色合いが美しく主星はオレンジで、伴星は消え入りそうな青色をしています。さらに主星は、離角0.2”に5.2等星のある不可視の重星です。

ペガスス座κ星

  • 位置(分点2000.0) 赤経21h44.6m, 赤緯 +25°39’
  • 主星4.1等,伴星10.8等,位置角288°,離角14.5” (2004年),スペクトル F5IV

離角と光度差のある重星です。主星のレモン色とうすいレンガ色の小さな伴星の組み合わせです。伴星が暗いために見失いがちですが、よく探すと小口径の望遠鏡でも楽に見ることができます。