『MCP入門――生成AIアプリ本格開発』執筆の舞台裏
生成AIがコードを書く時代。私たちは何を学び、どこへ向かうべきか。――AIが創造のパートナーとなるこの転換期に、開発者として、あるいは学ぶ者として、どのように未来を設計すべきか。その問いから、この本は始まりました。
『ソフトウェア開発にChatGPTは使えるのか』
DifyからMCPへ――価値の再定義
最初は、Difyのような既存のAIプラットフォームとMCP
しかし、執筆を進めるうちに、MCPの本質的な価値が見えてきました。MCPは単なるツール連携の仕組みではありません。その背後には、技術よりもむしろ
この発見は、MCPは学ぶほどシンプルで、誰でもAIと協働できる設計思想だと気づかせました。単なる技術紹介では不十分です。MCPを使って実際に何かを作り、得られた肌感覚や現場で使える知見を読者に伝えたい――そう思うようになったのです。
エージェント開発の壁を超えて――DDD×TDDという解
9章まで書き終えた時点で、読者にお伝えしたかったことは一区切りしました。しかし
Claude Codeを使って実装を進めましたが、思いのほか苦戦しました。AIとの協働開発は高速でも、設計が曖昧だとすぐに行き詰まるのです。コードは生成されても、それが意図した動作をするか、保守性は確保されているか――根本的な課題に直面しました。
そこで初心に立ち返り、プランモードでDDD
結果、11個のコンポーネントが協調動作する本格的なMCPエージェントアーキテクチャが完成。MCP視点でAIエージェントを構築する視点でMCPホストを設計することで、MCPが本当にAIの手になると実感できたのです。この実践で得たノウハウは、サポートページで共有する予定です。
LLM性能競争の裏で起きている静かな革命
「AIによってプログラミングは死んだ」
多くの技術者がLLMの性能競争に目を奪われています。GPT-4、Claude、Gemini――どれが最も賢いかという議論に終始しがちです。しかし本当に重要なのは性能だけではありません。ローカルLLMでもエージェントは機能します。LLMの日常の仕事は
定型的なデータ処理や複数システム連携、レポート自動生成――そうした日常的な課題の多くは、AIエージェントとMCPの連携で解決できます。もちろん、全てがMCPで完結するわけではありませんが、開発スタイルを根本から変える力があります。
Web3やIoTとの連携、マルチエージェントシステムの構築など、本書で触れられなかった応用例など今後、読者からの要望に応じてサポートページで公開予定です。
初心者から熟練者まで、
- プロフィール
小野哲
(おのさとし) 『ChatGPTはソフトウェア開発に使えるのか?』 『生成AIアプリ開発大全――Difyの探求と実践活用』 『MCP入門 ――生成AIアプリ本格開発』 を執筆。 𝕏: @tetu_
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