ロクナナワークショップ NEWS & REPORT

「Yahoo! JAPAN×ロクナナワークショップ クリエイティブカレッジ」レポート(セッション3)―アコミュニケーション コンテンツ セッション

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

携帯電話との連動の仕組み

次に馬場氏から,⁠helmets」コンテンツ全体の仕組みについての解説がありました。まず,携帯電話からFlash Lite 1.1で作成したコンテンツから,http経由でバスキュールで作成した「連動サーバー」に設置してあるPHPをリクエストし,そして連動サーバーからFMS(FlashMediaServer)「ソケット接続」を使って通信を行います。FMSとPCはrtmp(Flash リアルタイムメッセージングプロトコル)を使ってリクエストをせずに通信を常時行い続け,FMSでの情報はリアルタイムにPC上のFlash(swf)に反映されます。

携帯電話との連動の仕組み

携帯電話との連動の仕組み

単純に携帯電話からPCに対してデータを伝えるだけであればFMSは不要で,⁠helmets」においてFMSを使用するのはゲームの要素があり,爆弾を爆発させたり見せ方の同期を取る必要があるからです。また,常に通信は行われているものの,サーバから携帯電話へリクエストを送ることができないという仕様もあるので,何かしら携帯電話で操作を行わないとPCの画面上にアクションが起こせないという「縛り」があります。

馬場氏は,この携帯電話との連動するコンテンツを作成する面白さとして,⁠携帯電話の操作が外部のモニターにリアルタイムに反映されることが単純に面白い⁠⁠,⁠公共性の高いモニターの前に人が集まれば,手軽にすぐ参加できるので開かれた感じがする⁠⁠,⁠待受画像やGPSなど,携帯電話ならではの機能と組み合わせることができる」という点を挙げました。

画像

「helmets」は去年作成されたコンテンツですが「ユーザー間にインタラクション(互いに影響しあう感覚)を持たせる」という目的があり,これは成功したといえるでしょう。しかし,実際に会場で「helmets」で遊ぶためには,携帯電話からQRコードでアクセスしてメールを受け取り,受け取ったURLにアクセスして情報を入力し,自分が撮影した顔写真をアップして登録する…という工程がゲームをはじめる前に必要で,馬場氏は「遊ぶまでに時間がかかる⁠⁠,⁠手順がややこしい」ことを問題として考えたそうです。

この「helmets」での経験から次に作成したのがBrain Bomberです。⁠Brain Bomber」は,60秒間の間に指定されたお題に基づいて複数のプレイヤーと協力して面白いキーワードをつくっていく⁠言葉遊び⁠ゲームです。司会者や進行者が不在でも勝手にゲームが進んでいくので,参加者も自分の好きなタイミングで参加したり,やめたりすることができるようになりました。

しかし,この「Brain Bomber」は,携帯電話との連動ではあるものの,実際に携帯電話と2つの画面を見ながら操作するのが大変であるという問題が残ったそうです。ゲームごとにルールがあると更に携帯電話の操作が複雑になるため,馬場氏は「携帯電話とPCの役割が直感的に理解できる」ような仕組みを考えたほうがよいという結論に至りました。

「Gyorol」

次に作成したコンテンツは,Gyorol(ぎょろる⁠⁠」です。⁠Gyorol」とは,携帯電話を釣りのリールに見立てて,PCのWeb画面上の大きな池の中にある浮きを操作して魚を釣り上げて楽しむというコンテンツで,実際に釣り上げると自分の携帯電話の画面上に釣った魚が入ってきたり,その釣った魚を画面上にリリースしたりすることもできます。⁠helmets」「Brain Bomber」「ユーザー間のインタラクション」をコンセプトに作成されたコンテンツなのに対し,⁠Gyorol」はそれぞれのユーザーがただそこにいるだけで互いに影響しあわないコンテンツとして作成されました。

Gyorol

Gyorol

ゲームを楽しむまでの工程を簡素化し,ユーザー間のインタラクションをなくした「Gyorol」ですが,ユーザーからは非常に好評で,第12回文化庁メディア芸術祭で披露され,奨励賞を獲得しました。

複雑なものより,単純でシンプルなものにしていけば遊んでくれるユーザーは増えるので,結果,コンテンツとしての魅力・完成度が上がっていくのではないでしょうか。

その他のコンテンツ

他にも「Gyorol」をバナーやブログパーツとしての活用を探るために作成された,⁠1-click Awards」出展用のコンテンツGyorol for 1-click Awardsや,株式会社バスキュールの新年の挨拶用に作成されたコンテンツ,初ぶるが紹介されました。

馬場氏からは,⁠これらすべてのサイトはそれぞれ完成型ではあるが,大きな視点では,実験の過程だとも言える。この実験を気軽にできるのが,Webのいいところなのではないか。そして作り手の強みなのではないか。」というまとめがありました。

携帯電話といえばパーソナルな使い方のイメージがありますが,今までの単純な携帯電話サイトとは違い,コントローラのように携帯電話を使うというアプローチは斬新であることは間違いありません。また,馬場氏の極限まで簡単にすることで,ユーザーがとっつきやすく,多くの人が気軽に遊べるという環境を作り出すには端末固有の性能の問題など数々の調整を行う必要があったと思います。ほとんどの人が持っている携帯電話をサービスの一部として,使って面白い体験をしてもらおう(ついでに自分たちも楽しんで作ろう!?)という作成者の努力の影が感じとれたセッションでした。考え方次第ですが,PCと携帯電話と同期して連携をとることで「helmets」「Gyorol」のようなゲームとはまた違ったアプローチの新しいサービスが生み出せるかもしれません。

今回ご紹介いただいたスライドやサイトのURLは,ロクナナワークショップ ニュースでもご紹介しています。是非ご覧ください。

(2009/7/14 村田憲嗣)

著者プロフィール

ロクナナワークショップ(ロクナナワークショップ)

アドビ認定トレーニングセンター ロクナナワークショップでは,Web業界の第一線で活躍中の講師陣による,実践的な講座を開講しています。全ての講座は最大6名・1日6時間で完結する,PCを操作しながらの集中トレーニングです。

また,各方面で活躍中のクリエイターをお迎えし,最新技術やアイデアをご紹介いただくイベントも開催しています。学生割引もありますので,是非一度参加してみてください。

URL:https://67.org/ws/