インターネット広告とテクノロジーの行方

第3回 インターネット広告のビジネスモデル(後編)

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インターネット広告のモデル

これまで説明してきたインターネット広告の課金モデルについて見ていきましょう。

課金モデル現在のインターネット広告の課金モデルを以下にまとめました

インターネット広告の課金モデル(表)

課金モデル 内容 一般的な広告の種類
インプレッション保障型 広告の表示(露出)回数を基に課金
通常は一定期間内のインプレッション数を保証する形態をとる
バナーに代表される固定型広告
期間型 広告の掲載期間で課金 バナーに代表される固定型広告
クリック課金型 広告がクリックされた回数を基に課金 検索運動型広告
コンテンツ運動型広告
成果報酬型 成果があった場合に課金 アフェリエイト広告

インターネット広告の課金モデル(図)

インターネット広告の課金モデル(図)

インプレッション保証型

インプレッション保証型は,広告の表示(インプレッション)の回数を基に課金するモデルです。

通常は期間とインプレッション数を保証する広告枠に対して料金を支払うモデルが多いようです。

広告媒体サイトの掲載場所(ページ)や広告の形態,大きさ(サイズ)で料金が決まります(バナーの場合レギュラー,バッジ,レクタングル,スカイクレーパーなど⁠⁠。ただし,インプレッションの回数からはユーザが実際にその広告を見たか(視界には入っていると思われますが。。。)どうかはわかりません。

期間型

一定の期間に必ず特定の広告媒体サイトの場所に広告が表示されるモデルです。広告媒体サイトのページや広告の形態や大きさ(サイズ)で料金が決まります。ただし,これもインプレッション保証型と同様にユーザが実際にその広告を見たかどうかはわかりません。

クリック課金型

ユーザが広告をクリックして,広告主が指定したURLへ画面表示が移動した回数によって課金されます。 インプレッション数は料金には影響しません。したがって広告主側から見ると,実際に広告に反応した回数分が課金の対象となりますので,

費用対効果の高いモデルと言えます。クリック課金型には保証する料金(回数)に達するまで広告を掲載できる「クリック保証型」もあります。

クリック課金型の代表的なモデルが「検索連動型広告」です。

成果報酬型

ユーザが広告をクリックした後,広告主が指定する成果があった回数に対して課金するモデルです。

成果は商品購入や会員登録・資料請求・問い合わせなど広告主が決定します。クリック課金型の代表的なモデルが「アフィリエイト広告」です。

インプレッション課金,期間課金型はテレビCMやこれまでの雑誌・看板広告と類似していますが,インターネット広告の場合は表示回数(露出回数)と見た(と思われる)ユーザ数が把握できるといった点が特長です。 そして,インターネットならではの課金方式がクリック課金や成果報酬型でしょう。

これまでは難しかった広告効果が,テレビの視聴率調査と違い,インターネットへ誘導すれば,反応および効果を測定できるため,費用対効果を算出することができます。

今後のインターネット広告のモデルの傾向としてはクリック課金や成果報酬型を取り入れた課金モデルが増える傾向にあるようです。 これは広告主にとっては喜ばしいことですが,一方で広告システムを運営する事業者にとっては,トラフィックを支えるための収入を確保する必要があります。

インターネット広告はこれからは「⁠⁠効果的な)広告枠の拡大⁠⁠,⁠クリック率の向上⁠⁠,⁠成果率の向上」⁠広告成果の測定」の方向のためのテクノロジーやサービス開発が一層進むと思われます。

今後の注目

デジタルサイネージ

電車・駅や公共施設や店舗などに設置したディスプレイに映像や情報を表示する仕組みを「デジタルサイネージ」と呼びます。

デジタルサイネージは,映像表現という強い武器で高い訴求力を持っています。 さらに顔認識判定の技術が進化して,視聴する人の属性(性別・年代)を判定して,属性・時間・場所にあわせたコンテンツが表示できる技術が開発されてきています。

視聴者に合わせて表示映像(広告)を変更して,視聴効果を分析するといったことも 可能になってきています。

この技術はそんなに遠くない将来にネット技術と融合する可能性があります。

クラウド・コンピューティング

2008年のIT業界のバズワードは「クラウド」でした。

ASP,Saas,Paasの延長としてクラウドコンピューティングが浸透してきています。

ほとんどのアプリケーション(企業,消費者ともに)がブラウザ(およびブラウザと同機能の端末)を通じて 実行され,実行場所はどこかを意識しないようになってくると,ますます,インターネットを利用した広告配信技術の重要性が高まると思われます。

企業のメディア化

企業サイトが媒体へ広告枠として企業サイトが自社を媒体化する動きが出てきています。

すでに大手銀行サイトや,企業グループ内のサイトでお互いのサービスや商品の広告を掲載しています。

インターネット広告はポータルや情報サイト,検索エンジンだけではなく,いろいろなところで活発化していくようです。

今後はクロスメディアの浸透や新しい情報端末,広告媒体,プラットフォームの登場で,新しい広告課金モデルが出現するかもしれません。

次回はインターネット広告の配信と測定の仕組みを取り上げたいと思います。

著者プロフィール

山田賢治(やまだけんじ)

(株)アクティブコア 代表取締役社長。パッケージベンダーにてRDBMSのカーネルの開発,海外勤務を経て,データウエアハウス専用DBMS事業の立ち上げ,分析アプリケーションの設計・開発に携わる。

その後,インターネット系ベンチャーの技術部長を経て2005年に(株)アクティブコアを設立し,代表取締役社長に就任。現在は同社の経営全般および製品の設計・開発に奮闘中。

URL:http://www.activecore.jp/