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第1回 低価格共用サーバから専用サーバまで 多様化するホスティングサービスの選び方

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機能の豊富さだけではない
管理者の負担を減らす操作性も大切

パッケージ化を進めるホスティングサービスでは,前述したようにオンラインショップが簡単に開設できたり,グループウェアが利用できたりといったより特徴的な機能を用意して,新しいユーザの獲得を狙っています。

しかし,機能がたくさん用意されていても利用する必要がなければ意味がありません。むしろ,機能が豊富すぎるために操作性が損なわれる場合もあります。オンラインショップ,グループウェア,ストリーミングなど,特殊な利用方法を考えていないのなら,ホスティングサービスの操作性や管理性に注目するとよいでしょう。

たとえば,ホスティングサービスに用意されている管理者用の画面インターフェイスも,ホスティングサービス選びのポイントとして考えられます。管理者用の画面インターフェイスは通常,Webサイトの管理者だけに用意されていますが,管理者だけでなく,一般の利用者用にも専用の管理画面を用意しているホスティングサービスもあります。こうしたホスティングサービスは,専門の管理者を用意することができない自営業者や中小企業では非常に役立つサービスと言えるしょう。

また,オンラインショップを開設している企業では,ホームページの閲覧数や検索キーワードなどの細かいアクセスログを分析/表示してくれるアクセス解析機能も便利です。現在,話題になっているSEO(検索エンジン最適化)を支援する強力なアクセス解析機能を用意したホスティングサービスもあります。

ブロードバンド接続サービスや
特徴的なOSの採用例も登場

ホスティングサービスを巡るこのところの動きとして最も顕著なのは,ディスク容量あたりの単価の下落ですが,一方でホスティングサービスで採用するオペレーティングシステムについて,その特徴を前面に出すホスティングサービスも増えてきています。たとえば,ADSLまたはFTTHのブロードバンド接続サービスをホスティングの標準メニューに組み込んだ事業者もいます。従来からのISP(インターネット接続サービスプロバイダ)が回線接続の延長線上でホームページ用レンタルディスクスペースを有償無償で提供しているのと逆のアプローチになります。従来型のISPでは,ナローバンドによる接続を考慮したアクセスポイントを設置しなければならないなど,膨大な設備投資が必要でしたが,PPPoEによって簡単に回線接続ができるブロードバンド専用とすることで,ホスティングサービス事業者も容易にアクセス回線を提供できるようになったのです。

また,ホスティングサービスのサーバコンピュータのOSに特色を持たせた事業者も目立ってきました。たとえば,いくつかの事業者では,ホスティングサービスに採用される例の少ないWindows Server 2003/2008を採用し,.NETによるWebアプリケーション/Webサービスの提供を可能にしています。Linuxでは,さまざまな商用版Linuxを利用したサービスなども登場しています。

確実な運用・管理を実現する
マネージドホスティングサービス

ホスティングサービスを利用するのは,自社でインターネットサーバを運用するスキルのない企業だけとは限りません。今や,ある程度の規模の企業であってもホスティングサービスを利用する時代です。インターネットサーバは,とかくセキュリティ面で細心の注意を払わなければなりません。ネットワーク機器の設定はもちろん,サーバ上で動作するOSやアプリケーションのセキュリティホール対策を考慮する必要があります。こうした作業を自社内で行うには,専門のインターネットサーバ管理者を置き,常にインターネットサーバを監視していなければならないため,自社で運用するよりもホスティングサービスを利用したほうが手間もコストも削減できるわけです。

そうしたインターネットサーバの運用ノウハウや技術的なスキルを持った企業を対象に,障害保守を含めた管理/運用をホスティングサービス事業者側が行うマネージドホスティングサービスも増えています。これは,従来のホスティングサービス事業者だけでなく,これまでインターネット接続回線とサーバの設置場所である19インチラックを用意するコロケーションサービスを提供してきたデータセンター事業者にとっても,新しいサービスとして注目されています。

管理/運用までをホスティングサービス事業者が担当するマネージドホスティングは,専用サーバとハウジングの隙間を埋める新たなホスティングサービスの分野として期待されています。マネージドホスティングサービスを利用することで,ユーザはインターネットサーバを自由自在に構築できるというメリットと,障害対策/セキュリティ対策など,面倒な管理/監視業務を事業者に代行してもらえるというメリットの両方が享受できます。こうしたメリットが評価され,これまで自社で運用してきたインターネットサーバをマネージドホスティングサービスにアウトソーシングする例が急増しているのです。

マネージドホスティングの提供形態は,パッケージ化が進むエントリークラスの共用サーバホスティングと同様に,豊富な管理/監視メニューをオールインワンで用意する事業者があります。一方で,利用しない機能に無駄な料金を支払うことのないように,オプションとして詳細に用意しているホスティングサービス事業者もあります。

マネージドホスティングの主なオプションには,ホームページにアクセスするエンドユーザに対して,他のサーバのアクセス数にかかわらず一定の品質の回線接続を提供する帯域保障サービス,トラフィックが集中するホームページで複数のサーバに処理を振り分けるロードバランシングサービス,24時間365日インターネットサーバの稼働を監視して障害発生時に通知するサーバ監視サービス,サーバの障害発生時に遠隔地からサーバコンピュータを再起動する遠隔保守サービス,インターネットサーバのゲートウェイ部分にファイアウォール専用装置や不正アクセス侵入検知システムを設置するセキュリティ関連サービス,重要度が高いデータをファイバチャネルなど堅牢なストレージに保管するストレージサービスなど,実にさまざまなサービスがあります。

配信するコンテンツを考慮して
自社のニーズに適した事業者を選ぶ

ホスティングサービスの目的は,インターネットサーバを手間をかけずに運用することにあります。ホスティングサービス選びの第一歩は,インターネットサーバでどんなコンテンツを配信するのかを考えてください。

たとえば,24時間365日,絶対にシステムを止めることのできないオンラインショップなど,ミッションクリティカルなWebサイトを構築/運用するのなら,多少のコスト高を考慮してでも,ネットワーク機器やサーバコンピュータ,ストレージなどを冗長化構成にできる専用サーバサービスを選ぶべきです。逆に,プロモーションの一環として,自社の事業や製品を紹介するWebサイトの場合は,ある程度月額料金を重視した共用サーバでもよいでしょう。

それを念頭に置いた上で,多彩なサービスの中から自社のニーズにマッチするサービスを提供しているホスティングサービス事業者を選びます。ノウハウをまったく持ち合わせていない自営業者/中小企業のユーザには,コンテンツも含めたWebサイト運営のコンサルティングサービスを提供しているホスティングサービス事業者を利用することも,ひとつの手段と言えるでしょう。 次のページからは,本誌がお勧めするホスティングサービス会社のスペックを一覧表にまとめてあります。新規導入および乗り換えを検討される際に参考にしてください。