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第6回レポート「西田幸司が語るWEBサイト制作におけるアートディレクション」

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ぬいぐるみを使って撮影し,1枚1枚の静止画をAfter Effectsでつないでムービーに。ぬいぐるみを持つ人の手は編集で切り取ることになるので,その部分を埋めるための同じようなショットをぬいぐるみ単体で撮っておく。切り抜きして,コラージュしてっていうのは相変わらずやってますね,と笑う西田さん。

図5

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素材が用意できたら,各シーンのレイアウトをラフで用意し,まずクライアントのチェック。文字をJuana de Arcoっぽく直してもらう。そこから,西田さんはADとしての立ち位置に。ラフと入れて欲しいパーツ類をデザイナーに渡し,あとのレイアウトは自由にやってもらったという。ここでも,デザイナーと一緒にボタンや刺繍糸を買いに行ったりとPM的な役回りも渡す。

図6

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デザインはprismgirlの眞野東紗さんに頼み,彼女が写真の切り抜き,加工,デザイン,映像の編集まで。彼女に声をかけたのは,⁠眞野さんはprismgirlってサイトで名前がどんどん出てしまって,でも,彼女のイメージがそれに固定されてしまい,苦しそうだった」から。全然違う世界観でデザインしてもらうことで何か変化になるんじゃないか。自分が同じように苦しんだことがあったから,なんとなくわかったという。ただし,彼女がまだクライアントワークが初めてだったこともあり,方向性は作った上でまかせるという形に。

ADは,一緒に仕事をするアーティストのヒアリングをしておくことも必要と西田さんはいう。いま,何か方向性を変えたがっているのでは,とか,興味のある方向は?などなど…。眞野さんもAfter Effectsを使い始めたことも知っていたので,今回のコンテンツはちょうどよかったかも,と。

Flashはまた別の若い人にお願いしたが,彼が,やりたいけど忙しい,正味数日しかこの仕事にさけないという状態だったので,シーンごとのFlashの細かい動き,仕様を詳細に書き込んだラフを用意。その上で実装を進めてもらった。ただ,そうはいっても,細かい動きはFlash実装の人のセンス次第。このコンテンツでいえば,バルーンのついてくる動きや車が動くときの道のでこぼこ感とか。逆に,大まかな動きを指示することで,そこに時間をかけてもらうことができる。

図7

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図8

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この仕事のように,西田さんが「一緒に仕事をやっていく,人を育てたい」という意識が強くなったのは,とある仕事で荻野さんというPMに出会ったからだという。チームでやること,みんなで仕事をすることの楽しさを知った。それまでは,ADは人にやらせてる感があって,逆に,なかなか人にまかせることができなかったと。

ADとは,みんながいかに楽しんで仕事ができる場を作ることができるか。それが,よりいいものを作ることにつながるし,まわりが楽しんでできれば自分もやりやすい。ある意味,現場監督的な役回りなのかもしれない。

最後に,質問に答える形で西田さんの仕事の極意が。⁠アートがなぜ仕事につながるのか?」―こういうものを作りたい,というストックを常に作っておくこと。 たとえば,⁠H.P.F, MALL」カバーページの白い建物は九龍城がモチーフになっている。実は,以前から九龍城をモチーフに何か作りたいと思っていたのだという。映像もそう。前々から実写を撮りたいと思っていたし,7月頃から始めて,人前に出せるように練習していたと。

つまり,ネタをためておいて,クライアントワークにうまく使うこと。 もちろん,トライアンドエラーの蓄積の中から,その手のネタになっていくこともある。クライアントワーク,ルーチンワークだけではダメ。クオリティのいいものを作りたいのなら,それ以上のことを自分でやっておくことだと語る西田さんは,圧倒的なまでにストイック! 常に,そこまでやっているからこその,西田さんのクオリティなのだろうと思う。


第6回の「ファイブミニッツプレゼン」の模様は,月刊インタラ塾のサイトをご覧ください。

著者プロフィール

月刊インタラ塾(げっかんいんたらじゅく)

昨今、マス広告のあり方が大きく変化し,Web広告はより一層重要なポジションを担って来ております。そんな中,「宣伝・広報」「広告代理業」「広告制作業」に携わる方々へ向けてユーザーに響くWeb広告を生み出すための考え方や技術など,役に立つ情報をイベントを通じてお伝えできるのではないかと思い,開催致しました。また,このイベントをきっかけに,次代を担う人がでてきてくれればと願い,微力ながらもWeb業界全体に貢献ができればと考えております。

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