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第9回レポート「「ユーザーが,一番偉い!」~WEB広告界の3人の須田が語る,2009年度への挑戦~」

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filmo(フィルモ)

しくみはプレスブログと同じ。クリエイターにクライアントからの「こういうの作ってください」というのをまとめて伝える(いわゆる「クリエイティブブリーフ⁠⁠。で,作ってもらったCMをアップ。作り手はプロからアマまで。

100本から200本という数なので,人により好き嫌いはあるだろうけど,いろいろなセグメントで知ってもらうことができる。そこが利点。また,200本もあれば1つ2つ,おもしろいものが出てくるという。

filmo(フィルモ)

filmo(フィルモ)

ShareMo(シェアモ)

要らないものをシェアしようというサービス。

自分が使わなくなったものを,必要な人に使ってもらう。貸したいものを登録,申し込みがあれば着払いで送るので,持ち出しはない。借りたほうが,自分がいらなくなったらまた人に貸す,というソーシャルなサービス。

ShareMo(シェアモ)

ShareMo(シェアモ)

漫画の単行本やCDのシリーズなど,そうして回しているうちにライブラリとして成長することもあるという。ちなみに収益は広告だという。サンプリングだったり,ブログ,口コミの効果が狙えたり。物流からのキックバック的なものだったり。自分は3人の中では一番ユーザーよりなのではないかという将啓さん。

ということで,タナカさん進行で「ユーザーが,一番偉い!」と題して,いよいよトークセッション開始。

ユーザーが一番偉い

ユーザーが一番偉い

どうして「ユーザー」なのか

用意されたパネルは9枚。でも,と。パネルに行く前に,まず和さんが「ユーザーが,一番偉い!」という今回のテーマについて解説。

テーマ説明

テーマ説明

広告の世界では,そもそもクライアントが一番偉い。

あるいは,クリエイティブディレクターがもっと偉いのかもしれない。もちろん社長が偉いのかもしれないけど,ユーザーのほうがもっと偉いんだと。

ビル・ゲイツだって,みんながMicrosoftを使うようになったから偉いのであって,そういう意味でユーザーが一番偉いよねという意味で今回のテーマに。

いわゆる「お客様は神様です」と同じことなんだけど,あえて「ユーザー⁠⁠。

よく広告業界や行政用語で見かける「生活者」という言葉は,建前っぽくて使いたくなかった。その商品を使ってくれるのが「ユーザー」だから。

この和さんの言葉に,使う人にとっての使いやすさ,使ってくれる人に届く広告を僕たちは考えているんだっていう,和さんの姿勢が出てます。ちなみに,消費者って言葉は上から目線ぽくてあんまり好きじゃない,そうです(和さん⁠⁠。

コンテクスト消費

「いま自動車が売れてないというけど,そもそも消費のコンテクスト(文脈)が変わってきているのではないか?」と伸さん。

昔は,働いてお給料をもらうようになって車を買うというのが一種のステイタス,憧れだった。自分も稼げるようになったんだ,日本も豊かになったんだなと。そういう文脈の中に「消費する」ことがあった。マスメディアや広告もその流れを後押ししていた。⁠隣の車が小さく見えます」⁠いつかはクラウン」だったりとか,数々の名コピーの根底にはコンテクスト消費があり,消費者のそこをくすぐることで消費を煽った。

でも,いまの人たちは違う。特に若い人,草食系男子(お酒も飲まず,車も買わない?)と呼ばれる層は消費をそういうコンテクストで捉えていない。逆に,今は「シェアモ」みたいに,「消費しないこと」がカッコいい。

「シェアモ」で人がいらなくなったものをシェアするほうが賢い。環境にも優しいし。そんなコンテクストに乗ってる自分が好き,みたいなもんなんじゃないかと。だから,ソーシャルなアーカイブを育てていくという流れも起きる。

いわゆる「グッドウィル」が重なっていく。それをみんなが楽しんでるというのが今の社会。だから,いままで,年収何百万になったらこの車買いましょう,なんてことやってきた広告がコンフリクトを起こしているんじゃないか,と伸さん。

和さんも,「コンテンツ単品の善し悪しとか,おもしろい/おもしろくないじゃないなって流れが1年くらい前からある」と思っていたという。和さんが気づいたきっかけは初音ミクが登場したことだった。

1曲1曲がどうのじゃなく,初音ミクというプラットフォームでいろんな人が参加する,こんなの歌わせてみたよとか,こんな絵をつけてみたよとか。そういう流れをみんなが楽しんでいるのを見て,もうコンテンツ単体じゃないなと思ったという。初音ミクというコンテクストをみんなで楽しんでいる。だから,広告もその流れで変わらなくちゃいけないんじゃないか。

1つ1つのCMがおもしろい/おもしろくないじゃなくて,そういうふうに起こっている現象そのものを広告として機能させる。それはユーザーの参加が不可分。クリエイターががんばって作ったとしてもマスに流れるのは20本とか。それだと総体にはなり得ない(ものすごく強烈なコンテンツが1本あれば,それでコンテクストになるかもしれないが⁠⁠。だとしたら,立ち位置とか意識を変えるべき。みんなが楽しめる,参加できるものを広告として作るべきではないかと思ったという。

これは将啓さんも,自身で「シェアモ」やいろいろなサービスをやっていて実感したことだという。いまは見ている人もバラバラだし,単品で動かすのは難しいんじゃないかと。1つ1つを大きくするのではなく,小さい1つを束ねていって流れを作る,文脈を作るというのがこれからくるんじゃないか。そういう匂いがしたと。さすが,というかすごい嗅覚だと思います。

ちなみに将啓さんの会社エニグモでよくやる流れは,filmoで何か作ってそれをプレスブログで流す。そうやって話題を作っていく。クライアントが気に入れば,それを街に持ち出す。山手線に流したり,コンビニのデジタルサイネージに流したり。そして,また話題を大きくする。そういう流れはあるが,ただ単品でどうこうということではないという。ブログにしても,すごいブロガーの一人に書いてもらったとしてもムーブメントにならないけど,100人の人,1000人の人に書いてもらったら? Googleで検索したとき,たとえば初音ミクでだーっと出てきたら,なんかすごいことが起こってるんだと思う。それがムーブメント感。

エニグモのfilmo,和さんがサービスインしたときに思ったのは「それでいいCMできるのかな⁠⁠。でも,この1年くらいで別にそれが問題じゃないんだ,ベスト1,2がでるとかはどうでもよくて,たくさんのビデオ(CM)が流通するというのが重要なんだと気づいたとのこと。

著者プロフィール

月刊インタラ塾(げっかんいんたらじゅく)

昨今、マス広告のあり方が大きく変化し,Web広告はより一層重要なポジションを担って来ております。そんな中,「宣伝・広報」「広告代理業」「広告制作業」に携わる方々へ向けてユーザーに響くWeb広告を生み出すための考え方や技術など,役に立つ情報をイベントを通じてお伝えできるのではないかと思い,開催致しました。また,このイベントをきっかけに,次代を担う人がでてきてくれればと願い,微力ながらもWeb業界全体に貢献ができればと考えております。

URLhttp://www.intarajyuku.net/