キーパーソンが見るWeb業界

第4回 キーパーソンが語るWeb業界 RIAC公開版

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ゲームのUI

――RIAを含め,Webサイトのデザインにおいて⁠好き⁠であることは非常に大切です。本連載でも過去何度も出てきているように,マインドを持つことが重要だとわかりました。では,もう1つの引き出しを増やすこと,すなわち,RIAにおけるユーザエクスペリエンスを想像するにはどうすれば良いのでしょうか。

森田:RIAの経験値を高めるには,いろいろなゲームに触れることをお勧めします。というのも,最近のゲームのUIは本当に多様化して,進化しているからです。

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阿部:たしかに,インタラクションが豊富になっていますね。あと,直感的でシンプルにわかりやすいという特徴を持っています。これは,子どもでも楽しめることが前提だからでしょうね。

長谷川:機能美,とでもいうのでしょうか。ミニマムだけど十分な情報を提示することが自然にできています。

森田:まぁ,できていないゲームもたくさん見てきていますが(笑⁠⁠。それで,今,ゲームを例に挙げた意図としては,もちろん豊富なUI経験を積めると言うこともありますが,そもそもRIAというのはHTMLで想定されたUIとは根本的に異なります。そうなると,僕たちのようにHTMLに触れ,多数の制作実績を持っている人間こそ,HTMLとは異なるUIに触れておく必要があると思っています。

そうすることで,たとえばダメなUIのゲームで遊んだときに,自分自身がいらいらすることにより,1つの経験を積めるわけです。

最近のAIRや,7月に日本でも発売されたiPhoneのように,本当にインターフェースは多様化しています。PCサイトとしてのWebに限らず,経験するというのが1つのポイントかと思います。

これからどのようにRIAに関わるべきか

――最後に,まとめとして,今考えられるRIAとは何なのか,また,これからデザイナーやディレクターがどうあるべきかについてお話いただきました。

阿部:最近見た中ですごいなと感じたのが,先日のAdobe AIRコンテストで特別賞を受賞した,株式会社イメージソースさんのweb plamo 飛行艇版 デスクトップジオラマアプリケーションです。これはサーバサイドでリアルタイムに3Dのレンダリングまでしていると聞いたときには,かなり「やられたな」と思いました。

AIRという技術の強みを最大限に活かしつつ,こういうおもしろさを含められるのは1つ重要なのかもしれませんね。

森田:僕個人としては,これがRIAだという成果物を作った実績はあまりないのですが,RIAに関する学習や経験というのは,自分自身が関わったWebサイトやWebアプリケーションにすごい役立っています。先ほども話したように,インターフェースの品質向上に少なからず役立っているはずなんです。

一方で,プロダクトレベルで提供するのであれば,たとえばFlashだけで提供するのは良くないというのが前提にあると思います。たとえば,何かしらの障害を持っている方に対しても情報が提供できるようにするべきです。そういう点で,最近はFlash/Flex版のサイトの場合,HTML版が用意されているサイトをよく見かけますが,Ajaxを利用したサイトの場合,ノースクリプト版というのをほとんど見かけません。これはアクセシビリティの観点で良くありませんね。

阿部:そう考えると,2つのバージョンを準備しておくことが最善の答えなのでしょうね。

長谷川:そもそもそのプロジェクトがユーザにどのような価値を提供しようとしていたか,という観点も忘れてはいけないと思います。たとえば,先ほど阿部さんが紹介したweb plamoであれば,ここで経験できる体験というのは,AIRでなければいけなかったはずです。逆に,仮にHTML版が提供されるとなれば,それはサイトのコンセプトから離れてしまっています。

これは,HTML版が悪いと言っているわけではなくて,本当の意味でリッチな体験というのは,健常者・非健常者にかかわらず,何かしらの形で⁠素敵な⁠体験として伝わると思います。

そのために,前提としてはプロジェクトを始めるときに,どういうターゲットに対してどのような効果を狙っているかを考えると良いですね。

――今回の座談会は,RIAをとりまく現状を理解できる内容でした。

作り手の立場としては,まず⁠RIA⁠という技術の強みやメリットをきちんと理解することが大切です。そのうえで,課題を解決するためのデザインを最優先に行い,必要性を見出したときにRIAを利用することで,RIAを最大限活かした,すばらしい成果物へとつなげることができるでしょう。

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⁠株⁠ビジネス・アーキテクツ

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顧客企業の事業を支援するコミュニケーション戦略を提案・実施する国内最大規模のWebデザイン企業。顧客企業の経営課題を的確に捉え最新の情報技術を活用し,デザインという切り口から多面的なサービスを提供することにより,大企業の新事業立ち上げや事業の再編・再構築を支援。制作したWebサイトを通じて国内外のアワードを多数受賞している。

⁠株⁠ワンパク

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リクルート「スゴイ地図」⁠L25.jp」⁠R25.jp⁠⁠,日本マクドナルド「メガマックショウ」などを手がけてきた中心メンバーがスピンアウトし,2008年1月に新たに立ち上げたWeb制作をメインとしたクリエイティブプロダクション。HOTなアイディアとHOTな技術をベースにHOTなマインドを持ったHOTなメンバーでHOTなものづくりを行い,クライアントやエンドユーザの心をHOTにするため日々奮闘中。

⁠株⁠コンセント

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「Web時代の設計事務所」として2002年設立。ビジュアルコミュニケーション,情報アーキテクチャ(IA⁠⁠,テクノロジーを融合して,おもにWebや情報プロダクトを活用した問題解決を行っている。大規模コーポレートサイトの構築,サービスサイトの最適化,インタラクティブコンテンツの企画・制作,運用によるサイトの効果向上,Webサイトやサービスでのユーザ経験のデザイン,情報プロダクトのコンセプトモデルの企画など,活動は多方面にわたる。最近開設したコンセントブログにて活動実績など情報発信中