キーパーソンが見るWeb業界

第11回 Web業界を目指す皆さんへ(前編)

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Webを生業として

長谷川:最初に自己紹介から始めましょう。私は,コンセントという会社の代表を務めています。8年前に会社を設立して以来,自分たちのことをWeb制作会社ではなくWeb時代の設計事務所と呼んで仕事をしてきました。あくまで問題解決を行うデザイン会社でありたい,という意図です。会社としては,Webサイトの構築や戦略立案に加えて,情報端末などまで含めたUI設計なども行っています。

私個人は,代表という立場ではありますが,もともと情報設計と人の情報処理に興味があったこともあり,経営だけでなくインフォメーションアーキテクトとしても活動しています。具体的なサイトの設計以外に,その前段階として,クライアント一緒にワークショップを実施しながら,シナリオをつくったり,情報を整理したりといったことをやっています。

森田:現在は読書家ですが,ってそれはいいとして,僕はWebの黎明期からこの界隈にいます。今から10年以上前ですね。当時は,旧来の業界構造では考えられなかった業態を担うという雰囲気があり,ワクワクしていました。また,設立に参画したビジネス・アーキテクツはいわゆるベンチャー企業ですが,界隈では当時有名なデザイナーたちが多数在籍していた反面,なんというかそれで一般社会に対して影響力があるかというとそうではないわけで,しかしそういう状況下で「社会をデザインで変える企業」を大きな目標にしていました。

これまでを振り返ってみると,業界としてのビジネスモデルが確立されていなかったのでたくさんの企業が生まれ消えていきましたが,その中で僕は大きな目標の実現に燃えていて,あるべき論で新しいデザインの提案をしてきました。

阿部:僕は,クリエイティブファームやデザインハウスと呼ばれるような,クリエイティブ全般を手掛けるプロダクション「ワンパク」の代表です。インタラクティブ領域と呼ばれる部分を仕事にしています。以前の広告は,4マス(TV,新聞,雑誌,ラジオ)とそれ以外という分け方をされていたのが,時代の流れとともにその境界がなくなりシームレスになってきました。僕たちの会社は,広告領域でのクリエイティブを(マスの垣根を越えて)一気通貫に形にしていくことを目指しています。

森田:これまで広告代理店はインターネットをインタラクティブ領域としてきていましたが,阿部さんの会社は,広告領域の中でインターネットをプラットフォームとして扱っているところが,その領域で特徴的ですよね。

阿部:たしかに。これまでのように情報を発信し続けているだけではだめで,メディアバイイング以外に求められることが大きくなってきています。

僕たちの自己紹介はこのくらいで(笑⁠⁠。ゲストのお2人にもお聞きしましょう。

片山:私は多摩美術大学で情報デザインを専攻しています。デザインやプログラムに興味があり,大学ではサービスデザインやコミュニケーションデザインを学んでいます。まだこれを専門にしたいというものはありません。

趣味は写真を撮ったりブログを書いたりすることで,Web上に存在する個人のライフログ的な情報の表現に興味があります。ブログ記事やフォトなどユーザが「とりあえず」で投稿した情報に対して後から編集行為を行うことで,何かメッセージ性のあるコンテンツをつくることができるのではないかと思い,ライフログ情報をWebマガジン形式に再構成するWeb上アプリケーションの開発に取り組んでいます。

紫竹:私は現在,工学院大学大学院にて情報学を専攻している修士2年の学生です。この4月からサイバーエージェントにて,Webエンジニアとして働きます。

研究している内容は,電話を使った地域間安心システムの構築です。現在,産学協同の取り組みとして行われていて,ただつくるだけではなく,実際に使用されるものを前提に企画から行うことができていることが楽しく思っています。

Webエンジニアを目指した理由は,コミュニケーションツールが増えていく中で,自分の手で何かを新しいコミュニケーションツールをつくってみたいという気持ちがあったからです。

先日,4月から新社会人としてWeb業界で働く学生だけの懇親会を開催したのですが,そこに参加した学生も皆,私と同様に「自分で何かをつくりたい」という考えを持っている人が多いと感じました。中には,プログラマーだけではなく,プロデューサーやディレクターになりたいと考えていて,現在は自分でコーディングをしていない人もいましたが,「自分から社会を変えていきたい」という気持ちが強かったのが印象的です。

私自身も,世界に向けて日本発のサービスをつくってみたいと思っています。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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