効果測定 虎の巻

第1回 測定を開始する前に(前編)

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PV(ページビュー)とは?

一般的にウェブサイトの閲覧はユーザがブラウザを利用してウェブサイトに対してファイルの閲覧を要求して,その結果をウェブサーバーが応答するといった形をとります。

PVとはユーザがブラウザ上でウェブサイトのページを表示した回数のことです。

クリック数と呼ぶ測定ツールもあります(広告測定専用ツールではクリック数は広告をクリックして広告主サイトを表示した回数のことを指しますが,サイトのページが表示された回数という意味では同義です⁠⁠。

ただし,このPVがくせ者です。通常,HTML内には複数の構成要素があります。HTML本体,画像,CSS,JavaScriptなどです(Webアプリケーションで動的に生成された画面も最終的にブラウザに送られる形式はHTML⁠⁠。

図2 ブラウザの画面表示までには複数のリクエストが発生している。

図2 ブラウザの画面表示までには複数のリクエストが発生している。

フレームで構成されているページでは各フレーム毎にリクエストが発生します。

また,ページ内で使用している画像(gif, jpeg,)やFlashを表示するためや,CSSやJavaScript,XMLファイルに対しても別々にウェブサーバーに対してリクエストが発生します(ここではブラウザのキャッシュや途中にあるプロキシーは考慮しないこととして説明します⁠⁠。

ユーザの感覚と実際のブラウザとウェブサーバーとの間のリクエスト数は同じではありません。

タグ方式でデータ取得する場合は,タグを貼り付けたファイルのみカウントされますが,ログ方式やパケットキャプチャ方式の場合は測定に不要な画像のリクエストやJavaScriptファイルに対する要求はデータ取得対象から除外する必要があります。

1ヶ月間計測して,どうもPVが想定よりも多すぎるので調べてみたら,親フレームと子フレームの両方をカウントしていて,数値が実際のPVの約2倍になっていたという実例もあります。

Ajaxインタフェースを全面的に採用しているウェブサイトの場合は,ウェブページの読み込みが発生しない場合があります。その場合はAjaxリクエストを識別してツール側で対応するか,計測用の仕組みを考慮しておかなければなりません。

Flashで全画面を表示・制御しているウェブサイトの場合も同様です。

Flash内でメニュー切り替え・コンテンツ表示をおこなっている場合はFlashイベントを計測できるツールを採用する必要があります(一般的なウェブサイトに良く見られるような,部分的にFlashを利用している場合はこの限りではありません⁠⁠。

ヒット数について

ヒット数はウェブサーバーに対するすべてのリクエスト数の合計のことを指します。

ページ内に含まれる画像に対するリクエスト数も含まれますので,実際のユーザの動作とは異なります。 したがって,ウェブ効果測定では今後はあまり使われることはなくなっていくでしょう。

ユーザ数とは?

訪問者数,ビジター数と呼ぶ測定ツールもあります。ユーザ数は測定ツールによって,異なる意味で使っている場合がありますので,特に注意が必要です。

最近ではユーザ数はクッキー※3を使って,同じユーザがどうか判定する測定ツールが多いようです。

ただし,実際にはクッキーで判定できるのは同じユーザではなくて,同じPC上のブラウザからのリクエストかどうかです。

同じPC端末からのアクセスでもIE(インターネットエキスプローラ)とFirefoxでは別のユーザになります。同じ人が会社のPCからアクセスして,夜に自宅のPCからアクセスした場合も別のユーザとなります。

タグ型の場合は,独自にクッキーを発行して,判定しているものが多く,ウェブサイトがクッキーを実装していなくても,ユーザを識別することができます。

しかし,ログ型やパケットキャプチャ型の場合はウェブサイトがクッキーを実装している必要があります。

会員制サイトやECサイトの場合はクッキーをセッション管理(買い物かごの実装)のために利用している場合が多いですが,セッションが終了(ログオフした場合も含む)するとクッキーが有効でなくなる手法をとっている場合があります。

この場合は同じ人が翌日ウェブサイトを訪問しても,別の人とみなしてしまいます。

また,クッキーを発行しているサイトでも会員としてログインする前のページや静的ページ(.html等)ではクッキーを発行していない場合が多いようです(ウェブサーバーの設定によって自動的にクッキーを発行することも可能ですが,あまり,利用されていないようです⁠⁠。

この場合は,TOPページとログイン後のユーザは同一ユーザと見なされないことになります。

クッキーをユーザ計測として採用できない場合(またはできない測定ツール)の場合はユーザのIPアドレスやIPアドレスにユーザエージェントの値を加えて,ユーザを識別する場合もありますが,プロバイダーがユーザに割りあてるIPアドレス(グローバルIPアドレス)は常に固定とは限りません。

企業からのアクセスの場合はIPアドレスはプロキシー経由の場合が多く,ユーザエージェント※4の値も同一(企業内でブラウザの種類・パッチを統一している)の可能性が高いため,正確に同一ユーザを判定できるとは限りません。

携帯サイトの場合は上記の仕組みは異なりますので,この連載中で別途説明します。

※3:クッキー(Cookie)
ウェブサイトが,ウェブブラウザに対して一時的にデータを書き込んで保存させるしくみ。Cookieにはユーザに関する情報や最後にサイトを訪れた日時,そのサイトの訪問回数などを記録しておくことができる。
※4:ユーザエージェント
ブラウザがリクエストを発行するときにHTTPヘッダに設定する情報の1つで,ユーザーのOSやブラウザの種類が含まれている。

ユニークユーザ数とは?

ユニークユーザ数とはある期間内でのユーザ数をユニークにカウントした数です。ユニークブラウザ数と呼ぶ場合もあります。

図3 ユニークユーザの計測

図3 ユニークユーザの計測

図3の場合,同一ユーザがサイトを訪問した後,再訪問した場合でもユニークユーザ数は1となります。

測定ツールの中にはユニークユーザ数の計測機能がなく,単に訪問回数を足し算しているものもあるようです。

その場合は前述の例の場合,ユーザ数は2となります。

ウェブサイトが店舗だとすると,店舗に来店する回数が訪問回数で,来店した顧客(個人)の数がユニークユーザとなります。

ユーザの識別はリピータの計測,訪問頻度や訪問回数の基礎となる項目です。計測結果の精度に大きく影響を与えます。

ユーザ数,ユニークユーザ数は測定ツールやウェブサイト,データ取得方法によって異なる場合がありますので,利用開始前に必ず把握しておかなければならない項目です。

著者プロフィール

山田賢治(やまだけんじ)

(株)アクティブコア 代表取締役社長。パッケージベンダーにてRDBMSのカーネルの開発,海外勤務を経て,データウエアハウス専用DBMS事業の立ち上げ,分析アプリケーションの設計・開発に携わる。

その後,インターネット系ベンチャーの技術部長を経て2005年に(株)アクティブコアを設立し,代表取締役社長に就任。現在は同社の経営全般および製品の設計・開発に奮闘中。

URL:http://www.activecore.jp/