効果測定 虎の巻

第10回サイト内の測定(後編)

第9回サイト内の測定(前編)ではページ分析・入口・出口ページについて説明しました。

ページ遷移

ページ遷移で確認すべき点は重要なページの前後の経路です。

  • TOPページからの数クリック
  • カテゴリTOPページからの数クリック
  • 重要ページの前後のクリック
 ページ遷移レポートの例
図 ページ遷移レポートの例

ブラウザの操作では戻るボタンが頻繁に利用されます。また、一般的なウエブサイトはグローバルナビゲーション、ローカルナビゲーションが配置してあり、すぐにリンクできるようになっています。

これらの理由により、ページ遷移については深く追いすぎると、分からなくなることがあります。

まず、サイトのメニュー構成と遷移の経路が期待どおりのパターンがどのくらいあるかを確認することが重要です。予定どおりでない場合は、メニューナビゲーションやリンクの構成を確認しましょう。

ページ遷移の結果の数パーセントのパターンの理由を見いだすことに時間を費やすケースが時々見受けられます。その結果、ウエブコンテンツを改善するならいいのですが、自分自身が納得する理由をレポートして満足している人も多いようです。

少しでも訪問者の立場にたって、コンテンツ改善を行って、改善前・改善後の変化を検証しましょう。

ページ内のリンクのクリック数

測定ツールによってはサイトの画面上にクリックした回数をオーバーレイ表示してくれるものもあります。重要なページについては遷移を見る前に画面内のリンクのクリック数を確認したほうが良いでしょう。

 ページリンクレポートの例
図 ページリンクレポートの例

シナリオ(フォールアウト)

入力フォーム~コンバージョンまでのユーザビリティ検証にシナリオレポート(ツールによってはフォールアウトと呼ぶ)を活用しましょう。訪問者にとって入力しづらいフォーム画面は不満や、退出の原因となります。入力エラーをカウントするために、エラー発生数をカウントするなどの工夫も検討しましょう。

 シナリオレポートの例
図 シナリオレポートの例
※)本当に知りたいのはページ遷移?

本来ページ遷移よりも重要なのは訪問者がどのコンテンツ(表示内容、ボタン、説明)に反応しているかということです。一般的にページ遷移レポートではパス名でレポートされますが、訪問者はパス名ではなく、コンテンツを見ているのです。

特にテキストリンクについてはリンクの説明文の訴求力で訪問者の反応が全く異なるのは、検索連動型広告で既に証明済です。表示スペースに制限のある携帯の場合はその傾向は顕著です。

今後の測定ツールには訪問者がどのコンテンツ(クリエィティブ)に反応したかをレポートする機能が求められるでしょう。

その他に測定しておきたい項目を説明します。

サイト内検索

測定ツールにサイト内検索レポートがある場合は是非活用しましょう(ただし、外部のASPサービスや、サイト内検索の実装によっては計測できない場合もありますので、ベンダーに測定可能かどうか確認しておきましょう⁠⁠ 。

サイト内検索のキーワードは訪問者の意志が現れています。訪問者が商品名で探しているか、ブランドか、または別の単語で情報を欲しているかを教えてくれるわけです。

検索連動型広告への出稿の参考データになりますし、コンテンツ改善のヒントになるでしょう。 サイト内検索で検索結果が0件のキーワードを探し出すことも有益だと思われます。

サイト内検索の実装にも依存しますが、キーワードと検索結果のヒット数をパラメータで拾えるのであればレポート化して定期的に確認することも検討しましょう。

 サイト内検索レポートの例
図 サイト内検索レポートの例

クリック分布

サイト内の進入度合いを計測します。このレポートはサイト内のコンテンツがどれだけ閲覧されているかを知るために使います。

平均PVで見た場合、PV数が多い訪問者によって、数字が変動する可能性がありますので、分布で確認するほうがより正確です。

1クリックで退出する訪問者は何%、2クリック、3クリックは...というように分布で確認するようにしましょう。もちろん、クリック数が多い方がコンテンツを閲覧してもらっていることになります。

 クリック分布レポートの例
図 クリック分布レポートの例

訪問間隔

再訪問者(リピーター)がどのくらいの間隔(日数)でサイトを再訪問するかを計測します。一般的には翌日再訪問するユーザが最も多くて、日数が経過する毎に少なくなっていきますが、その変化はサイトによって異なります。 1週間以内の再訪問が50パーセント以上を占めるのであれば、コンテンツの更新を定期的に行うのが効果的です。

毎日の更新が難しい場合でも、一週間に一回や曜日を決めて更新しておくことで再訪問の意欲を高めることにつながります。コンテンツの変更期間やリニューアルのタイミングを計るためにも自社の訪問間隔を把握しておきましょう。

 訪問間隔をグラフにした例
図 訪問間隔をグラフにした例

訪問者の利用しているOSやブラウザ

利用者のOS・ブラウザレポートは自社のウエブサイトのコンテンツがどのOSやウエブブラウザに対応すべきかを調査する場合に使います。新OS/ブラウザがリリースされるタイミングで調査目的に使用します。

Ajax, Flashを採用しているサイトの場合は訪問者が利用しているブラウザのバージョンを把握することは重要ですので、活用しましょう。

特定パラメータ値のカウント

場合によっては、特定のURLパラメータ値をカウントすることも有益です。以下のような例が挙げられるでしょう。

  • 特定のリンクのクリックを計測
  • 入力フォームのエラー発生の理由コードの計測
  • 表示している商品の商品番号の計測
    ⁠商品番号だけ計測したい場合)

イベントの測定

ページクリック以外のイベントを測定することで、訪問者の行動を知ることができます。

Flashイベントの測定

Flashアプリケーション内のコンテンツ遷移やアクションを測定することもこれからのウエブサイト測定では必須です。測定ツールによってはFlash用の測定タグを提供している場合もありますので、確認しておきましょう。

タグ型でない場合は、Flashアプリケーションの仕様にもよりますが、イベント発生時にウエブサイトに測定用のリクエストを発行してそのURLをカウントするといった方法でも可能です(ただし、Flashのメンテナンスビリティの点では問題がありますので、制作会社やウエブ管理者、ツールベンダーに確認してください⁠⁠ 。

外部サイトへのリンクの測定

ウエブサイトによっては他の提携サイトや、グループ会社、自社の別ドメインへのリンクを張っており、そのリンクを経て、外部へ抜けた回数を知りたい場合があります。

測定ツールによっては外部リンクサイト用のタグを用意している場合がありますので、確認しましょう。その他の対応としてはリダイレクトページを経由して、他サイトへリンクさせる方法があります。

リダイレクトページを飛び先の外部サイト毎に用意(またはURLパラメータで識別)しておけば、リダイレクトページをカウントすることによって計測できるでしょう。

ダウンロードクリックの測定PDF形式等で資料をダウンロード提供している場合は、是非ダウンロード件数を把握することを検討しましょう。

ログ・パケットキャプチャ形式の場合はダウンロードファイルのURLで計測可能です。ベンダーによってはダウンロードを計測するタグを用意していますので、問い合わせてみてはいかがでしょうか?

自社サイトの基準と指標を作る

ウエブサイトは生き物です。まず最初の月で計測値を出して、自社の基準を把握しましょう。

毎月(項目によっては週)単位で前月(前週)との比較を行い、変化がある項目について検証するようにしましょう。改善ポイントがみつかったら、実施後に変更前後を数値で計測する習慣をつけましょう。

サイト内計測項目の例

  • サイト全体のPV数、ユニークユーザ数(新規・リピーター⁠⁠、訪問回数、平均PV数
  • 重要なページのPV数
  • 入口・出口のチェックと直帰率
  • 変更したコンテンツのページ遷移・リンククリック
  • クリック分布の変化、訪問間隔
  • 特別なイベントの計測

「サイト内の測定のまとめ」

第9~10回ではサイト内の測定について以下の項目を説明しました。

  • 1) ページ分析
  • 2) 入口・出口と直帰率
  • 3) ページ遷移・リンククリックの計測
  • 4) シナリオ(フォールアウト)の計測
  • 5) サイト内検索ワードの計測
  • 6) クリック分布の計測
  • 7) 訪問間隔の計測
  • 8) PV以外のイベントの計測
  • 9) 自社サイトの指標をつくる

第11回 は 「効果測定と他サービスの連携」について説明します。

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