Webデザイン業界の三位一体モデル

第4回イメージソース/ノングリッド 代表 小池博史(前編) REC YOU. やBIG SHADOWの生まれた現場

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仕事以外の活動がきっかけで,新しいお客さんから声をかけてもらえることも

新野:

技術だけでなくて,そういったこだわりから生まれた成功なんですね。

小池:

でも,そういったスキルやテクノロジーのことなんかよりも,あのプロジェクトの成功要因は,そういった誰もまだやったことの無いような企画に理解を示してくれたクライアントと,その企画を立てて通してくれた広告代理店がすごいんだと思うんです。

新野:

ああ,確かにそうですね。BIG SHADOWのような前例のない企画をリスクを取ってやるっていうのはクライアントにとってすごく勇気のいることですからね。

小池:

一応イメージは事前に伝えますが,それでも実際にやってみないとどうなるか分からないものに,大金を使うわけですからね。

新野さんも,普段それをされていると思うんですが,それを関係者みんなが理解できるように説明して,協力体制をつくってくれる代理店さんもほんとにすごいと思います。

僕らは,そのおかげで制作のトライ&エラーに没頭できるんですから。

新野:

過去のこのインタビューでも,新しいことに一緒にチャレンジできるような,クライアントとの信頼関係を構築することが大事だって話は皆さん共通の認識でしたね。

以前僕が担当したエコトノハも,消費者参加型コンテンツのハシリだったわけで,当時あれをやるにはやっぱり覚悟が必要だったんですよ。例えば,メッセージの書き込みに変なことを書かれたらどう対応するかとか。

なので,信頼してGOサインを出したクライアントはほんとに凄いって思いますよ。もちろんそれなりの対策は立てていたんですけどね。

新野(奥⁠⁠,小池博史 さん(手前)

新野(奥),小池博史 さん(手前)


新野:

Web以外のアートをやっていたメンバーが加わったことで,社内でもなにか変化はありましたか。

小池:

そうですね,すごく刺激になりますよね。なんか面白いことやっている人が居るぞって。

だって,Flashとか作っているそばで,ハンダゴテとかつかって煙だしたりしてるんですから(笑)

クリエイターってそういう新しいものとか,変わったことって好きじゃないですか。

ただ,正直なところをお話しすると,BIG SHADOWのようにそれがビジネスにつながって利益を上げてるケースって言うのはまだ少なくて。

今の段階では既存のWebの仕事で利益を出しつつ,そういった新しいことを実験的にやっている状況です。

でも最近,もうそろそろ仕事としてもやって行けそうな感じが見えてきました。

新野:

それは,なんだか嬉しいお話ですね。

Google社では社内制度で各社員が勤務の時間の20%を担当業務から離れたプライベートワークに使うことになっているそうですが,その制度によって開発されたサービスが事業化されてやがて収益を生むものになっているという話を思い出しました。小池さんの所でも,なにかそういったイノベーションを生むような社内制度とかはあるんですか?

小池:

制度としては特にないですが,社内に声をかけて何か面白そうなことでやってみたいことがあったら,何人かでチームを作って取り組んでみないかというようなことを,ちょこちょこ言って回ってます。

まだ人数が少なかった頃は,カフェを借りてちっちゃな展示会をやったりもしましたし。

ワークショプをやったりもしてますし,さっき話に出たメタモルフォーゼのインスタレーションもそんな感じで生まれたプロジェクトです。

そういった仕事以外の活動がきっかけで,新しいお客さんから声をかけてもらえることもありますし,⁠あそこの会社はなんか面白いことやってるね」と思ってもらえるようなことは続けていきたいですね。

新野:

やっぱり,そういう技術や表現が目新しいっていうのは,広告として興味を引くためには重要な要素ですよね。

もちろん,技術ありきで目的を見失った企画になってしまうのは良くないですが,まず「面白そう!」って興味を持ってもらえることが大事ですから。

小池:

ええ,それにWebっていろんなメディアのハブになりえるものじゃないですか。

だからこれからもWebを中心にやって行きつつも,そういった新しいことも取り入れていって,Webでそれらをつなげるようなことをやっていきたいですね。

著者プロフィール

新野文健(あらのふみたけ)

1999年よりWeb業界に身をおき,2004年 NEC ecotonoha(エコトノハ)でアジアで初のカンヌ国際広告祭サイバー部門グランプリを獲得。2007年ハーマンミラー 「Get Real キャンペーン」バナーで,東京インタラクティブアドアワード Gold等,他受賞多数。2005年6月よりビーコンコミュニケーションズにてシニアプロデューサーとして,世界的メガブランドの日本サイト本格立ち上げに尽力。