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第154回 2018年特別編 2017年の特徴,2018年の展望

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2018年の展望について

2017年の特徴でも紹介したAmazonの勢いはまだまだ続くと思われます。新たな業界への参入や特定分野への積極的かつ投資金額を考えると,Amazonから新しいサービスや革新的な技術の発表が続くでしょう。

Amazonの進出に他の企業も手をこまねいている訳ではありません。例えば世界最大の小売業者であるWalmartは,実店舗を持つ強みを活かしながら,実店舗と連動した各種サービスのデジタル化を進めています。Amazonの参入によって姿を変えつつあるライバル企業から逆にAmazonを打ち破るような,新たなサービスが登場するかもしれません。

レジでの会計なしで買い物が完了するWalmartのWalmart Scan & Goを説明した動画。アプリで商品のバーコードをスキャンして,最後は店舗のスタッフに表示されるレシートを見せるだけ

Amazonにとっての不安材料は,大きな影響力を持つことから生まれる規制,特に国家レベルの法規制が行われることです。

G20(Group of Twenty)では,国境を越えてインターネットで売買される商品の利益に,各国が課税できる案の検討が進んでおり,Amazonもこうした流れからロビー活動費を増加させていますが,独占的サービスを提供する有名企業に対する締め付けは強まっています。アメリカ国内でも反トラスト法(競争制限や市場独占をはかる企業合同を制限・禁止するアメリカの法律)への懸念もあり,こうした規制がAmazonの今後の成長へのネックとなりそうです。

図3 Amazon.comが買収した,ホームセキュリティ製品販売のRing。留守でも家の中まで配送するサービス「Amazon Key」の強化のためと考えられている

図3 Amazon.comが買収した,ホームセキュリティ製品販売のRing。留守でも家の中まで配送するサービス「Amazon Key」の強化のためと考えられている

ただし,2018年に入ってからも「Amazon Go」の店舗拡大や,ホームセキュリティー機器を手がけるringの買収など,新たなサービスとサービス強化のための積極的な活動が続いており,Amazonの躍進は当分続くでしょう。

図4 2018年に正式版の登場が発表されているUIデザインツールのInVision Studio

図4 2018年に正式版の登場が発表されているUIデザインツールの「InVision Studio」

「Adobe XD」⁠InVision Studio」⁠Sketch」など,個性的な特徴を持つUIデザインツールについては,今後の主流になるであろう製品が揃ってきました。どの製品も圧倒的なシェアを持っているわけではないため,2018年に入ってからも続けられている機能の追加や他サービスとの連携などによって,他のツールとの差別化を図りながら,日々変化している現場でのシェア拡大を図ることになりそうです。

2018年に ⁠Adobe Photoshop CC」に追加された「被写体を選択」機能。⁠Adobe Sensei」によって,画像内のオブジェクトをワンクリックで選択できる

AI関連に関しては,⁠Adobe Photoshop」がどのような変化をするのかに注目しています。昨年の「Adobe Max」でのプロトタイプ公表では,大きな驚きがありました。Adobeは製品を通じて,世界中のデザイナーからデザインに関する独自データを大量に入手できることを考えれば,プロトタイプ以上の驚きを持つ,AIを利用した機能が続々と追加されていくかもしれません。

ファッション通販サイトのZOZOTOWNが昨年行ったZOZOSUITのように,⁠独自データを獲得して業界のスタンダードをひっくり返す⁠という手法が,アパレル業界以外でも拡大するかにも注目したいと思います。独自データを獲得する手段としての身近な新サービスの登場や,3Dプリンター以外の技術の活用とそれらを利用した製品の販売にも期待したいところです。

その他個人的な注目としては,フィンテック関連,特に仮想通貨でも話題になったブロックチェーンの技術を利用したサービスの登場や既存システムの置き換え,それらによる業界構造の変化にも注目していきたいと思います。

というわけで,今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。