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第155回 NSynth Super, Budweiser Gesture, mojimo-manga

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mojimo-manga - あのマンガの,あのアニメの,あのフォントが使える!

「ちょうどいい文字を,ちょうどいい価格で」をコンセプトに,フォントワークス株式会社が開始したフォントの新しいサービスを説明するウェブサイト,⁠mojimo-manga』です。

図4 フォントワークス株式会社による新サービスを説明する『mojimo-manga』のウェブサイト

図4 フォントワークス株式会社による新サービスを説明する『mojimo-manga』のウェブサイト

「mojimo-manga」は,アニメやコミックでよく使用されるフォント(明朝体やゴシック体,デザイン系などの36書体)を,年間3,600円(税抜)の定額制で提供します。

図5 ⁠mojimo-manga」では,アニメやコミックでよく使用される36書体のフォントが提供される

図5 「mojimo-manga」では,アニメやコミックでよく使用される36書体のフォントが提供される

イラストコミュニケーションサービス「pixiv」「pixivプレミアムユーザー」は,⁠mojimo-manga」の割引購入ができるほか,YouTubeなど動画共有サービスでの商用使用が可能な「オプション 動画共有サービス利用許諾権(100ライセンス限定⁠⁠」も提供されています。

「サブスクリプション」という選択肢

最近では,⁠mojimo-manga」のような,定額制課金モデルのサービスが数多く登場しています。こうした継続課金型のビジネスモデルは「サブスクリプションモデル」と呼ばれており,デジタルのサービスだけでなく,自動車や洋服のレンタル,替刃式のカミソリなど,様々な分野で取り入れられるようになってきました。

自社の商品を販売する「購入モデル」ではなく,サービスに継続的に課金して利用してもらう「サブスクリプションモデル」への移行が進んだ理由の一つが,所有に対するユーザーの考え方の変化です。消費者の意識が,モノを「所有する」のではなく,サービスを「必要なときに必要なだけ,無駄なく利用する」という考え方へと移行しているためです。

「サブスクリプションモデル」への移行は,サービスを提供する企業にとっても利点が多いです。最大のメリットは,⁠収益の安定化⁠に繋がることでしょう。⁠サブスクリプションモデル」の成功例としてよく名前が挙がる,アメリカのソフトウェア会社「Adobe Systems」の2018年第1四半期(1~3月)の決算プレスリリースでは,クラウド化による定額課金が収益の約86%を占めています。

図6 Adobeの提供する定額制課金サービス「Creative Cloud」における収益の変化。2014年は収益全体の61%(110億USドル)がサブスクリプションでの収益だが,2017年は収益全体の95%(400億USドル)にまで伸びている(⁠⁠Adobe Systems 投資家向け資料 - 2018年3月」より引用 )

図6 Adobeの提供する定額制課金サービス「Creative Cloud」における収益の変化。2014年は収益全体の61%(110億USドル)がサブスクリプションでの収益だが,2017年は収益全体の95%(400億USドル)にまで伸びている(「Adobe Systems 投資家向け資料 - 2018年3月」より引用 )

2012年以前は「Adobe Systems」もソフトウェアを発表してパッケージとして売る「購入モデル」が中心でした。このため新製品を発売してからの売上予想が非常に難しかったのです。⁠サブスクリプションモデル」に移行した現在では,定額による継続契約が前提のため,正確な売上予測が立てやすくなり,手元の資金を有益かつ安全に先行投資などに回せることで,収入と経営の安定化を実現しています。

「サブスクリプションモデル」で重要となるのが,継続的に利用するユーザー数です。その数を増加させる方法の一つが,ユーザーにとって最適なプランの提供です。紹介した「mojimo-manga」は,アニメやコミックでよく使用されるフォントのみに絞ることで,興味を持った特定のユーザーが利用しやすいサービスになっています。また,他社の定額制フォントサービスと比較して,大幅に価格を抑えられたことも,新規ユーザーの獲得に繋がります。

ユーザーのニーズに合わせ,過不足ない最適なサービスを提供することは,これからサブスクリプションのサービスを提供する企業において,非常に重要なポイントでしょう。海外発のサービス(例:Netflix,Spotify,Amazon Prime)が非常に強い現状ですが,ユーザーが求める最適なプランを提供できれば,強力な海外勢とも対等に戦える日本発の「サブスクリプションモデル」が登場してくるかもしれません。

というわけで,今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。