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第158回 2019年特別編 2018年の特徴,2019年の展望

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2019年の展望について

図4 QR決済サービス「PayPay」が行った「100億円あげちゃうキャンペーン」は,開始からわずか10日間で終了した

図4 QR決済サービス「PayPay」が行った「100億円あげちゃうキャンペーン」は,開始からわずか10日間で終了した

昨年は,日本でもPayPayなどの「QR決済サービス」による巨額のポイント還元キャンペーンが話題となりました。現在はQR決済サービスへの参入企業が乱立している状況ですが,導入や決済のコストも安いことから,今までコストの問題で加入を迷っていた業界やサービスなどに,爆発的に拡大する可能性もあるでしょう。

図5 ⁠MicrosoftのWebブラウザである「Edge」をChromiumベースに移行する」というMicrosoft公式ブログでの発表は,驚きだけでなく,安心や不安など,さまざまな影響を与えた

図5 「MicrosoftのWebブラウザである「Edge」をChromiumベースに移行する」というMicrosoft公式ブログでの発表は,驚きだけでなく,安心や不安など,さまざまな影響を与えた

昨年発表された,Microsoftのブラウザ「Microsoft Edge」が独自のレンダリングエンジン「EdgeHTML」の使用をやめ,⁠Google Chrome」と同じオープンソースプロジェクトの「Chromium」をベースとしたブラウザに生まれ変わるというニュースは大きな驚きでした。

「Google Chrome」が圧倒的なシェアを獲得してきた背景には,実験的・革新的な機能を取り入れて,その機能がデベロッパーに広く使われるようになることで,次々と新たな機能を追加しながらブラウザを進化させるスピードが非常に早いことが挙げられます。

ただし,こうした動きが「Googleが考えるインターネットの未来に沿った動きである」として,その推進力とスピードを不安視する意見もあります。すでにウェブサービスやウェブサイトのいくつかは「Chromeでしか動作しない」ものが登場しており,⁠Chromeの一強時代」となることで,Web標準化以前の「MicrosoftのInternet Explorer一強時代」のような時代が再び訪れることを危惧している方も多く,今後の動きが気になります。

図6 Googleが発売したスマートフォン「Pixel 3⁠⁠。Google Pixelシリーズのスマートフォンとしては,日本で初めて発売された

図6 Googleが発売したスマートフォン「Pixel 3」。Google Pixelシリーズのスマートフォンとしては,日本で初めて発売された

昨年,最新のスマートフォンPixel 3を発表したGoogleの新たな戦略にも注目したいと思います。普及台数が多いAndroid OSは,ユーザーが利用するOSのバージョンが多様化しており,Googleが最新版のOSと同時に新サービスを発表しても,ユーザーの多くが使っていない現状があります。

このため,Googleが自社のハードウェアを普及させることで,提供するサービスとの最適化が進み,これまで以上に新たなサービスや機能の追加を積極的に行う可能性があると考えています。

Adobeによる「Adobe Photoshop on the iPad」の紹介動画

2019年には,AppleのiPad上でフルバージョンのAdobe Photoshopがリリースされる予定です。新たにコードを書き直して高速化を実現しているほか,タッチ操作とペンが使えることで,特定の分野ではPCより効率的な作業が行えそうです。これまでAdobeのアプリは,あくまでPC版の機能限定版という形でしたが,タブレットやスマートフォンのハードウェア性能が向上したことで,アプリでもPCと同じものというスタンスへと変わる年になりそうです。

Adobeと言えば,⁠次の成長の柱⁠と宣言している「マーケティングにおけるAIの活用」が,いよいよ本格化してきそうです。2018年には,約1,600億円でeコマースプラットフォームの「Magento Commerce⁠⁠,約5,000億円でB2B企業向けマーケティングの「Marketo」を買収しています。2019年3月下旬には「Adobe Summit」というデジタルマーケティングに関する大型イベントも控えていますので,イベント開催期間中に何かしらの大きな発表があるのではないかと予測しています。

図7 Microsoftが発表した,手書きの図形や文字をHTMLへと自動変換する技術「Sketch2Code」

図7 Microsoftが発表した,手書きの図形や文字をHTMLへと自動変換する技術「Sketch2Code」

Microsoftが昨年発表したSketch2Codeは,手書きでスケッチした図形や文字を判別し,HTMLへと自動変換する技術です。現時点では実際の制作に使えるレベルには程遠いのですが,実現すれば,ツールで制作したUIをそのまま実装へと結び付けられる可能性を秘めており,今までの「デザインまで」から,⁠デザインから実装まで」へと,領域が大きく変わる可能性を秘めています。手書きよりも判別しやすく,構造的にも視覚的に整っているUIツールとの組み合わせで,コードへの自動変換機能が登場する可能性もあるでしょう。

「音声操作」で注目が高まっているスマートスピーカーですが,日本国内の普及率は5%程度と言われています。さらなる普及拡大のためには,爆発的な拡大を進めるコンテンツやサービスが必要となるでしょう。

図8 音声コンテンツを配信しているサービスの一つ,音声放送プラットフォーム「Voicy」

図8 音声コンテンツを配信しているサービスの一つ,音声放送プラットフォーム「Voicy」

そうした中で注目されているのが「音声コンテンツ」です。PCやスマホ,スマートスピーカーによって,通勤時間や手を動かしながらの作業中など,場所や時間を気にせず有名人のトークや最新ニュースが聞けるというメリットがあり,日本でも音声メディアのVoicyや書籍要約サービスflier音声版,AmazonのAmazon Audibleが注目されています。こうした音声コンテンツが広がるだけでなく,更にサービスが進み,利用するユーザーに合わせて,スマートスピーカー側から自動で的確なコンテンツが供給されるようになるのも時間の問題でしょう。

中国のRoyoleによる,世界初の折りたためるスマートフォン「FlexPai」の紹介動画

その他にも,中国のRoyoleによる「世界初の画面が折りたためるスマートフォン」の登場(2019年にはHuaweiやSamsungなどのメーカーから同様の製品が登場してくる予定)による影響や,拡大を続けるAmazonが次に狙っていると言われている広告事業の展開にも注目していきたいです。

というわけで,2019年も非常に楽しみな,ワクワクするような動きのある一年になりそうです。今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。