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第160回 Nike Adventure Club,GitHub Sponsors,Runaway Train 25

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25年ぶりに復活した,伝説のミュージックビデオ

Runaway Train 25: NCMEC Initiative to Help Find Missing Kids

アメリカの非営利団体であるNCMEC(National Center for Missing & Exploited Children:全米行方不明・被搾取児童センター)によって制作されたウェブサイト,⁠Runaway Train25』です。

図5 ⁠Runaway Train 25』

図5 『Runaway Train 25』

『Runaway Train 25』では,Jamie N Commons,Skylar Grey,Gallantらのアーティストと協力してリミックスされた,Soul Asylumの楽曲「Runaway Train」が視聴できます。リミックスされた「Runaway Train」のミュージックビデオ内では,現在行方不明となっている子供たちの情報が流されます。

またウェブサイトでは,アクセスしてきたユーザーの位置情報を利用して,ユーザーの近くで行方不明となっている子供たちに関する情報が提供される仕組みになっています。

リミックスされたSoul Asylumの楽曲「Runaway Train 25」

いつの時代も,“拡散力のあるメディア”が利用される

1993年,Soul Asylumが発表した「Runaway Train」のミュージックビデオは,世間に大きな衝撃を与えました。ただ楽曲が流れるだけでなく,ミュージックビデオ内で実際に行方不明になっている子供たちの情報が次々と映し出され,彼らの情報を募るという斬新な構成だったからです。

Soul Asylumによる斬新な構成のミュージックビデオ「Runaway Train⁠⁠。作品内に登場した多くの行方不明の子供たちが無事に発見され,家族と再会できた

「Runaway Train」のミュージックビデオの最後では,⁠行方不明の子供たちの誰かを見た場合,もしくはあなた自身が行方不明者だった場合,この電話番号に連絡してください」と呼びかけました。

Soul Asylumの場合,テレビを中心にこのミュージックビデオが流されました。当時,⁠最も拡散力のあるメディア⁠と言えばテレビのことであり,アメリカ以外の地で放送された場合には,その地域の行方不明の子供たちの情報に置き換えられるなどの工夫もされました。

最終的には,ビデオ内に登場した36人のうち21人が無事に発見され,家族と再会するという結果をもたらしました。 それから25年後の現在,⁠より拡散力のあるメディア⁠を使った,新たな方法も登場しています。

サッカーのイタリア・セリエAに所属するASローマは,クラブが新たに獲得した選手の発表を行うたびに,公式のSNSを通じて,現在行方不明となっている子供たちを紹介するビデオを投稿しています。こちらも,前述したNCMECとイタリアの非営利団体Telefono Azzurroとの協同で行われているプロジェクトです。

ASローマは,今夏に移籍したレオナルド・スピナッツォーラとアマドゥ・ディアワラの両選手の映像と子供の行方不明情報を組み合わせた動画をTwitterに投稿している

多くの人が目にする可能性のあるメディアに,さまざまな情報が提供されていくことは,どの時代も同じです。ならば,人々が長時間接触しているSNSが,その役割を今こそ果たすときなのです。

多少の問題もありますが,情報を幅広く拡散する機能を持つメディアとして,今後も様々な事例を生みだしながら,SNSは積極的に活用されていくのでしょう。

というわけで,今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。