Webゆえに考える テキスト編集のテクニカルコンセプト

第13回 執筆に煮詰まったときの対処策

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全く頭が回らなくなってしまった時の対処策

他の作業をする/他の文章を読む

一つの文章に長い時間関わっていると,少しずつ客観的な視点を失って,やがて,何をどう説明して良いのか,全く分からなくなってしまうことがあります。一度そのような状態に陥ると,簡単には先に進みません。他の文章の作業をはさむなどして,一旦その文章から離れましょう。大抵1時間もすれば,脳のフリーズ状態は解消されているはずです。

人と話す

言葉は本来,人と人との会話のためにあるものです。執筆という,音もなく,一方的な会話を何時間も続けていれば,言語中枢の働きが鈍っても当然です。仕事の話でも構いませんし,雑談でも構わないので,近くにいる人と少し話してみましょう。⁠あなたならどう書く?」とずばり聞いてしまうのも悪くありません。

休憩を挟む

やはり気分のリフレッシュは大事です。筆者の場合は,もうどうしようもないときは,作業場から離れて,外を散歩しています。いつも代わり映えのない作業場に比べ,屋外は五感の全てにおいて刺激に溢れています。たかだか10分休むだけでも,頭のコリは随分ほぐれます。

どうしても時間的に余裕がないときの対処策

無理に書かずに図版で埋める

どう工夫しても魅力的な説明にならないときや,いくら頑張っても定められた字数に達しないときには,無理に文章だけで何とかしようとせず,図版を積極的に使いましょう。箇条書きを枠で囲っただけの簡単な表でも構いませんし,単なるイメージ画像でも構いません。むしろ,図版点数・図版の占める割合が多い方が,文章はリッチに見えますし,言葉のアラも目立たなく・気にならなくなります。

あえて可読性を落とす

可読性の低い文章は,流し読みされやすく,しっかり読まれない分,記述上の問題にも気づかれにくくなります。

たとえば,句点「。」で区切られる一文を長くすれば長くするほど,説明は回りくどく・難しいものになりがちですが,理屈が通っていないとか,話に矛盾があるとかの問題も,一緒に"わかりにくく"なります。似たような接続詞が連続してしまうとか,文末が同じ音になって見苦しくなるとかの問題も避けられます。

また,読点「,」を全く打たない文章は,息苦しく・読みづらいものになりますが,下手に読点を打つよりも,リズム感の崩れが無く美しく見える場合があります。

その他,文字サイズを小さくする,文字ピッチや行間を狭くするなど,単に文字を見にくくするだけでも,同様の効果があります。あまり褒められた方法ではありませんが,非常緊急のときのために,覚えておくと良いでしょう。

一番大切なのはやっぱり睡眠

最後に,編集・ライティングに,睡眠不足だけは絶対に禁物です。文章を書くということは,考えることとほとんど同義であり,常に頭をスッキリさせておかなければ,筆を満足に進めることはできません。締切が近いときなど,徹夜作業がやむを得ない場合もあるでしょうが,日ごろから十分な睡眠時間を確保するよう心がけてください。

著者プロフィール

松下健次郎(まつしたけんじろう)

Webを中心に活動するフリーランスの編集ライター。自著に"プロフェッショナルWebライティング"(技術評論社)がある。バイクとお酒をこよなく愛する子年生まれの乙女座O型。

ブログ:松下健次郎のブログ