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第20回 リニューアル直前!特別編

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“スキマ”を埋めるツールTwitter

前田邦宏氏。
「これからは"ライフログ"を軸としたサービスが
充実していくでしょうね」

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馮:

あと,2007年もう1つ流行ったのは,Twitterなどのマイクロブログですね。今までコンテンツとコンテクストと捉えていたものが,概念がまったく逆になったというか。文脈にあまり関係なく発信していくだけというものが,ここまで流行るとは。

前田:

あれは僕,すごく相互補完的なものだと考えています。文脈のなさを文脈とするような,そのスキマを可視化したという点では,まさに『関心空間』と同じ発想上で。

『関心空間』でいうところのキーワードのようなかっちりとしたマイクロコンテンツのフォーマットではなくて,そのスキマなんですよね。⁠声かけられても良いよ⁠みたいな,スキマの時間・空間というのを少し露出することによって,コミュニケーション機会を増やすというところが,すごく僕は共感できて。

馮:

わかります。それって検索の外側に近い部分で,かっちりとはしてないんだけれども,何となく埋められる。自然体で相手の部分に入っていけるソーシャルサービスといったニュアンスのものですね。

前田:

人間が持っている何でもない⁠間⁠を気持ち良く過ごせる人間関係って,なかなか良い状態だと思うんです。猿の毛づくろいじゃないですけど,暇なときは相手の肩をさすってあげる,みたいな。そういうちょっとしたコミュニケーションの断片が,人間関係のある種の豊かさを示すものなのだと思うので,そういう意味では,もっと広がっていくんじゃないでしょうかね。

馮:

たぶんあの気軽さがTwitterにつながっていて,それが次のつながりにもなる。もともとつながっていた人同士で,その毛づくろい的なことができる。親友や恋人や夫婦であれば,何も話さなくても1日過ごせるみたいな,それにすごく近い感覚で,意識的ではないコミュニケーションがとりやすいのかなと。しかし,時間経過によってはその関係がゼロになってしまうこともあり,その差が激しいと思っています。

前田:

だからコンテクストを出しているんですね,⁠ちょっと今ヒマ⁠⁠とてもヒマ⁠⁠声かけないでほしいヒマ⁠⁠ちょっと声かけてほしいかもヒマ⁠みたいなものを。

馮:

個人がもっている気分の濃淡を表現しているイメージですね。

前田:

あの小さな言葉の中に濃淡が出ていますよね。今まで声がかけにくかったところに⁠かけても良いよ⁠と言われる,パーミッションのアプリケーションだと思うんですよ。本来離れていたら共有できない空間を瞬時的に作るんですよね,Twitterは。親しい友達同士でおちゃらけるというか。

馮:

SNSは浅くて広いつながりを増やしていくことに対して,Twitterは逆に友達を増やすことが目的ではなく自分の心地良さが重要なサービス。そして,身近な人との距離感をより近づけることができる瞬間的なコミュニケーションとでも言えますね。

今後この感覚を表現していくサービスは増えていきそうです。

前田:

多くなると思いますね。同じSNSでもmixiは,実はつながりに対するコミュニケーションの頻度によって人間関係を深くしている。なぜなら,コミュニケーションを返さないといけないという人間的な所作が必要だから。Twitterはそういうところから外れていますよね。そこの間ですとか,さらにゆるい関係とか,ほんの少しの時間…以前,携帯ビジネスの関係者の方が言っていたのですが,たとえばラーメン屋の待ち時間で見れるコンテンツやツールというのはまだまだ開拓されていない。

馮:

本当にちょっとした時間というか,埋めなくても良いけど埋められたら良いなというスキマを埋めるサービス。そのあたりは今後のサービスとして,もっともっと出てきそうですね。

ちなみに『関心空間』で今後そういったサービスをリリースする予定はありますか?

前田:

もうすぐローンチなんですが,12月に情報大公開プロジェクトの中で『Kanshin Airport』〈http://pr.my lifeassist.jp/kanshin.html〉というサービスを,3ヵ月だけの実証実験で行います。自分の立っている地点に近くてかつ趣味思考の近い情報を推奨してくるサービスです。単に自分の場所に近いお店を推奨するというサービスは,距離の近いお店しか推奨されないですが,そのなかでも自分のライフスタイルに合ったものをオススメしてくれるというものです。

これは実用的なサービスですが,そういうことの発想モデルは,たぶんこれから非常に充実してくるでしょうね。なぜなら,今,行動ターゲットマーケティングというのは,アクセスログのようなものを指していますが,ネット上の履歴だけでなく,朝起きてから寝るまでの心理的な行動履歴などの⁠ライフログ⁠を共有するサービスに対して,皆が前向きになっているからです。活用しようとする企業側の魅力と,提供すればこういうサービスが受けられるんだというユーザの利害が,一致し始めていると思います。

一昔前は個人情報ってネガティブイメージでしたよね。固定電話で発信者の電話番号を出すというのが,個人情報の漏洩だって喧々諤々になっていた時代もありましたけど。

馮:

最近はセキュリティへの意識が高まっていく一方で,ログインが簡単だったらそれで良いってユーザが増えてきていますし。

前田:

それは,ある程度セキュアな個人情報の提供場所が増えてきたということもありますよね。個人情報だけでなく,ライフログ,購買利益,支店情報,心理的な気分というのをどんどん出してきていて,それに適合した情報を手に入れるという手段は,これからますます増えていくと考えています。

そして次回からは

馮:

今まではアカデミックな授業形式でしたが,次からはリニューアルして実践編ということで。

前田:

そうですね,対談の相手となる方ご自身が目指している機能を図表化したものをベースに,ネットワークの立場で議論をして。その話を聞いていると新しいサービスが連想されるような対談にしたいと思っています。

馮:

今後の本連載の展開が楽しみです。期待しています。


というわけで次回からはリニューアル! 新たに⁠実践編⁠として展開していきます。乞うご期待!

著者プロフィール

前田邦宏(まえだくにひろ)

株式会社関心空間 代表取締役。1967年兵庫県宝塚生まれ。1990年より公共機関や企業向けデジタルコンテンツの企画制作ディレクションに従事。1998年ユニークアイディ設立(現:株式会社関心空間)。2001年クチコミ情報コミュニティサイト「関心空間」を発表。同年に関心空間エンジンを利用したASP事業を,また2005年よりメディア事業を開始。

受賞歴:
2002年10月「関心空間」にてグッドデザイン賞新領域デザイン部門入賞。
2005年9月日本広告主協会WebクリエーションアウォードWeb人賞受賞。