組み合わせテストをオールペア法でスピーディに!

第3回 PICTの機能説明と使用例 (前編)

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サブモデル

サブモデルは,PICTの機能で最も特徴的なものの1つです。

すべてのパラメータがすべて同じ重要度を持つ,というケースはそれほど多くはありません。PICTでは,サブモデル定義を使用することで,特に重要と考えられる限定したパラメータについて,3パラメータ以上の網羅度を100%確保することができます。サブモデルはわかりにくい概念ですので,ていねいに説明します。

たとえば,リスト3に示す,A社ルータとB社ルータの接続テストを,速度とOSを変えながら実施する場合,パラメータの重要度を考慮するとリスト4のサブモデルになるでしょう。

リスト3 A社ルータとB社ルータの接続テストのモデル定義

A社ルータ: ルータA1, ルータA2, ルータA3
B社ルータ: ルータB1, ルータB2, ルータB3
速度:	 10M, 100M
A側OS:   Windows XP, Linux, Mac OS X
B側OS:   Windows XP, Linux, Mac OS X

このテストで重要と考えられるパラメータは,A社ルータ,B社ルータ,そして速度とします。この場合,リスト4のようにサブモデル定義で,これら3つのパラメータについて,3パラメータ間の組み合わせを網羅するよう指示しています。

リスト4 3パラメータ間の組み合わせを指示

{A社ルータ, B社ルータ, 速度} @ 3

リスト4のサブモデル定義を行うことで,A社ルータ,B社ルータ,速度の3つのパラメータすべての組み合わせが生成されます。生成された個々の組み合わせは,残りのパラメータであるA側OS,B側OSの各パラメータと2パラメータ間の組み合わせとして統合されます。

リスト4のサブモデル定義を使用した場合の組み合わせ数は54です。これに対して,サブモデル定義を使用しない,すべてのパラメータ総当りの場合の組み合わせ数は162となります。このように,適切な条件でサブモデル定義を用いると,組み合わせ数の爆発を抑えながら網羅率の高いテストを行うことができます。サブモデルは1つのモデルでいくつでも定義できます。

リスト3リスト4のモデルで生成された組み合わせを表4に示します。この表を見ると,A社ルータ,B社ルータ,速度の3つのパラメータについて,すべての組み合わせが生成されていることがわかります。さらに,この個々の組み合わせは,残りのA側OS,B側OSの各パラメータとペアの組み合わせとなっていることがわかります。このことから,A社ルータ,B社ルータ,そして速度の3つのパラメータは,4パラメータ間のすべての値と組み合わされていることがわかります。

表4 サブモデルを使用した生成結果

No.A社ルータB社ルータ速度A側OSB側OS
1ルータA1ルータB1100MWindows XPLinux
2ルータA1ルータB1100MLinuxMac OS X
3ルータA1ルータB1100MMac OS XWindows XP
4ルータA1ルータB110MLinuxMac OS X
5ルータA1ルータB110MMac OS XLinux
6ルータA1ルータB110MWindows XPWindows XP
7ルータA1ルータB2100MWindows XPMac OS X
8ルータA1ルータB2100MLinuxWindows XP
9ルータA1ルータB2100MMac OS XLinux
10ルータA1ルータB210MLinuxWindows XP
11ルータA1ルータB210MWindows XPLinux
12ルータA1ルータB210MMac OS XMac OS X
13ルータA1ルータB3100MWindows XPWindows XP
14ルータA1ルータB3100MMac OS XLinux
15ルータA1ルータB3100MLinuxMac OS X
16ルータA1ルータB310MMac OS XMac OS X
17ルータA1ルータB310MWindows XPLinux
18ルータA1ルータB310MLinuxWindows XP
19ルータA2ルータB1100MWindows XPLinux
20ルータA2ルータB1100MMac OS XMac OS X
21ルータA2ルータB1100MLinuxWindows XP
22ルータA2ルータB110MLinuxLinux
23ルータA2ルータB110MMac OS XMac OS X
24ルータA2ルータB110MWindows XPWindows XP
25ルータA2ルータB2100MLinuxWindows XP
26ルータA2ルータB2100MMac OS XMac OS X
27ルータA2ルータB2100MWindows XPLinux
28ルータA2ルータB210MLinuxWindows XP
29ルータA2ルータB210MMac OS XLinux
30ルータA2ルータB210MWindows XPMac OS X
31ルータA2ルータB3100MWindows XPWindows XP
32ルータA2ルータB3100MLinuxMac OS X
33ルータA2ルータB3100MMac OS XLinux
34ルータA2ルータB310MMac OS XLinux
35ルータA2ルータB310MWindows XPMac OS X
36ルータA2ルータB310MLinuxWindows XP
37ルータA3ルータB1100MLinuxWindows XP
38ルータA3ルータB1100MMac OS XMac OS X
39ルータA3ルータB1100MWindows XPLinux
40ルータA3ルータB110MLinuxWindows XP
41ルータA3ルータB110MMac OS XMac OS X
42ルータA3ルータB110MWindows XPLinux
43ルータA3ルータB2100MMac OS XMac OS X
44ルータA3ルータB2100MWindows XPWindows XP
45ルータA3ルータB2100MLinuxLinux
46ルータA3ルータB210MMac OS XWindows XP
47ルータA3ルータB210MLinuxMac OS X
48ルータA3ルータB210MWindows XPLinux
49ルータA3ルータB3100MMac OS XWindows XP
50ルータA3ルータB3100MLinuxMac OS X
51ルータA3ルータB3100MWindows XPLinux
52ルータA3ルータB310MLinuxLinux
53ルータA3ルータB310MWindows XPWindows XP
54ルータA3ルータB310MMac OS XMac OS X

次回は,いよいよ制約条件について説明を行います。

著者プロフィール

鶴巻敏郎(つるまきとしろう)

岩崎通信機株式会社でビジネスボタン電話機,構内PBXなどのソフトウェア開発を担当。

デジタルコードレス端末(PHS)のソフトウェア開発を経て,2002年より岩通ソフトシステム株式会社に出向。以来,統合テストを中心に組込み系機器のテスト業務にあたる。

URLhttp://www.iwass.co.jp/index.html