Wicketで始めるオブジェクト指向ウェブ開発

第1回 Hello, Wicket

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

Wicket QuickStart

アプリケーションの作成

Wicketを知るには,実際に使ってみるのが一番です。そのためには,Wicketのサイトに用意されている「QuickStart」を使うのが簡単です。

QuickStartを使用するには,あらかじめApache Mavenのセットアップが終わっており,mvnコマンドを使用できる必要があります。それさえ済ませておけば,Wicketアプリケーションをコマンドひとつで生成し,なおかつアプリケーション・サーバを用意することもなく起動することができます。

QuickStartサイトに「GroupId」⁠ArtifactId」⁠Version」を指定することで,Maven用のコマンドラインが生成されます。

図1 Wicket QuickStartページ

図1 Wicket QuickStartページ

GroupIdに「jp.gihyo.wicket⁠⁠,ArtifactIdに「wicket-sample」と入力します。Versionには,現在の最新バージョンである1.4.3を指定しましょう※1⁠。

次のようにコマンド行が表示されます。

コマンド1 QuickStartページの生成するMaven用コマンド

mvn archetype:create -DarchetypeGroupId=org.apache.wicket -DarchetypeArtifactId=wicket-archetype-quickstart -DarchetypeVersion=1.4.3 -DgroupId=jp.gihyo.wicket -DartifactId=wicket-sample

このコマンド行をコピーして,実行してください。

このコマンドにより,Mavenは様々なファイルのダウンロードを開始します。初めてコマンドを実行したときは,かなり時間がかかる可能性があります。⁠BUILD SUCCESSFUL」と表示されるまで,じっくり待ってください。

アプリケーションの起動

コマンドの実行が完了したら,続けて,次のようにコマンドを入力します。

コマンド2 QuickStartアプリケーションの起動

cd wicket-sample
mvn jetty:run

こちらも,初めて実行したときにはかなり時間がかかります。Mavenは成功すれば,次のように表示されます。

コマンド3 QuickStartアプリケーションの起動

INFO  - WebApplication             - [WicketApplication] Started Wicket version 1.4.3 in development mode
********************************************************************
*** WARNING: Wicket is running in DEVELOPMENT mode.              ***
***                               ^^^^^^^^^^^                    ***
*** Do NOT deploy to your live server(s) without changing this.  ***
*** See Application#getConfigurationType() for more information. ***
********************************************************************

このメッセージはWicketが起動したことを示しています。コマンド2つで,Wicketが必要とする全ファイルをダウンロードし,アプリケーション・サーバを使って起動することができるのです。次のURLにアクセスすると,Wicketが起動していることを確認できます。

http://localhost:8080/wicket-sample/

図2 起動したQuickStartアプリケーション

図2 起動したQuickStartアプリケーション

非常にシンプルなページですが,このページはWicketを使って作られています。QuickStartを使って,簡単なものではありますが,実際にWicketのアプリケーションを起動したのです。

※1
もしあなたがこの記事をお読みになったときに,1.4.3よりも新しいバージョンが出ていたなら,最新バージョンが選択できるようになっているはずです。バージョン1.4系統の最新バージョンを選択すると良いでしょう。

ページとHTML

wicket-sampleフォルダの中には,mvnコマンドによってソースコードが自動生成されています。wicket-sample/src/main/java/jp/gihyo/wicketフォルダ内に,次の3ソースファイルがあります。

  • HomePage.html
  • HomePage.java
  • WicketApplication.java

このHomePage.javaファイルが,先ほど見たページを表示しているクラスです。前述したように,Wicketではウェブページをオブジェクトとして扱います。そのため,すべてのウェブページには対応するクラスがあります。

また,ページというものは結局のところHTMLです。Wicketは,雛形となるHTMLファイルをプログラムからコントロールすることで,最終的なアウトプットを生成します。ページはHTMLと対となって動作するのです。HomePage.javaと対となって使われるHTMLファイルが,HomePage.htmlです。

Wicketでは,表示すべきページクラスとHTMLとを,シンプルな規則で結びつけます。ページクラスと同じ場所に,同じ名前のHTMLファイルを置くことで,そのファイルを雛形HTMLファイルとして使うのです。定義ファイルなどで両者を結びつける必要はありません※2⁠。

※2
HTMLファイルをJavaソースと同じ場所に置きたくないのであれば,置き場所を変更することも可能です。しかし,多くの場合は,Javaソースと同じ場所に置いた方が簡単でしょう。

著者プロフィール

矢野勉(やのつとむ)

フリーランスのプログラマ。Wicket-ja主催。

ウェブ・アプリケーションの開発を中心にさまざまな案件に関わってきました。現在はWicketによる開発を支援しています。

URLhttp://d.hatena.ne.jp/t_yano/

著書