アジャイル開発者の習慣-acts_as_agile

第1回 フィードバックを重視する

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

acts_as_agile

連載の副題に掲げている「acts_as_agile」という言葉は,今回紹介した「フィードバックを重視する」というメタ習慣を踏まえたものです。人はアジャイル開発者であるかのように振る舞うことでアジャイル開発者になるのです。実践。フィードバック。学習。実践。フィードバック。この繰り返しによって,少しずつ,しかし確実にアジャイルな振る舞いを身につけていくのがアジャイル開発者への道です。

余談ですが,この副題はRuby on Railsの構成要素として有名なO/Rマッピングフレームワーク,Active Recordの振る舞いを拡張するメカニズムに由来しています注8⁠。

注8)
現実の例としては,Acive Recordのモデルにタグを付けられるようにするacts_as_taggableや,memcachedを利用してデータをキャッシュ可能にするacts_as_cachedといったRailsプラグインが存在しています。

今回のまとめ

今回の内容を図3にまとめました。

次回からは,アジャイル開発者の4つのスキルを磨いていくための習慣を支えるマインドセットとプラクティスを紹介していきます。またお目にかかりましょう。読者のみなさんにアジャイルな振る舞いが拡張されますように。acts_as_agile!

図3 今回のまとめ

図3 今回のまとめ

【コラム1】開発方法論は作戦のバリエーション

XP(eXtreme Programming)やScrum,FDD(Feature Driven Development)といったいわゆる開発方法論は,アジャイルなソフトウェア開発を実現するための作戦のバリエーションでしかありません。

開発方法論は,アジャイルな開発という状態を達成するための手段以上の存在にはなりえません。

【コラム2】ふりかえりの参考リソース

ソフトウェア開発という観点から,ふりかえりを効果的にするための参考リソースを紹介します。

「プロジェクトファシリテーション実践編 ふりかえりガイド」
天野 勝(著),オブジェクト倶楽部
数多くの実践経験を踏まえた,KPT法の実践ガイドです。オブジェクト倶楽部のWebサイトでPDFファイルが無料公開されています。

『Agile Retrospectives』
Esther Derby/Diana Larsen(著),Pragmatic BookShelf
ふりかえりをチームの学習契機と捉えて体系化し,効果的にふりかえりを実践するための考え方とツールをひたすら紹介する驚愕の一冊です。洋書ですが,本誌では「児玉サヌール」として知られる:-) 角 征典さんによる翻訳が今年中にオーム社から刊行予定です編注⁠。お楽しみに。

『アジャイルソフトウェア開発』
Alistair Cockburn(著),長瀬 嘉秀/今野 睦(監訳),テクノロジックアート(訳),ピアソン・エデュケーション
上掲の「ふりかえりガイド」で紹介されているKPT法の出典書籍です。開発プロセスとは「チームが採用する習慣の集まり」であると,2001年時点で喝破した衝撃の一冊。原著では2006年に第2版が出版され,2007年のJolt Awardsを受賞しました。

編注)
刊行されました。邦題は『アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き』
注)
Jolt Awardsは米国のソフトウェア業界の権威ある賞です。ソフトウェア業界の書籍やツールなど17部門に与えられます。米Software Development誌が毎年3月に発表しています。http://www.joltawards.com/

著者プロフィール

角谷信太郎(かくたにしんたろう)

(株)永和システムマネジメント,サービスプロバイディング事業部所属プログラマ。「『楽しさ』がシステム開発の生産性を左右する」と信じてRubyによるアジャイル開発を現場で実践するテスト駆動開発者。目標は達人プログラマ。好きな言語はRuby。好きなメソッドはextend。著書に『アジャイルな見積りと計画づくり』(共同翻訳),『JavaからRubyへ』(翻訳),『アジャイルプラクティス』(共同監訳),『インターフェイス指向設計』(監訳)。

URLhttp://kakutani.com/

著書