小飼弾のアルファギークに逢いたい♥

#23 えとらぼ 衛藤バタラ,廣瀬正明,大沢和宏,松野徳大

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Ficiaのサービスと価格

衛藤バタラさん

衛藤バタラさん

弾:Ficiaは,今は月315円でしたっけ?

バ:はい,税込で315円です。

弾:すごく安いんですけど,今,無料のサービスもいっぱいありますよね。で,ネットで商売をするときの難しさに,無料のものがこれだけあるというのがあるじゃないですか。たとえばわざわざお金を払ってそれを使おうっていう動機ってなんでしょうか?

バ:Ficiaも2Gバイト以下は無料です(笑⁠⁠。ただ無料のサービスがあるといっても,無制限っていうのはまずないと思います。

弾:2Gバイトは大きいですよね。Dropboxも2Gバイトだし。ブログサービスも2Gが有料と無料の境になっています。なぜ2Gバイトなんでしょうね。signedintの最高の数字だから?ストレージの場合,関係ないはずなんだけどな。

バ:ほかのサービスと比較検討もしましたし,ヒアリングもして,納得できる金額かと。

弾:無料のものからお金を得ていくのかっていうのはものすごいビッグイシューなはずなんですよ。ネットに関わっていた我々はここ数年そういう状況にあるんですけど,⁠フリー』ていう本注5が出たじゃないですか。プロじゃない人も気づき始めるわけですよね。だからたとえば同じ黒字化にしても,どういうふうに黒字に持っていくのかっていうのはすごく興味があります。

バ:ビジネスモデルとしては今,広告はなしで有料会員が収入源という形です。

弾:足ります?

バ:今のところはまだ無理なんですけど,もうちょっといけば。

弾:日本だとニコニコ動画も有料会員やってるじゃないですか。あそこは有料会員あり,広告ありって,収入源も多いんですけど,支出もでかいので,まだ黒字になっていないって言ってますけど。どうですか? 費用的には。

バ:そこはどれだけコストが抑えられるかが勝負ですね。

注5)
『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略⁠⁠/Chris Anderson 著,小林 弘人 監修, 高橋 則明 訳/ISBN978-4-1408-1404-8

人件費というコスト

弾:だからそれですごいびっくりしているわけです。こういうすごい人たちを雇っているというのは。どう考えても人間よりも高いものってないですよね? そうでない時代もあったんですよ。一番高かったのが回線だっていう時代もあって,たぶんニコニコ動画とかも人間よりも回線費用のほうがかかっていると思います。僕自身,空恐ろしくなっているんですよ。機械とか,要するに人間でないものがここまで安くなって,人の費用はそう簡単には下がらないし,下げようがないじゃないですか。それでも下がっているとは言ってますけど。たとえば35歳の年収が200万減ったっていうようなニュースがありますけど,それでもほかのものはそんな下がり方じゃない。対数スケールで桁が減っているわけです。

バ:優秀な人を雇わないでやっていくっていうのもありかと思うんですけど,優秀なチームがないから人月がかかってインフラコストが高くなるっていうケースもあると思うんです。

画像

弾:優秀な人を少人数雇うっていうのはかなり正解なんです。僕は別にバタラさんが間違っているということではなく,そういう今言ったような逆説をすごく強く感じるようになってきたんですよ。たとえばGoogleのばかでかいデータセンターにしてもその1つを2,3人でまわせるようになっているんですよ,たぶん。そうやって考えていくと,我々の業界ってものすごい雇用創出量が少なくないか,っていうあんまり愉快でない結論が出てきちゃうんですよね。

バ:人がそんなにいらなくなるということ?

弾:ちょっとできますというくらいじゃ,お金出すまでもなくなっちゃったじゃないですか。優秀になるまでにはかなりの経験が必要で,でもその経験を積むまでの間はお金をもらえるような仕事はできなくてっていうので。だから,OJT(On the Job Training)できなくなってきたんですよね。

弾:今,BS(Balance Sheet:貸借対照表)上のプライオリティはFiciaを成功させること? 会社を黒字にさせること?

バ:Ficiaを成功させる=黒字だと思います。

弾:じゃあ,少なくともFiciaがうまくいくと会社もうまくいくビジネスモデルになっていると。

バ:そうですね。

弾:実は僕は,そこは本当にそうなのかって。そうだといいなと思いつつ,そうなのですか? という。率直に言うと,これだけのメンバーがあったらこれだけのメンバーを貸すサービスというのはないの?と思ったり(笑⁠⁠。Yappo on Demandとかtokuhiro on Demand,hirose31 on Demandっていうのはないのという(笑⁠⁠。手っとり早くお金にもなりますし。これだけのメンバーを集めた以上,これだけのメンバーに見合ったサービスを作っていただきたいなと。

バ:そうですね。

会社の宣伝

弾:話が変わるんですけど,Googleの中に入っちゃうと,今までネットでいろんなおもしろいこと書いてきた人が,ぱたっと静かになるのね。最近そうでもなくなってきたけど。今のところえとらぼはそんなことない。その一方で,やはりプライオリティとしては会社の仕事のほうが優先順位が高いわけじゃないですか。社員が外に向かって,社員としてよりも個人として発言することに関して,バタラ社長としては具体的にこうしてくれというのはあるんですか?

バ:特に今はないですね。

弾:放置プレイ?

バ:もちろん会社として話すときは相談してもらってますが,個人で何かすることに関しては特にどうしてくださいっていうことはないですね。

弾:少なくとも会社の宣伝くらいもっとしろくらいは言ってもいいと思うんだけど。だってえとらぼの「え」の字も出てこないじゃん,きみらのブログってさ(笑⁠⁠。もう少し営業しようよ(笑⁠⁠。

大:ちゃんとFiciaにアップしてる写真,ブログに貼っつけてる(笑⁠⁠。

弾:でもその写真のURLまで見る(笑⁠⁠?。やっぱりある程度名前は知られないと使われるようにならないじゃないですか。この人も使っていますというときに,やっぱり出てほしいんですよね。何も会社の太鼓持ちになれというのではないんですよ。会社の製品と言えども,まだここがだめだったらそう言っていいんですよ。でもそうしたらこれ,俺が直すって言えるじゃないですか。もう少し表に出てほしいなというのはあるんですよ。どうですか? 母ちゃんが知ったら怒られるから,これだけは勘弁してくれ(笑⁠⁠?

転職しました

松:僕はまさにその理由もあるんですけど。まだ親に転職したこと言ってない(笑⁠⁠。

弾:(爆笑⁠⁠。

バ:ここで発表(笑⁠⁠? もう少し宣伝してほしいというのはもちろんあるんですけど,今までまったくしなかったかというとそうではなくて,YAPC(Yet AnotherPerl Conference)のときなんか,YappoさんはFiciaで発表してたり。

弾:それは作る人には受けるけど,使う人には「へー」ですよね。みなさんの書いた記事を読むのは,実はプログラマばかりではないので。そのへんもう少し上手にというか,宣伝しなよ,自分で作ったもんなんだしさっていう。

著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

ブロガー/オープンソースプログラマー/投資家などなど。ディーエイエヌ(有)代表取締役。1999~2001年(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)取締役最高技術責任者(CTO)。プログラミング言語Perlでは,標準添付最大のモジュールEncodeのメンテナンス担当。著書に『アルファギークに逢ってきた』(2008年5月,技術評論社)。ブログは『404 Blog Not Found』

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