スマホ×Windows Azure開発講座(Windows Phone編)

第2回Windows Phone+Windows Azure開発環境の構築

はじめに

前回はWindows Phone+Windows Azure開発の概要に関してご紹介してきましたが、今回は開発を行うための開発環境の構築を行ってみます。

Windows Azureの開発を行うためには「Windows Azure SDK」をPCにインストールする必要があります。今まで.NETやWindows Azureに振れたことのない方であっても、短時間に開発環境を構築し、実際にアプリケーションを動かしてみる事が可能です。Windows Azureのエミュレーション環境がローカルPCに構築されますので、クラウドにアプリケーションを配置(アップロード)しなくてもWindows Azureの機能を試すことが可能です。

また、Windows Azure同様の.NETベースの技術であるWindows Phoneも「Windows Phone SDK」が用意されており、こちらも開発環境インストール後、Windows Phoneのエミュレータを用いてすぐにアプリケーションを開発することが可能です。

Windows AzureとWindows Phoneの開発の流れ

Windows Azureの開発の流れは以下になります。

  • Visual Studio 2010(またはVisual Web Developer 2010 Express)を用いてアプリケーションをコーディングする。
  • ローカルのWindows Azureエミュレーション環境でアプリケーションをデバッグ実行する。
  • Windows Azure上にアプリケーションを配置して、実際の動作を確認する。

Windows Phoneの開発の流れは以下になります。

  • Visual Studio 2010(またはVisual Studio 2010 Express for Windows Phone)を用いてアプリケーションのロジックをコーディングする。
  • Expression Blend 4を用いてアプリケーションの画面を実装する。
  • ローカルのWindows Phoneエミュレータでアプリケーションをデバッグ実行する。
  • Windows Phoneの実機にUSB接続し、実際の動作を確認する(AppHubへの参加と実機の開発機登録が必要)

これら実際の開発の流れは、連載次回以降で実際のアプリケーションを開発しながら体験していきます。

Windows Azure 開発環境

ここでは3つの開発ツールをインストールしてWindows Azure開発環境を構築します。

  • Web Platform Installer 3.0
  • Visual Web Developer 2010 Express
  • Windows Azure SDK for .NET - 2011年11月

まずWindows Azureの開発環境ですが、Web Platform Installer 3.0をインストールしておきます。このツール経由でMicrosoftが提供する無料Web開発ツールを簡単にインストールできます。

Web Platform Installer 3.0
http://www.microsoft.com/downloads/ja-jp/details.aspx?FamilyID=32b0dfe5-f139-4e1c-b412-3da39f50bbf9

次に、Windows Azure開発環境の基盤となるVisual Web Developer 2010 Expressをインストールします。これは無償版のVisual Studioになります。有償版のVisual Studio 2010をお持ちの方はこの段階でインストールしていなければインストールしておいてください。

Web Platform Installerを起動し、Visual Web Developerで検索して、Visual Web Developer 2010 Expressをインストールします。

図1 Visual Web Developer 2010 Expressのインストール
図1 Visual Web Developer 2010 Expressのインストール

インストールの際にはSQL Server Express 2008が同時にインストールされます。これは開発に必要なデータベースになります。注意点はSQL Server Express 2008の管理者パスワードを指定する部分です。⁠強力なパスワード」を入力する必要があります。大文字小文字と数字が混在していれば問題ないです。

最後に、Windows Azure SDKをインストールします。

Windows Azure SDK for .NET November 2011
http://www.microsoft.com/web/gallery/install.aspx?appid=WindowsAzureToolsVS2010
⁠上記リンクをクリックして直接Web Platform Installerを起動することも可能です)

2011年11月にWindows Azureの開発環境に関しては名称や体系の変更が行われました。従来のVisual Studio向けの開発ツールであるWindows Azure Tools for Microsoft Visual StudioはWindows Azure SDKに同梱されるツールの1つになっています。Web上の情報ではこの体系変更に対応していない古い情報を掲載したままのサイトもありますので、ご注意ください。

上記リンクをクリックすると、ブラウザから処理が離れ、Web Platform Installerが起動します。

図2 Windows Azure SDKのインストール
図2 Windows Azure SDKのインストール

Web Platform Installerを起動してWindows Azure SDKを検索してもOKです。インストールボタンをクリックすれば、インストール作業は終了です。

図3 Windows Azure開発環境
図3 Windows Azure開発環境

以下に、Windows Azure SDKをWindows Azure SDK for.NETとWindows Azure Libraries for .NETがインストールされます。Windows Azure SDKはさらに複数のツールで構成されています。本記事執筆時点の最新バージョンであるWindows Azure SDK for .NET November 2011の代表的なツールを下記に挙げておきます。

  • Windows Azure SDK for .NET - 2011年11月[日本語]
  • Windows Azure SDK[日本語]
  • Windows Azure Authoring Tools - November 2011[英語]
  • Windows Azure Emulator - November 2011[英語]
  • Windows Azure Tools for Microsoft Visual Studio 2010 - November 2011[英語]
  • Windows Azure Libraries for .NET 1.6 - November 2011[英語]

その他、IIS(Internet Information Server。開発用に使うWebサーバ)関連とASP.NET MVC 3(ASP.NETベースのWebアプリケーション開発用コンポーネント)がインストールされます。

また、いったんこの段階でWindows Updateを何度か実行しておいてください。Visual Web Developer 2010 ExpressのベースになっているVisual Studio 2010関連の更新があります。とくにVisual Studio 2010 Service Pack 1をインストールしておかないと、次のWindows Phoneの開発環境をインストールすることができません。

図3 Windows Azure DeveloperCenter
図3 Windows Azure DeveloperCenter

Windows AzureのデベロッパーセンターのTOPにはWindows Azure SDK for .NET、Windows Azure SDK for Node.js、Windows Azure SDK for Java、Windows Azure SDK for PHPの4つの開発ツールへのリンクが貼られています。

Windows Phone開発環境

Windows Phoneの開発環境は連載第1回でも紹介しましたが、Windows Phone SDKが用意されており、豊富な開発ツール群が1つのパッケージにまとめられています。

Windows Phone SDK 7.1
http://www.microsoft.com/downloads/ja-jp/details.aspx?familyid=0a373422-6680-46a7-89e1-e9a468a14259

今回はWeb Platform Installer経由でWindows Phone SDK 7.1をインストールしてみます。Web Platform Installerを起動し、Windows Phone SDKで検索して、Windows Phone SDKをインストールします。

図5 Windows Phone SDKのインストール
図5 Windows Phone SDKのインストール

なお、必ずWindows Phone SDK 7.1のインストールに先立ってVisual Studio 2010 Service Pack 1のインストールをしておいてください。また、有償版のVisual Studio 2010、Expression Blend 4がある場合は、先にそれらを開発PCにインストールして、その後にWindows Phone SDKをインストールしてください。すると既存開発環境がWindows Phone対応にアップグレードされます。

図6 Windows Phone開発環境
図6 Windows Phone開発環境

このWindows Phone SDKは無償で提供されており、ブラウザアプリケーション向けのSilverlight開発では有償版のみだったExpression Blendも無償版が提供されています。改めて、本記事執筆時点の最新バージョンであるWindows Phone SDK 7.1の代表的なツールを下記に挙げておきます。

  • Visual Studio 2010 Express for Windows Phone
  • Expression Blend 4 Express for Windows Phone
  • Windows Phone Emulator
  • Windows Phone SDK 7.1 Assemblies
  • Silverlight 4 SDK

Windows Phoneのエミュレータの実行要件が少し厳しいです。スペックの低いPCでもエミュレータを動かすことは可能ですが、画面の描画がもたついたり正しく描画されない場合があります。GPUハードウェア要件を満たしているか否かの見分け方に関しては、Microsoftエバンジェリストの大西さんのブログを参考にしてみてください。

Windows Phone “Mango”: エミュレータを利用した開発のトラブルシューティング - Akira Onishi’s weblog - Site Home - MSDN Blogs
http://blogs.msdn.com/b/aonishi/archive/2011/07/07/10184084.aspx

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