児玉サヌールと田中ばびえの会社訪問

第6回(最終回) ゼロベース

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首を絞める作り方

石橋:それでOKが出ると画面仕様書を作ります。

――(実際の画面仕様書を見せてもらいながら)めちゃくちゃキレイですね! 画面がこんなにキッチリ決まっていると,実装するのって辛くないですか?

石橋:辛い(笑⁠⁠。エンジニアには厳しい。

――お客様はこの段階ですでにリッチな体験をしているので,あとで「すみません。あそこができませんでした」とは,なかなか言いにくいですよね。

石橋:そうなんです。自分たちで首を絞める作り方なんです(笑⁠⁠。Internet ExplorerのバグとかFlashの制約とかがあって,できるはずだったのに苦労することがまだまだ多いですね。

――リッチなインタフェースだと,画面数が多いと困ったりしませんか?

田中孝太郎さん
エンジニア/インタラクションデザイナ

田中孝太郎さん エンジニア/インタラクションデザイナ

田中:できれば減らしたいって思いますね。

石橋:そもそもWebアプリケーションが楽なのは画面遷移があるからなんですよね。画面遷移せずにやろうとすると,状態管理が必要になってくるんで,ちょっと求められるスキルが違ってくる。そういう意味で,これからのWebアプリケーションの開発にはゲームプログラマの人が向いていると思っています。

――Webアプリケーションにもゲーム的な要素が重要になるって話はよく聞きますね。

石橋:うちにもゲーム業界出身の人間がいるので,そういう話をしてみたら,凄いゲームはあるけどクソゲーのほうが多いと言われて。ちょっと考え直しているんですけどね(笑⁠⁠。

――ゲームのUIってどうやって作っているんでしょうね。

石橋:ちょっと聞いたのは,UIテストとかユーザテストとかを死ぬほどやって,それが良いUIにつながっているみたいですよ。

田中:どうすればおもしろくなるかなんてわからないので,とりあえず動くものを作って,触りながらチューニングしていくんでしょうね。

――Webアプリケーションもそうなるといいんでしょうね。

石橋:そうですね。だから,Ruby on Railsとか,ああいう早く作れるのがいいんです。

アプリケーション保守会社募集

――作ったアプリケーションの保守はされるんですか?

石橋:追加開発は受けるんですが,アプリ保守なんかは誰かに引き継ぎたい(笑⁠⁠。パートナーさん募集中なんですよ。

田中:そんな都合のいい会社がいるのかって思うけどね(笑⁠⁠。

石橋:うちみたいにプロジェクトとして開発をやりたいという会社があって,インフラの運用だけをやる会社さんもあるんで,アプリの保守だけをやる会社があってもいいと思うんですよ。そしたらWeb業界ですごいシェアを取れると思うんだけど,誰かやってくれないかなぁ(笑⁠⁠。

――それって辛い仕事じゃないですか?

石橋:プロジェクト単位の不安定なビジネスじゃないから,そこそこよい利益率になると思うんだけどなぁ注1⁠。

――御社でそれをやらないのは何か理由があるんですか?

石橋:新規開発と運用では求められる能力が違うと思っているんですよ。すべて1人でできるスーパーな人もいるとは思いますが,全部やると効率が悪くなったりするので,得意なところに集中してもらったほうがいいと思うんです。うちはゼロから作ることが得意な人が集まった会社にしたいので,人を集めるときも,仕事をもらうときも,そういうスタンスでいきたいって感じですね。

注1)
インタビュー後,SI企業と提携して運用や保守にもサービスの幅を広げるとのアナウンスがありました。http://zerobase.jp/2008/

アイデアコンペと自社サービス

――何かおもしろい制度ってありますか?

石橋:発想力を鍛える意味で,お題にアイデアを出し合うアイデアコンペを毎週やっています。一番よかった人には出題者が賞品をあげていて,賞品をもらったら次の出題者になるんです。

――そこで出たアイデアを自社でサービス化することはないんですか?

石橋:やろうかなって方向で考えてはいるんですが,最初からホームランを狙いにいくと絶対空振りするので,シンプルなユーティリティみたいなものから取り組んでみようかと思っています。これから経験値を積んでいかなければならないと思っていますね。

最終回

田中:最終回なので逆に聞いちゃいますけど,この連載はどうだったんですか?

――どこも就職したいところばかりでした(笑⁠⁠。普通の就職活動で会社訪問すると,人事の人が出てきたりするじゃないですか。やっぱり現場の人と話がしたいですよね。そういう意味で,いろんな人と話ができてよかったです。

田中:ほかに行きたかった会社はあるんですか?

――何社かあるんですが,そもそも会社訪問したいっていうのは,興味深いプロダクトを開発しているとか,おもしろいブログを書いているとか,中の人が見えるところなんですよね。結果的にすべてベンチャー企業ばかりになってしまったんですが,もっと大きな組織だとか,日本以外の会社にも行ってみたかったですねー。

田中:それって単に海外に行きたいだけじゃないですか(笑⁠⁠。最後に,読者の方にメッセージをお願いします。

――児玉サヌール先生と田中ばびえ先生の次回作にご期待ください。1年間どうもありがとうございました!!

みんなで記念撮影

みんなで記念撮影

著者プロフィール

児玉サヌール(こだまさぬーる)

kdmsnr(発音できない)の本名であると期待される名前。角征典名義の訳書『アジャイルレトロスペクティブズ』(オーム社)が好評発売中。

著書


田中ばびえ(たなかばびえ)

田中ぷにえの亜種。趣味はブーンで写真撮影すること。正体はid:babieこと馬場道明。(株)フィルン所属。