ヒューマンリソシアのGITサービスが目指す,時代にアジャストするエンジニアチームの作り方

第3回 スミセイ情報システムの事例に見る海外エンジニアと働くメリット

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機械学習を用いて既存データから予測モデルを構築

――アカシュさんの受け入れ時には,特定のプロジェクトにアサインすることが前提だったのか,それとも機械学習のエンジニアとして社内で広く働いてもらうことを前提にしたのか,どちらだったのでしょうか。

西川:どちらかというと,特定のプロジェクトにアサインする前提で,来ていただきました。あるプロジェクトに配置する要員が不足していたため,そこで働いてもらうことが前提でした。

スミセイ情報システム株式会社
ITA企画部 データサイエンティスト
金井聡氏

スミセイ情報システム株式会社 ITA企画部 データサイエンティスト 金井聡氏

金井:そのプロジェクトは,機械学習を用いて,それまでに蓄積したデータを分析して将来を予測するためのモデルを構築するものです。

このプロジェクトの主担当は,私とアカシュさんの2人で務めました。私がユーザー部門とコミュニケーションをとって分析要件の明確化などを行い,その内容をアカシュさんに伝えて実際の分析作業をしていただく,といった流れで進めました。

このプロジェクトは,一度中断した後に,分析アプローチを変えて再スタートしたという経緯があります。アカシュさんには,この再スタートのタイミングで加入していただきました。そのため,ゼロからのスタートと比べるとやりやすい部分はあったかもしれません。一方で,データ分析や予測モデルの構築はやってみないとわからない部分が大きく,2人で試行錯誤しながら進めました。

――実際に作業する中で,日本語でのコミュニケーションについては問題なかったでしょうか。

西川:日本語の複雑な言い回しや比喩表現,省略語はアカシュさんには難しい部分がありますが,日常会話はまったく問題はありませんでした。

――アカシュさんの評価を伺わせてください。

西川:つねに前向きにさまざまなことに取り組んでいただいており,非常に感謝しています。また,アカシュさんにとっては日本語でのコミュニケーションは難しい面があったと思いますが,それでも積極的にお話をしていただきました。そういった点も我々からするとありがたかった部分です。

――プロジェクトの期間はどの程度だったのでしょうか。

金井:3カ月間です。そして,このプロジェクトが完了した後も,アカシュさんには引き続き別のプロジェクトを担当いただいています。

西川:現状は次に実施するプロジェクトに向け,自然言語処理などの技術調査・実践をアカシュさんにお願いしており,調査・実践してもらった技術を使って次のプロジェクトの立案を実施・検討する予定です。

この調査・実践において,アカシュさんは対象とする技術を高度な部分まで理解いただいており,また,チームメンバーへのフィードバックもしっかり行っていただけるので,非常に助かっています。また,⁠ある技術について調べておいてください」といったように,曖昧な状態でお願いすることもありますが,それでもこちらのニーズをふまえてしっかり調査いただけるのも助かる部分です。

――当初から,そうした調査まで依頼することを想定されていたのでしょうか。

西川:当初は想定していませんでした。もともとデータ分析のプロジェクトに入っていただき,そこで分析してもらった結果を我々がチェックする,といった進め方を検討していたのですが,アカシュさんが非常に優秀な方だったことから,ヒューマンリソシア社のご担当者と協議のうえ,調査・実践の作業についてもお願いするようになりました。

プロジェクトに入ってもらって3カ月間,アカシュさんの働きぶりを見たり,いろいろなお話をさせていただいたりする中で,⁠もっとできるんじゃないか?」ということで,高度な業務にも対応していただくようになった,という流れです。

将来に向けて海外ITエンジニアと一緒に働く経験を積み重ねたい

――ヒューマンリソシアのGITサービスについては,どのように評価されていますか。

西川:もともと外国人エンジニアの方は,これまでにご一緒した経験もありますが,コミュニケーションの部分で難しさがあるのではないか,お願いできる業務が限定されるのではないか,という少々の懸念がありました。しかし実際にアカシュさんに会って,そうしたイメージはだいぶ変わりました。

アカシュさんとの出会いで驚いたのが彼のハングリー精神の強さです。こういうことをやりたいといった目標が明確で,それに向けてしっかりと努力している。学ぶ意欲の強さやその姿勢は私たちも見習わなければならないと感じているところです。

――海外ITエンジニアの技術力については,どのように見ていますか。

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西川:これまで接したことがあるエンジニアに限定した話となりますが,総じて,技術力は高いと思っています。日本の企業の中でも,十分に戦力として通用するレベルだと考えています。

お客さまと向き合うことを考えた場合,日本語の細かいニュアンスまでくみ取ることが求められると厳しい面もありますが,技術的な部分であれば,我々が求めたものに対してしっかり応えてくれるという印象です。

――これからの海外ITエンジニアに期待することとしては,どういったことが挙げられますか。

西川:AIや機械学習といった領域のエンジニアは,これからさらにニーズが高まっていくと思っています。そうしたスキルを持った方々が増えるとありがたいですね。

それとやはり日本語で,スムーズにコミュニケーションが取れるかどうかは大きなポイントになります。とくにテレワークが進む現状では文章を読むことも重要になると考えています。テレワークではメールやチャットでのコミュニケーションが飛び交いますが,日本語の文章には「漢字」⁠ひらがな」⁠カタカナ」が入り交じるので,文章を読み,理解できることは重要なファクターではないかと思います。

さらにデータ分析であれば,Excelを使うことも少なくありません。そうしたビジネスアプリケーションにも慣れているとありがたいですね。

――今後もGITサービスを利用する可能性はありますか。

西川:あります。少子高齢化で生産年齢人口が減少し続けていて,AI・機械学習の領域では海外のエンジニアスキルが高いといった状況を鑑みると,日本人だけで働くのは現実的ではないと考えています。今後,10~20年といった長いスパンで考えたときには,海外のエンジニアの方と一緒に仕事をする機会は間違いなく増えていくと思います。

そうした将来を見据えると,文化の違いなどを乗り越えて海外のエンジニアと一緒に働くといった経験を積み重ねていくことは重要ですし,今後もGITサービスを活用して優秀な海外エンジニアを採用していきたいと思います。

――本日はありがとうございました。

Column アカシュ氏が語る“日本で働く意義”

インタビューの最後には,アカシュ氏本人からもお話をいただけました。

ヒューマンリソシアのGITエンジニア
データサイエンティスト アカシュ氏

ヒューマンリソシアのGITエンジニア データサイエンティスト アカシュ氏

ヒューマンリソシアのGITサービスを通じて,SLCで働くことになりました。現在は新しい技術についての調査・実践を行っているほか,検証のためのコーディングなども行っています。昔から興味のあった自然言語処理,機械学習といった領域について,業務を通じてスキルを高められていると感じていますし,また楽しく働くことができています。

私の母国であるインドではIT人材が増えています。その理由としては,子どものころから英語で勉強していることが大きいと考えています。ITに関する何らかについて勉強したいと考えたとき,インターネット上には英語のドキュメントが数多く存在しており,直接インターネットで調べて,数多くのソースから英語で情報を集めて勉強することができます。またコンピューター関連の職業は人気を集めていて,IT業界で働きたいと考えている人は増えています。今後もインドでは,ITを目指す人材が増え続けると思います。

私が日本で働くことに決めた背景には,私の父が日本人と一緒に働いていたことがあります。とても素晴らしい経験だったそうで,父は私に日本で働いてほしいと希望していました。私自身もアニメや温泉など日本の文化に興味があったので,いつか日本に行きたいと考えていました。世界的に見て日本は技術レベルの高い国だと考えています。その日本で,エンジニアとして働くことができて満足しています。

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp


酒井啓悟(さかいけいご)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室所属。

1986年生まれ。富山県富山市出身。2011年4月株式会社技術評論社に入社。書籍編集部を経て,現職。電子書籍,オーディオブックなど,出版業界に訪れる新しいジャンルの市場の成長に関わっていくことが当面の目標。

サッカーとねこが好き。