[The Interview]エンジニア向けQAサイト「teratail」とは

第2回若きプロジェクトリーダーが本音で語った! 「teratail」提供する本当の狙い

エンジニア向けQ&Aサイトとして、レバレジーズが提供しているteratail⁠。知りたいこと、分からないことを気軽に質問できるサービスとして、すでに多くのユーザーに利用されています。このteratailの企画を立ち上げ、現在はプロジェクトリーダーとしてこのサービスを手掛けている藤本直也氏が、このサービスの狙い、そして今後の展開などについて解説してくれました。

メディア・システム部 マーケティンググループ 藤本 直也氏
2014年入社、teratailのプロジェクトリーダー

メディア・システム部 マーケティンググループ 藤本 直也氏

teratailを提供することを通じてエンジニア同士の交流を活性化させたい

プログラミングやソフトウェアの設定、あるいはネットワークの構築などを行っている中で何らかの問題が発生したとき、一般的な方法としてまず考えられるのはGoogleなどでの検索でしょう。インターネット上には、ソフトウェア開発やシステム構築に関する情報が大量に存在しているため、分からないことがあればまず検索というのは常套手段ですが、必ずしも答えに辿り着けるとは限りません。しかしエンジニアの役割として、問題を解決しなければ前に進めません。そこでぜひ活用していただきたいのが、レバレジーズが提供するエンジニア向けのQ&Aサイト「teratail(テラテイル⁠⁠」です。

このロゴマークも、エンジニアにとって馴染み深くなる日は近い!?
このロゴマークも、エンジニアにとって馴染み深くなる日は近い!?

検索をしても、書籍を見ても解決できないことを質問できるサービスであるteratailは、エンジニアにとって馴染み深いmarkdown形式で文書を記述することができます。コードはシンタックスハイライトで表示されるため、質問したいこと、答えたいことを的確に表現することが可能です。またteratailはオープンなサービスであり、他のSNSへの同時投稿機能も備えています。

teratailのWebサイト。幅広い内容の質問が投稿されている
teratailのWebサイト。幅広い内容の質問が投稿されている
質問投稿画面。コードをシンタックスハイライトする仕組みも盛り込んでいる
質問投稿画面。コードをシンタックスハイライトする仕組みも盛り込んでいる

このようなQ&Aサービスはすでにインターネット上にいくつかありますが、teratailの強みとして「エンジニア同士の交流」に注力していることが挙げられます。

昨今、エンジニア同士が集まって交流する勉強会が盛んに開催されるようになりましたが、すべての人がこうしたイベントに参加できるわけではありません。たとえば忙しくてなかなか参加できない、あるいは勉強会の開催場所が遠くて出向けないといったケースが考えられます。しかし私たちは、インターネットというインフラを使っているのであれば、オフラインだけではなく、オンラインでの交流もあってよいのではと考えます。teratailは形式上はQ&Aサイトですが、その裏側には質問と回答というやり取りを通じてエンジニア同士のコミュニケーションを活性化させたいという思いがあります。

こうした考えからteratailに採り入れたのが、特定のユーザーの質問や回答をすばやくチェックできる「フォロー」という機能です。たとえば自分と似た課題を抱えている人、あるいはその人に対して的確な回答をしている人をフォローしておけば、参考になる情報がどんどんマイページに集まることになります。このようにteratailは、単に質問と回答で完結するのではなく、その背後にいるエンジニアに注目し、交流を促すことを意識しています。

今後は、質問を投稿した際に相互フォローしている人に回答を依頼するといった仕組みを追加することも検討しています。さらにフォローしているエンジニアとコミュニケーションするための機能も実装予定で、技術力向上につながるコミュニティ要素を強化していきます。これらにより、エンジニア同士のつながりを生み出し、それによって新たな価値を創造することがteratailの大きな目標(大きなビジョン)です。

ほかのユーザーをフォローし、その人が行った質問や回答などをすばやくチェック可能
ほかのユーザーをフォローし、その人が行った質問や回答などをすばやくチェック可能

Q&A形式だからこそ実現できる意義のあるノウハウの蓄積と共有

エンジニア同士が交流することによって生まれる、貴重なノウハウを多くの人が使えるようにすることもteratailが目指すところです。たとえば勉強会ではあらかじめ設定されたテーマに対して誰かがプレゼンテーションを行うというスタイルが一般的ですが、そこで使われたスライドが公開されることはあっても、登壇者に対して投げかけられた質問とその回答までがインターネット上にまとまった形で蓄積されるケースは決して多くありません。

しかしオンラインでのやり取りであれば、その内容を記録として残すことが可能であり、ほかのユーザーが参照することができます。有益なやり取りがこのように記録されていれば、多くのエンジニアにとって価値のあるコンテンツとなるでしょう。

実は最初はQ&Aという形にもこだわっていませんでした。たとえばチャットサービスやまとめサイトのようなものでもいいと考えていたのです。そこから最終的にQ&Aサイトにしたのは、有用な議論は有用な質問から生まれるし、意義のある質問には的確な回答が返ってくるだろうと考えたためです。自由に投稿できるようにすると、有益な情報がそうではないコンテンツの中に埋もれることになりかねないため、そうしたロスを防ぎしっかりした質問を投げれば適切な回答が得られ、かつ読みやすい形で記録される。つまり、質問する人と回答する人、そしてそのやり取りを見る人のそれぞれの視点でのメリットを考えたときに、最終的にQ&Aに辿り着いたということです。

teratail上の行動に応じて、さまざまな"バッジ"を獲得することができる
teratail上の行動に応じて、さまざまな

個々のエンジニアの"知"を結集し日本のIT業界の知的生産性の向上に貢献

こうした流れの中でエンジニアにとって価値のあるノウハウをteratailに集約することができれば、IT業界全体にとって大きなメリットがあるはずです。たとえば運用しているシステムでエラーが発生し、その原因を調査していたら何時間も経っていたという経験は多くのエンジニアが持っているでしょう。このとき、⁠こういったエラーが出ているんだけど、どうすれば解決できる?」と質問を投げかけ、それに対して的確な回答が投稿されれば、質問を投稿した人だけでなく、将来同じエラーに遭遇した人にとっても有益な情報が残ることになります。こうした個々のエンジニアが持つ"知"を共有し、すべてのエンジニアの知的生産性を向上させることができれば、日本のIT業界にとって大きなプラスになるのではないでしょうか。

こうした知の共有を加速するために、今後実現したいと考えているのが勉強会をサポートする機能です。たとえば何らかの勉強会を開催するとき、そのスライドをアップロードして誰でも見られるようにしたり、あるいは専用のタグを使って質問することで、その場のやり取りをログとして記録することを考えています。これならその場に出向くことができない人でも勉強会に参加でき、プレゼンテーションを通じて行われるやり取りを後々まで残せることになります。また、プレゼンテーションの特定のスライドに対し、第三者が質問を投稿するといったことも実現できれば便利でしょう。

そのほか、将来的に導入したいと考えているのが「PQA(Presentation/Question/Answer⁠⁠」という仕組みです。これは単純に質問と回答があるのではなく、まず質問する側がプレゼンテーションを行い、その内容に対して質問を投げかけ、それに答えてもらうというスタイルです。たとえば何らかのアルゴリズムや仕様を考えたとき、本当にこれでいいのかと迷うケースがあると思います。そのとき、その内容をプレゼンテーションにまとめて説明し、⁠こういう風に考えたんだけどみんなはどう思う?」と聞いて意見をもらうというものです。直接的に困っていることに対して回答を依頼するというよりも、自分の考えを知ってもらった上で意見をもらう、あるいは議論するといったイメージです。

単なるQ&Aのための場ではなくエンジニアに役立つ機能を積極的に提供

この勉強会のサポートやPQAの機能のように、teratailは今後積極的に機能を追加していく予定です。

同種のエンジニア向けQ&Aサービスは海外も含めていくつかありますが、それらはあくまでも質問と回答のための"場"を提供しているに過ぎないと感じています。しかしteratailは、エンジニア同士が自由に交流できて、それによって有益な情報を蓄積することがそもそもの目的であり、そのために必要な機能は積極的に盛り込んでいきます。そのため、teratailには専属の開発チームがあり、ユーザーの要望を聞きながら継続的に改善を重ねています。この点はteratailの大きな強みであり、他のサービスにはまねができない部分ではないでしょうか。そもそもteratailは、誰かのためのサービスではなく、質問をする人と回答する人、そうして蓄積されたコンテンツを閲覧する人の全員が使うものという意識で運営しているのです。

今はまさに試行錯誤の段階で、チームの中でガヤガヤと議論しながら、⁠こういった機能が必要じゃないか⁠⁠、⁠この機能があるとエンジニアにとって便利になるんじゃないか」などとブレストしながら、これから追加していく機能を検討しているところです。その中で、実装を進めている機能でも「これはやっぱり不要じゃないか」と考え直すこともあり、完成形はまだまだ見えていません。ユーザーの方々の意見、あるいは実際に各々の機能がどのように使われているのかをチェックしながら、どんどんアップデートしていきます。

自分が質問することは、同じ問題を抱えるほかの人を助けることにもつながる。分からないことがあれば、積極的に質問を投稿してみよう
自分が質問することは、同じ問題を抱えるほかの人を助けることにもつながる。分からないことがあれば、積極的に質問を投稿してみよう

エンジニア向けQ&Aサイトをレバレジーズが提供する理由

このteratailを提供していく中で、⁠なぜレバレジーズがこういったサービスを提供するのか」という質問を受けることが少なくありません。レバレジーズは人材関連事業やシステムエンジニアリング事業を行っている企業であり、それらの事業につなげることが目的だと捉えられていることが多いのですが、実際にはそうした意識はありません。

レバレジーズがteratailを運営している理由は大きく2つあります。まずはこのサイトの目的でもある「IT業界全体の活性化」があります。エンジニア同士の交流が活発になり、そこで数多くのノウハウが生み出されれば、生産性の向上など業界に大きなメリットをもたらすはずです。市場が盛り上がってIT業界のプレゼンスが高まれば、最終的にレバレジーズのベネフィットにもつながります。

2点目にあげられるのはレバレジーズ自体のPRです。そもそもレバレジーズはベンチャー企業であり、まだまだ認知度が高いとは言えません。そこで多くのエンジニアの方々に利用していただけるサービスを提供することで、レバレジーズの認知度を高めたいということです。それによってレバレジーズに興味を持っていただければ大きなプラスであると考えています。

上記2点からteratailを運営しているわけですが、今まさに注力しているのはエンジニアの方々にとって本当に便利なもの、よいものを作ることです。実は広告を配信することによるマネタイズも考えたことはありますが、シミュレーションした結果、実施後の利益が、期待できないことが分かっています。絶対に広告モデルに転換しないとは断言できないものの、現状では考えていません。

むしろ前述したとおり、エンジニアの方々の役に立ち、それが最終的にレバレジーズやIT業界の利益につながれば自分たちにとっても有益な存在になるという考え方です。

インターネットを通じて多くの仲間と交流できるサービス

インターネットの先は、ある意味で無限大に広がっています。1人で開発を行っていても、インターネットを通じて多くのエンジニアとつながることができ、あたかも隣にいるかのように優秀なエンジニアに相談を持ちかけることができます。teratailはすごく必要なものかと問われると必ずしもそうではないかもしれませんが、何となく使っていくうちにいつの間にか手放せなくなる、そういったサービスを目指したいと考えています。

すでにteratailには質問に積極的に回答していただいている多くのエンジニアがいますので、まずは思い切って質問してみてください。やはりQ&Aサイトなので質問がないと始まりませんし、実際に多くの質問にすばやく回答が寄せられています。そもそもteratailは開かれたコミュニティなので、まずはアクションを起こし、多くのエンジニアと交流することのメリットを肌で感じてみてください。

teratail(テラテイル)
http://teratail.com
取材協力/レバレジーズ株式会社
http://leverages.jp

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